松田絢士郎(弁護士・不動産鑑定士)

弁護士兼不動産鑑定士です。中央区日本橋兜町で不動産法務に特化した法律事務所•不動産鑑定…

松田絢士郎(弁護士・不動産鑑定士)

弁護士兼不動産鑑定士です。中央区日本橋兜町で不動産法務に特化した法律事務所•不動産鑑定事務所を経営しています。賃料増減訴訟等の不動産の鑑定評価が絡む案件や、不動産鑑定業を行う過程で生じる紛争の解決に特に力を入れています。 https://matsuda-lawrea.com/

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借家の立退料の内容と借家権の鑑定評価

1 立退料の法的位置づけ建物の賃貸借契約では、(定期建物賃貸借契約や一時使用目的の賃貸借契約の場合を除き)更新拒絶や解約申入れにより賃貸借契約を終了させるにあたっては正当事由が必要になります。正当事由の有無は、賃貸人と賃借人それぞれにおける建物使用の必要性の他、賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、財産上の給付の申出を総合的に考慮して判断されます(借地借家法28条)。 上記の要素のうち「財産上の給付」が一般に立退料と言われるものであり、立退料は、それ以外の要素

    • 賃料改定交渉の留意点-直近合意時点

      1 賃料改定交渉と賃料鑑定賃料の増額又は減額を求める交渉(賃料改定交渉)により賃料を合意することができない場合には、最終的には賃料増減訴訟に至ることとなり、そこでは、裁判所が選任した鑑定人の鑑定評価額(継続賃料の鑑定評価額)を踏まえて賃料増減請求の当否及び改定後の賃料についての判断がなされます。そして、多くの場合、鑑定評価額がそのまま改定後の賃料(相当賃料)と判断されます。 そのため、訴訟に至った場合に継続賃料に関して展開する主張が賃料改定交渉の段階でした主張と整合したものと

      • 相当賃料と継続賃料の関係

        1 賃料増減訴訟と賃料鑑定 土地や建物の賃料に争いがあり、賃貸人又は賃借人が賃料増減請求権を 行使して賃料増減訴訟(賃料増減請求権の行使により賃料が相当賃料に改定されたことの確認を求める訴訟)が提起された場合、ほとんどの訴訟において、不動産鑑定士が鑑定人として選任され、鑑定人による鑑定(鑑定人である不動産鑑定士による継続賃料の鑑定評価)が行われます。また、各当事者から、(裁判所から選任された鑑定人による鑑定とは別に)私的に依頼した鑑定評価書が証拠として提出され、それに依拠し

      借家の立退料の内容と借家権の鑑定評価

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      • 賃料訴訟・賃料鑑定のポイント
        2本
      • 正当事由・立退料のポイント
        1本