第4回:最終消費者と利用シーンを想定できるか?
みなさま、こんにちは。
食の6次産業化プロデューサーの松田高政です。
特別講座「新たな時代に新商品・サービスを生み出す能力とは(全11回)」の第4回目のテーマは、「最終消費者と利用シーンを想定できるか?」です。
食品ビジネスというのは、買って食べてくれるお客様がいないと成り立ちません。そのお客様がいつ・どこで・だれと・どのように食べているのか。そして、そのお客様は喜んでくれているのか(笑顔かどうか)。商品・サービスの企画の時点で、それが仮説としてでもイメージできていることが理想です。
私はいつも目をつぶって、最終消費者とその利用シーンが映像として思い描けるかどうかが、重要なポイントだと思って商品企画をしています。
では具体的にどのような方法で「最終消費者と利用シーンを想定するか」。手法と事例を見てみましょう。
問題:最終消費者と利用シーンを想定できるか?
【問いかけ】
商品やサービスを開発する場合、最終消費者の利用シーンはどのよう方法・手法で想定するか。
理論と手法を学ぶ
【理論・手法】
商品やサービスの具体的な仕様を設計するためには、だれがいつ・どこで・だれと・どのように利用(消費)するかで、食品であれば内容量や容器の種類・形状、さらには味の変化、使い方提案など、すべてが違ってきます。商品によっては買う人と食べる人が違うケースもあることも理解して商品を設計しなければなりません。
そのため、逆説的に言えば、最終消費者の利用シーンが想定できないと、「何も決めることができない」。顧客の視点に立った商品の開発では、一番求められる開発プロセスです。
最終消費者の利用シーンを把握する手法としては、消費者モニター等で、実際に買う人・買っている人を見つけて、実際の購入目的や利用シーンなどを聞き取り調査することが最も効果的です。
図:一般消費者のモニター調査(ホームユーステスト)
また、簡易的には社内や知人への聞き取りや店頭試食販売での意見交換などでも実際の利用シーンに近い情報は得られるものと思われます。
実際の事例・経験談から学ぶ
写真:のむジュレ
【実際の事例】
飲むゼリーのターゲットは、安全志向・自然思考が比較的強い消費者(特にオーガニックに関心のある女性)で、現状の競合商品・類似商品の飲むゼリーで、美容成分・添加物を必要としていない点と、小腹のすいた時の水分補給に購入する(寒天で腹持ちがいい)購買理由・利用シーンを想定しました。
また、利用頻度は少ないが、風邪で食欲がないとき、さらにはその消費者の子ども・親(両親)と家族に安全なおやつ・飲み物を提供したいという心理もあるため、家族用にまとめ買い、実家への手土産用など、お使い用のシーンも想定して6本入りの箱も用意しました。
◇当初想定した利用シーン
小腹がすいた時・少し疲れた時の間食(特に夏場に冷やして)
夏場に水分補給・糖分をとる時に水分・固形分・糖分・天然果汁
食後のデザート・少し高いのでちょっとした贅沢をしたいとき
落ち着いた場所でゆっくりと味わう(満腹感・満足感を感じる)
3種類6本入りで、手土産・贈り物にも対応できる。
写真:商品モニタリング調査
実際の商品モニタリング調査では、現在買っている商品やその商品の不満、さらには私たちの商品の試作品への期待や買う理由・売ってほしい場所など、様々な情報が得られました。
◇実際に買う時の利用シーン(商品モニタリング調査の意見より)
ラディッシュボーヤ・パルシステムで寒天ゼリーを買っている。寒天ゼリー・ゆるゆる食べるゼリーなど、2つで700円くらいする。宅配でないと無添加のものはなかったので、その商品を買うのをやめて買うと思う。
子どもが食べられるものを作ってほしい。一緒に食べられるように。自分は辛い生姜、子どもは甘い小夏など。
缶ジュースの代わりに買う。缶はごみ捨てに困る。プラカップは何個も重ねてプラの日に捨てられる。
無添加のゼリーはないから売れる。みんな高いけど我慢しながら買っている。いろいろ売っているけど、裏を見ると添加物が入っている。ケーキ屋さんでも添加物が入っている。
柚子ドリンクの代わりに買う。ジュレに惹かれる。
子どもが風邪をひいたときにいい。寒天でおなかにも優しい。
まとめ
以上、第4回目の「最終消費者と利用シーンを想定できるか?」はいかがだったでしょうか。
私の経験では、やはり最終消費者(買ってくれそうな人)に直接聞くのが一番の近道だと思います。理論や事例では、商品を自宅に送って使ってもらってからアンケートを回収する「ホームユーステスト」や複数の消費者に集まってもらって座談会形式でインタビューする「モニタリング調査」などを例に挙げましたが、かなりの費用と時間がかかりますので、まずは自分の身近な人で最終消費者だと思う人に聞いてみてください。
当初想定した利用シーンや購買動機の確認だけでなく、新たな気づき・発見があって、その後の商品の改善やビジネスの発展に役立つ情報が得られると思います。
次回、第5回は、「競合相手に対する優位性を客観的に確認できるか?」です。お楽しみに!
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