町医者の独り言 ~ 自由が丘 松原医院

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消化のしくみ

この猛暑のなかで、食欲が少々または相当落ちているかたもいらっしゃるかもしれません。先週に引き続き消化のしくみについてお話します。 食物中の3大栄養素は、糖質、蛋白質、脂肪です。これらはどのように体の中で消化されているのでしょう。 消化とは栄養素を体の中に取り込むために食物をある程度まで小さくする働きのことです。消化作用には、歯で噛んだりする機械的消化、消化酵素によって分解する化学的消化、消化しきれずに大腸まできた食物を腐敗・発酵させる生物学的消化の3つがあります。 ごは

    • 3大栄養素のかたちと働き

      猛暑が続きますが、みなさまおかわりごさいませんか。 今回は3大栄養素についてのお話です。 3大栄養素とは、炭水化物、脂肪、たんぱく質ですよね。これらの物質の構造はどうなっていて、体の中ではどう働いているんでしょうか? 炭水化物は、糖質とも呼ばれていて、でんぷんなどは自然界に普通に存在していますね。このでんぷんは多糖類で、単糖類が複数つながったものです。単糖類はいわゆるブドウ糖などのようにこれ以上分解することのできない糖です。 消化吸収されるのは大部分がブドウ糖で、その

      • 鉄の不足と貧血

        貧血の中でも一番多い、鉄欠乏性貧血について少し詳しく説明しましょう。 通常は、特別な偏食がない限り、鉄分の摂取量が極端に足りなくなることは多くはありません。どういった場合に体の中の鉄分が不足してしまうのでしょうか? まず一つは、胃潰瘍や大腸癌などの病気があって消化管からの出血がじわじわ続いていると、出血した分の赤血球を補うために骨髄での造血作用が進みますが、その時に原料である鉄が不足してきて、鉄欠乏性の貧血になります。 消化管からの出血が一度にドンと起こるとショックにな

        • 排泄物について

          人間の排泄物である尿と便の違いはわかりますか? 簡単に言えば、尿は血液の中の不要な物、便は腸の中で不要になった物です。尿は腎臓で作られます。腎臓は血液の中から必要のない物質を濾過・濃縮して尿ができます。一日の尿量は普通の場合1.5リットルです。 尿をみると体のいろいろな状態がわかります。蛋白が混じる場合は腎臓の病気が隠れていることがありますし、糖が混じる場合は糖尿病がないかどうかを調べます。潜血(血液成分が混じる)反応があれば、腎臓や膀胱の病気・尿管結石などを調べます。

          食中毒について

          一般に食中毒は7月から10月に集中して発生しますが、暖かくなってきて気温の高い日もあるこの時期から注意が必要と思います。 家庭ではどんなことに注意すれば良いのでしょうか? 細菌性食中毒の原因菌は、サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌の4種類で全体の8割を占めまるす。主な症状は下痢、腹痛、発熱、嘔吐などです。医療機関に行ったらこれらの症状について説明をしてください。一般に下痢止めは使わないことがほとんどです。下痢は体から菌など有害成分を排出するための

          花粉症のメカニズム

          今日は陽もあまり射さず、ひんやりした感じです。 花粉症についてお話します。 花粉症は春や秋の季節の変わり目にみられます。今回は花粉症の化学的なメカニズムについて解説しましょう。 花粉症は、花粉(抗原物質)に対して特異的に反応するIgE抗体が白血球や肥満細胞に情報を伝達することで始まるアレルギー疾患です。 白血球の中の好塩基球や肥満細胞の表面のIgEに花粉が付着すると、ヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が放出されます。 ちなみに、肥満細胞とは、成熟前の好塩基球

          たばこの害と健康法

          たばこの害と健康法2 今日は昨日のような強風はありませんが、晴天であっても。寒い一日となりそうです。 前回に続き、たばこについてお話します。 やめ方はいろいろとありますが、私がやめた方法は、まず、やめようと決心したら、たばこが残っているうちから、たばこと灰皿、ライターを捨てました。 この一箱が終わったらと思っていると、なかなかふんぎりがつきません。やめようと決心した時点が大切です。ニコチンの離脱症状の頭重感やイライラ、目が疲れるといった症状は、3日以内がつらいですが、

          たばこの害と禁煙法1

          たばこの害が言われ出してかなりになりますね。 たばこの害は、心臓に良くない、肺や喉に良くない、血管に良くない、歯周病の原因になる、など多数の害があります。これはみなさんがとてもよく知っていることだと思います。たばこを吸っている人の中でみても、一度は禁煙を考えたことがある人がほとんどです。だから、喫煙者もたばこは体に悪いことは感じているはずです。でもなんで簡単にやめられないのでしょうか? これは、ニコチンという薬物の依存が関係しているからです。ニコチンには麻薬のような依存性

          低血圧症とは

          今日は夏到来という陽ざしの強さ。冷たいものが飲みたいですね。 今回は低血圧症についてお話します。 低血圧症は、一般的に高血圧症に比べて、あまり話題になりにくい疾患だと思いますが、低血圧症で困っている人もいるんじゃないでしょうか?低血圧症とはどんな状態なのでしょうか? 一般に収縮期血圧(上の血圧)が100mmHg未満の場合を低血圧と言いますが、低血圧であっても自覚症状がなくて、循環器系の障害が見られない場合は病気とは考えません。しかし、立ちくらみやめまいなどの症状を伴う低

          骨粗しょう症

          みなさま、ご無沙汰いたしました。暑中お見舞い申し上げます。 今日の午前中の土砂降りには、参りました。来院される患者さんも足元はずぶぬれでいらっしゃいました。 前回の骨のお話に関連して。。 最近よく聞くことの多い病気として骨粗鬆症があります。この病気は高齢者、特に閉経後の女性に多く起こる骨の病気です。最近の高齢者の増加とともに増えていて、現在では280~380万人に及ぶと考えられています。 全身のカルシウム99%は骨にあって、骨の強さを保つのにカルシウムは必要です。カルシウ

          目・鼻・口・耳の関係

          顔の部分を構成している目、鼻、口、耳はそれぞれつながっていることを知ってますか?それぞれのパーツごとに細い管でつながっていて、それぞれに役割があるのです。 鼻と口はつながっているのはよくご存じでしょう。鼻をつまんでも口で息ができるのは鼻腔(びくう)と口腔(こうくう)が咽頭(いんとう)のところでつながっているからです。 目と鼻がつながっています。目の内側の涙点と鼻腔は鼻涙管(びるいかん)でつながっています。泣くと鼻水がでるでしょう。涙はこの管を通って鼻に落ちて排出されます。

          糖尿病と血糖値

          今年も残すところ、20日ほどとなり、なんとなく心せわしい年の暮れ。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。 今日は糖尿病と血糖値についてのお話です。 血糖値とは、血液中のブドウ糖濃度のことです。食事と血糖値の関係はどうなっているのでしょう。正常な場合と糖尿病の場合はどこがちがうのでしょう。 一般に、食事を取ると、糖分はすみやかに吸収されて、食後30分から1時間半後に血糖値が最高になります。しかし、血糖値が160mg/dlを越えることは通常はありません。それは、食事をして血糖値が

          心の健康

          心の健康を考える場合に大切なのは、人間として互いに関わり合って生きていくことがスムーズにできる状態を保つことが不可欠です。 心が健康である条件は (1)行動や考え方が柔軟であること (2)協調性があり、社会に参加する活動力があること (3)他人を尊敬したり愛情をもてること (4)自分の長所短所がわかり自制心があること (5)生活を楽しめること と言われています。 しかし、人の成長の過程でその心の状態は人によって様々です。 この心の働きは、自我の状態が影響して

          鼻血について

          鼻血が出たことがある人はいるでしょう。鼻血がたびたび出る場合は、何らかの病気がかくれていることがあります。 鼻血は正式には鼻出血(びしゅっけつ)といいます。鼻は空気の通り道です。鼻の中(鼻腔)を通ることで空気は暖められ、適度に加湿されて肺にはいるようになっています。つまり、鼻腔は毛細血管や粘液を分泌する粘膜が豊富な場所です。だから、粘膜や毛細血管が傷つくと出血が起こります。 鼻血が出たときは、腰掛けて少しうつむいた姿勢で、上から小鼻を押さえます。普通の鼻血ならば、5~10

          骨は生きている

          まるで梅雨明けでもしたかのような暑さとなりました。これから10日ほど軒並み30℃越えるようです。 今回は骨についてお話します。 骨は石膏のように、ほとんど変化のない物質であるような印象がありますが、人間の骨はダイナミックな新陳代謝を繰り返しています。どんな働きやしくみがあるのでしょうか? 骨の働きは、2つあります。一つは体を支える働きです。人間が重力に逆らって体を支えられるのは骨のおかげです。もう一つは、カルシウムの貯蔵庫としての働きです。体の中のカルシウムの99%は骨

          食物繊維について

          今日は早朝はさわやかな風が吹きわたり、とても気持ちがよかったです。が、しかし、あれから気温はどんどん上がり、熱風が吹き荒れています。 熱中症にはくれぐれも気をつけましょう。 食物繊維という言葉をCMでよく耳にすることが多いですね。 食物繊維とは、ヒトの体にある消化酵素で消化されない成分のことで、芋やごぼうなどの野菜やわかめなどの海草の主成分です。食物繊維を食べるとお腹がいっぱいになるので、食事の時に食べる物の量が少なくてすむのはよく知られていますが、その他の働きはあるので