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「素直な人は成長する」の勘違い

成長する人の要素として「素直さ」がよく言われます。私も、この資質が非常に重要だと思うし、素直な人は吸収速度が速いため、より早く成長できるのは事実です。若手のビジネスマンの人にこそおさえておいてほしいのですが、ともすると間違って捉えかねない危うさをはらんでいます。


自分に素直な人は伸びない

「素直さ」と聞いてどういった言葉を思い浮かべるでしょうか?ここで注意して考えたいのは、「素直な人は成長する」という言葉は、成長する若手自身からは出てこない言葉だということです。この言葉は上司や先輩など、若手社員を育てる立場の人が常々口にするものです。

つまり、その人自身が本当に素直かどうかは問題ではなく、教育したりフィードバックする上司や先輩から見て「素直に見える」人が成長しているということです。あくまでも視点が、「成長する本人」ではなく「成長をサポートする側」にあるのです。

仮に、「成長する本人」が、自分に素直でいることを優先して仕事をしたらどうなるでしょうか。若手なら当然、シニアになったとしても、仕事ではまだまだできない事があったり思い通りにいかずストレスが溜まることはよくあります。そういった時に「嫌だな」とか「先延ばしにしたい」「適当にやり過ごしたい」という自分の感情に素直に行動したら、結局は目の前の課題から逃げることになります。

また、目上の人から「あなたの改善ポイントはここです」と改善のフィードバックをもらったときに、自分に素直な人は臭いものに蓋をしてしまいます。せっかくフィードバックをもらっても改善できないままになってしまうのです。更に悪い方向に進むと、耳が痛いことを避けたいばかりに、「〇〇さんが言っているこもは妥当ではない、このフィードバックは聞き入れる必要がないんだ」と恣意的に思い込んでしまいます。できないことができるようになる、これを「成長する」と定義するならば、自分に素直な人は成長する機会を自ら逃していることになるのです。

成長に必要なのは、素直さよりも相手へのリスペクト

「素直な人が成長する」と言われる所以は、周囲の人からのアドバイスを貪欲に吸収して反映するからこそ、今までその人ができなかったことが改善され、できるようになっていくからです。そういう意味で、「素直さ」の裏にあるのは相手へのリスペクト(尊敬)なのです。他人のアドバイスを聞き入れことができない人は、プライドが高く、心のどこかで、自分のほうが正しい、他の人の考えは二流だ、と思っている節があります。そういった態度では、たとえ有益なアドバイスであっても反映しようという気持ちになりませんよね。

上の立場の人からのアドバイスは、理にかなっていることが多く、客観的に自分に足りないことを善意から指摘してくれることがほとんどです。もちろん、的を得ていなかったり、必ずしも反映しなくても個人の好みの範疇であると割り切れるものもあります。なので、アドバイスを客観的な視点から吟味することも大事ではあるのですが、まずは聞き入れてやってみて、それで実際にアドバイスが有効でないと実感した場合には、「自分には合わなかったやり方」として頭の中にストックしておく、くらいのスタンスの方が成長している人が多いです。

結局のところ、「せっかくアドバイスをくれているのだから、全てが自分に当てはまらなかったとしても、何か有効なエッセンスがあるはず」と何か一つでも自分の糧にしようとする、成長への貪欲さを持った人が成長するという、身も蓋もない話なのかもしれません。


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マツダ
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