愉快な友達図鑑#1
薄々気づいてはいたんですよ。薄々ね。でもあんまり認めたくなかったけど、やっぱり見過ごせないことってありまして。はい。
俺の友達、変なやつしかいなくね???
愉快な友達図鑑
始まります。
愉快な友達図鑑とは
トップバッターは流浪人Hirayama Ryotaという男です。
Hirayama Ryota
悟空みたいなテンションで返す文ではないと思うんですよ。だけどこの返事だけで彼から溢れ出るパッションを感じますよね。何ですか「してまっする!」って。僕はそんな返しは想像していないわけで、ただ不思議とこれだけで彼が元気で安心している自分もいます。
Hirayama君は芸大から出たアーティストでして、アイデアマンです。
iPhoneのLiDAR機能を使って三重県の大門という街をスキャンして、飴を作って舐めたり、お坊さんをひたすら歩かせてその軌跡を展示したり、パチンコ台を改造してキリストと仏陀を融合させたり、何かとはちゃめちゃなプロダクトを生み出しているのですけど、文字にすればするほど、説明しようとすればするほど訳がわからなくなっていく彼の輪郭を辿るのが楽しくもあり、怖くなる時もあります。
初めてドライブした時のことは一生忘れませんね。
運転席に座る彼はそう言っておもむろにスマホを開き、金星だか火星だかの音とやらを流し始めました。時刻はam8:00。
ドゥオーーーン、デュ〜〜〜ン、ヌオーンという重低音が車内に響きます。なぜこの男はこんなに嬉しそうなんだ。そして俺は朝から何を聴かされているんだ、重いぞサウンドが!
すげえな。トリップして眠れなそうだぞ。そもそも宇宙空間に音なんてないだろう。真空なんだから。ありました。火星の音
これはNASAのデータ可聴化(Data Sonification)という手法によって人間にも聴こえるようにした音声のようです。NASAのサイトにたくさん種類があります。トリップしてみたい人は聴いてみてくださいね。
そんな彼は楽天的というには浅く、冷静というには違和感があるような、確かにズレた感覚の持ち主ではあります。トラブルに対する捉え方が彼なりの感性なんです。結構良い自転車を盗難された時も笑ってました。「取られたんだよね〜」とか言うので、「盗難届出したら?」と言うと「そうだね〜」とかギャルみたいなこと言ってるので放置してたら、ある日見つかったらしく「やっぱ戻るところに戻るんだよな〜」なんて感心してました。まず、盗まれたことを怒るところを、物事の事象としか感じていないあたり只者ではない。
これは独立したての頃、僕があまりにもお金がなくて焦り散らかしている時に、謎の励まし方で元気づけてくれた時の写真です。
「お金ないんだけど、仕事ない?」
「稲田さん、ダム好きっすか?」
「・・・俺の話聞いてる?」
「ダムに沈む街があって、そこの写真とか撮ったら稲田さん死ぬまで食いっぱぐれないっすよ!紹介したい人がいるんで、やったりましょう!」
私が人物を撮ることをライフワークにしていることを考慮してくれたのかは定かではありませんが、彼の言葉には難しいことなんて何もないみたいな力があります。ここで紹介してくれた人はまた登場します。
さて、先ほど街をスキャンして飴にするなんて寝言みたいなことを書きましたが、そのくらいは説明しようと思います。
なめることから
彼のHPを置いておきます。先述の通り、3Dスキャンした街のオブジェクトで型を作り、飴を作って販売しました。
一個500円、こんな高い飴を売るには馬鹿正直に売り込んだって仕方がねえ。頭を使って売るのだ。
これです。目が合ったらこれです。するとどうでしょう?皆んな口を開けて「はい?」と聞いてくれる訳です。お子さんがいたらなお良し、僕?街舐める?あれ?これ危ないおじさんじゃね?
冗談はさておき、皆さん街に住んでいても舌で街を体感する経験なんてありませんから、意外と買ってくれるんですね。流石に少年が「僕街舐めたい!」とお母さんにプレゼンした結果困惑したお母さんが現れたのは恐縮でしたが。
舐めれば舐めるほどどこを舐めているのか気になるので、皆さんどんどんしかめっ面になっていきます。食べ物食べてる時にそんな顔になるかね?ってくらい眉間に皺が寄っていく様が面白かったです。中には舐め終わってしまって悲観的になる人までいました。内容量砂糖だけなんですけど、、、。
そんなこんなでこの飴は見事に完売しました。楽しかったなぁ。
彼のプロダクトでもうひとつ思い出深いものがあるのですが、1人目からだいぶ胃もたれしそうな内容なのでここまでにします。
アインシュタインも言ってたらしい「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」という言葉を地で行く若者です。
オラに力を分けてくれって何世代にも渡って伝わるセリフですよね。広辞苑に載せても良いと思います。