プライスレスな循環
ある森林でボランティアをしている。
その森林で会合があった。みんな森好きという共通点があるのだが、関心事や視点は様々なので話を聞いているだけで楽しい。樹木、生物、昆虫、キノコ、微生物、妖精…もうあなたたちをオタクと呼ばせてもらいます。笑
そしてみんな同じことを言う。
森は繋がっている。
目には見えない何かで。
植物も虫も人間もイキモノは全て。
自然てさ、完全なるシステムの循環だよね。
春夏秋冬、芽吹いたり、咲いたり、生まれたり、土に帰ったり。
実際、自然界はテレパシーのようなもので互いにコミュニケーションをとっているのだと教えてくれた人もいた。
だよね。
そうじゃなきゃ、こんなに見事なチームワークにならないもんね。
人間だけ、それを忘れてしまっている。
それな。
少しでも森の循環に混ぜてほしいなぁと日が木々の間に落ちていくのを眺めながら思った。
そして森の夜。
虫たちの声と森の呼吸。
このシチュエーションにワクワクが止まらない。ボランティアしていてよかったと心底おもう。
もー、プライスレスだわ。
なんて、カード会社のCMのようなことを口に出してしまった。
さらに、ボランティア仲間からプライスレスな循環の話を聞いた。
彼女は仕事の対価として常に金銭を得るわけじゃないとのこと。お金で買えないほど「価値ある体験」に代えるシステムが存在するのだそう。
いずれそんな時代が来るのだろうと思っていたが、すでにこんな身近にあると知って驚いた。
多才な彼女はいったい何個の仕事をしているのだろうか。
農業、民泊、糸紡ぎ、機織り、草木染、雑貨作り、作家活動…
淡々とやりたいことと向き合っている姿が実に清々しい。
そして彼女にとっての「価値ある体験」とは
「有機野菜を収穫させてもらう」
「音楽家の演奏を聴かせてもらう」
など誰かのスキルの恩恵を受けることらしい。心地よい循環とバランスが大事とのこと。
なるほど。
深いな。
その彼女がアートや雑貨の出店するということで、つい先日、友人と一緒にあるフェスに行ってきた。
古民家と蔵。
こだわりの店が並ぶ。
カフェもあり、そこでランチプレートとクラフトビールをいただいた。
生演奏と生歌つき。
心地よすぎる。
「木が好きなのよ、この人も」
この一言とともに所々で彼女は私を紹介してはそっと去っていく。そんな人と人を繋ぐ魔法のような空間。気づいたら幾人かと意気投合して話し込んでしまった。
そして二つの約束をした。
一つは秋に日光へ行くこと。
「あなたに見せたい木があるの」
何というパワーワード。笑
もう行くでしょ。
余計な言葉や邪魔な感情がない。
澱みがない。
もう一つは来年の6月にこの場所で集まること。
その時しか味わえない森の顔があるらしい。四季とともに森の変化を感じていくなんて最高。
それにしても整うスピードが早すぎる。
きっとそう決まっていたのだろう。
ここはそういう世界線なのだろう。
だから繋がっていく過程をも楽しむ。
プライスレスな循環の一端になる。
ちなみにこのフェスではお金もたくさん循環していた。私もアート作品や紙製品やクッキーを購入した。
お金も体験も、様々なエネルギーのベクトルが飛び交う活気のあるフェスだった。リクエスト用紙に記入した藤井風さん「帰ろう」をアーティストさんが生演奏で歌ってくれたりもした。
夕暮れの古民家と藤井風も良き。
全てひっくるめてプライスレスな体験だった。
秋の日光が楽しみだ。