テレアポ営業をやっていた僕が新規事業を立ち上げるまで
2019年の超大型GWも終盤。僕にとって社会人13年目にして初の10連休となってるわけですが、1日時間が空いたのではじめてのnoteを書こうと思います。
今回のnoteは、約半年前に会社で始まった社内LT会で初めての発表を行った際の資料を元に書きます。初めての社内LT会発表ということで気合を入れて準備したところ内容を詰め込みすぎてしまい、通常持ち時間5分のLT会で10分以上話した挙げ句、不完全燃焼した資料となってしまいました。せっかく、準備したのでいつか社内で再チャレンジしようと思っていましたが、その機会がなく埋もれてしまったので、noteに書くことにします。
※5分で伝えるLTって難しいですよね。
はじめに
今回僕が紹介したいのは、タイトルにもあるように営業しかやってこなかった僕が、新規事業を軌道に乗せるまでの2年間の奮闘記です。僕のいるテテマーチ株式会社は、現在Instagramを中心にSNSマーケティングを手がける会社としてありがたいことに多くのお仕事を任せていただいています。今ではSNSマーケティングの会社ですと胸をはって言えるくらい成長させることができましたが、最初の2年間は本当に大変でした。2015年6月にスタートしたインスタ事業が、事業と呼べるようになったのは、売上の目標達成ができるようになってきた2017年6月(3期目スタート時)です。
それまでの2年間、どのようなことをやってきたかをご紹介します。
プロローグ
事業を軌道に乗せるまでのお話をすると言ったのですが、立ち上げを経験するまでどんなことをやってきたのか、なぜインスタに目を向けたのか?について少し紹介します。僕は、2007年新卒で入った会社にて99ヶ月(8年3ヶ月)間営業職として務めていました。
どんな仕事かと言うと、SMB(中小企業)に対してWEBコンサルティングの仕事をしていたのですが、10年以上も昔になると中小企業の多くはWEBプロモーションに積極的ではなく、ITリテラシーも高くはないため自らお問い合わせをしてくれるということはほとんどありませんでした。
※今は当時と違い中小企業でもWEBを駆使する会社が増えているので、時代が違いますね。
そんな環境での営業手法と言えばテレアポです。毎日100コール、150コールと電話をかけアポイントをいただき、提案を行うのです。また、20歳そこそこの若輩者が中小企業の経営者に対してWEBコンサルをするというのはめちゃくちゃ大変なことではあったのですが、様々な事業モデルを知ることができ、勝ち手を提案するのはものすごくやりがいがある仕事でした。また、その経験が、勝つまで(テレアポ取れるまで、受注できるまで)やり続けるメンタルと、競合の多い事業モデルでも差別化を図るための戦略を考える癖をつけることができたのだと思います。
ただ、せっかく提案に自信があっても提案機会が攻め(テレアポ)の一手しか無いことには課題を感じていました。
※当時僕はMGR職だったのでテレアポ以外の攻め手を考えられなかったのは僕の未熟さだったのですが・・・。
そこで、30歳を前に転職ではなく会社を作るという選択をすることにしました。その選択をする上で僕がこだわったことは事業内容です。
前職で感じていた課題は企画や提案には自信があるけど、相談はもらえないということです。これは、すでに業界の有名企業が多数あり、相談はそういう会社に流れている。また、競合の数も多いため差別化が難しくなっている市場だからではないだろうか?とも考えました。
だったら、これから伸びそうな市場に先手を打つことで、先行優位性を持とう。市場の第一人者のポジションをとることで相談が入る環境を作ろうということです。
さて、ではこれから伸びそうな市場で、まだプレイヤーが多くなさそうな市場はどこだろうか?と、考えていた際にうちの代表から言われたのが
この一言です。
流行りものが好きだった僕は2011年頃にインスタをインストールして少しだけ触っていましたが、その後4年位は放置状態でした。そんなインスタがどうやら盛り上がっているらしい。代表の彼女がずーっとインスタを見ているらしい。
※代表曰く、あんなに没頭してインスタばかり見てるなんて信じられない。インスタまじすげー。
こんな些細なやり取りからインスタについて調査を始めることになったのです。
第1章 API調査2015年4月ころ
さあ、インスタで何か始めるぞ!と決めたはいいものの何を売ればよいか?インスタについて勉強してコンサルという無形商材を売るというのは前職の経験からできそうかな?とも考えましたが、あまりに労働集約になりすぎることはやりたくないなとも感じていました。
そこで、先行している他者動向を調べてみるとハッシュタグを使ったキャンペーンツールを展開している会社が複数社あり、これは面白そうだし売れそうかも。これを売らせてもらおう!と考えました。
ただ、当時の僕らからすると他社のシステムは高く、自社で売っても利益があまり見込めそうもなかったため出した結論は、これ作れるんじゃね?
ここで、改めて説明しますがテテマーチ創業メンバーは元営業職×2名、大学中退者×1名の布陣となっており、エンジニアはいませんでした。
そんなメンバーながら出した「作れるんじゃね?」という結論は相当浅はかだったかと思いますが、Google先生から様々な情報を集めInstagram APIというものを使えば作ることができそうということがわかりました。
ちなみに、このAPIを使ったプロダクトを作ろうという段階では直近の小金稼ぎ程度でしか考えておらず、他にも事業案があったためインスタで事業をやっていこうというところまでは固まっていませんでした。
※2015年4月ころは前職在籍中でしたが引き継ぎ等があり退職に時間がかかっていたため、働きながら次の準備もしていました。
第2章 注力事業を絞る 2015年6月ころ
プロダクトの骨子が固まり、Googleで調べながらなんとか仕様書をつくり、外部ベンダーに開発を依頼するところまでこぎつけましたが、調べれば調べるほどインスタの可能性を感じるようになっていました。
色々と調べを進めていると大手広告代理店がビジュアルマーケティングと銘打って、インスタやピンタレストを押し出している。そもそもFacebookやTwitter、LINEも含めSNSマーケティングという市場も結構盛り上がっている。
僕自身前職でWEBの仕事はしていましたがSNSはノーマーク。ビジネスにどう使えるかもわからない。それでも、SNSマーケティングは楽しそうで、何か可能性を感じました。ただ、すでにSNSマーケティングを専門でやる会社はWEBコンサルほどではないもののの競合の数がある中で勝つためにはどうすればよいか?
僕が出した答えは、何か1つに絞るということ。
当たり前なんですが、何かに特化することはその1つだけに時間を費やすことができるため進捗も速められるのですが、外せばものすごいリスクになります。FacebookやTwitterはすでに市場も成熟しており競合もものすごく多い。絞るならインスタか、ピンタレストか。最初は両方について調査をすすめていたのですが、Googleアラートで設定した両方のキーワードでのニュースの量を見て、インスタだけに特化した事業に注力することを決めたのです。
第3章 自社メディアの立ち上げ 2015年9月ころ
プロダクトの開発は進み、事業の軸も固まった中で次に手を付けたのがメディアです。冒頭でもお話したとおりこちらから売りに行くのではなく、問い合わせが来る環境をどのように作るか?ということに拘ろうと考えていましたが、残念ながら当時はインスタマーケについての知見は持ち合わせておらず、準備しているプロダクトだけでは弱いと考えて下記2つの目的のためにメディアを立ち上げることにしました。
1.自分たちがインスタマーケの勉強をするため
2.インスタマーケについて強いというブランディングをするため
メディアを立ち上げると決めたは良いものの、もちろん記事を書いた経験はなく何をどうすればよいかわからなかったため、最初は世の中にあるインスタマーケの記事を探してきて、コピペ&リライト。メディア公開に向けてどうしても記事本数が必要だったのと、どうやって記事を書けば良いかわからなかったためそんな価値の無い記事を書いていました。※もちろん今はすべてリライトし直しました。
ただ、何記事かそういうことをやっているとだんだん記事の書き方がわかってきたためオリジナルコンテンツを書けるようになりました。
そこから、業務時間外の土日のどちらか1日を記事執筆に当てる生活が始まったのです。
記事執筆はものすごく大変でしたが、この経験は様々なインスタマーケの事例を調べたり、自分なりの考察を考えたりとインスタマーケの知見を深める意味でもすごく役に立ったと感じています。
今、僕はインスタアンテナの執筆はほとんどしていませんが、インスタアンテナの読者は多く、関東だけでなく地方出張に行っても「よく参考にしてます!」という嬉しいお声をいただくメディアになりました。
第4章 はじめてのプロダクトリリース
準備期間から約8ヶ月の時間をかけ人生はじめてのプロダクトリリースをしました。CAMPiN(キャンピン)は、コストや手軽さの理由からそれまで大手企業しか実施できていなかったインスタグラムのハッシュタグキャンペーンをCMSで安価に簡単に実施できる中小企業向けのASPとしてリリースしました。
※ちなみに、結局中小企業は売上に直結しにくいインスタに積極的には投資してくれず当初の当ては外れたのですが、売上を見ない自治体や継続してキャンペーンを実施する企業等のリプレイスには繋がりました。
また、PRTIMESさんのプレスリリースをここぞとばかりに打つことにしました。で、創業して約半年たってから知ったのですがPRTIMESさんのプレスリリースは、創業2年以内の会社なら毎月1本無料で打つことができるということで、ここから何かしら話題を作ってどんどんプレスリリースを打っていこうと決めたのです。話題をたくさん作ることは零細ベンチャーが目立つ上で大切なことだと思っています。
ちなみに、このCAMPiNのリリースはTECHABLEさんに拾ってもらうことができました。
第5章 はじめてのインターン採用
プロダクトリリースをした後は、営業活動に奔走することとなりました。理想では、リリースなどから引き合いが来ればよかったのですがそんなにうまくも行かず、知人の紹介やときには得意のテレアポなども行い、CAMPiNの実績づくりに注力しました。
そうなってくると引き合い獲得のためにメディアの更新頻度も上げていきたい。でも、手が足りない・・・。ということで考えたのが大学生インターンでした。そもそもインスタについて勉強しながら学ぶ僕らより生活の一部として使いこなしている大学生ならもっと面白い記事も書けるのではないか?と考えてwantedlyに募集を出したのです。
当時は今ほどインターン文化は活性しておらずwantedlyを使う大学生も多くはなかったのですが、そんな中早速応募してくれた大学2年生の女の子を即採用したところ、ものすごく良い記事を書いてくれて死ぬほど助かったのです。もちろん、彼女のライティングスキルや地頭が良かったのもあったのですが、事例調査や取材記事など様々な記事で活躍してくれたのは、大学生の興味関心度が高い事業をやっていたことで楽しんでくれたことが大きかったと思います。
ちなみに、彼女が書いてくれた記事はSEO流入で月間数万PVを稼いでくれていました。ありがたや~。
その後もインターン採用は積極的に行い、現在テテマーチでは常時10名前後のインターン学生が参加してくれる環境ができています。
第6章 はじめての社外セミナー 2016年3月
プロダクトをリリースして2ヶ月間で少しづつ実績が出てきた頃、プロダクトに問い合わせをくれたSNSマーケティングのBOKURAさんと社外セミナーを初めて行うことになりました。前職では社員向けの勉強会などは数回行ったことはありましたが、社外向けのセミナーは初めて。
ただ、目指していた第1人者ポジションを目指すならセミナーやイベントもやらなくてはいけないとも思っていたため、初めての外部向けセミナーに登壇することになりました。
今ではセミナーやイベント登壇も数多くやっているのですが、このお寺でやったセミナーが人生初のセミナーで大いに緊張したことを覚えています。別のセミナーでは青いシャツを来て話していたところ脇汗が尋常じゃなくアンケートに汗が気になりました・・・と、書かれてしまったこともありました・・・。
※何回やっても今でも緊張はするのですが・・・
セミナーやイベント登壇は、下記のようなメリットがあると感じました。
1.1度に多くの会社との接点が作れること
2.登壇者のことを先生として見てくれるため、商談になった際に大手企業でも良い関係値で商談ができる
特に後者は、当初目指していた売り込むのではなく相談をもらうという意味ではものすごく重要な関係値だと思います。
第7章 はじめてのオンリーワンサービス
僕たちは、2016年4月にP-conne(ピーコネ)という新しいサービスを出しました。
当時インフルエンサーマーケティングに火が着き出したタイミングで、次々にインフルエンサーキャスティングを手がける会社が増えていきました。
そんな中、僕らが出したP-conneはインフルエンサーに頼らないという新しい切り口で、電通さんが提唱していたシミュラークル型拡散を体現するサービスとして、大学生に限定したプロモーションサービスをリリースしたのです。
このサービスのリリース背景としては、数あるインフルエンサーサービスの中で比較検討されるのではなく、他社が一切やっていないことをやることでオンリーワンのポジションを築くこと。
1.ニーズのパイは少ないがSNS×大学生というピンポイントニーズをすべて取ることで、学生をターゲットとしている企業との接点をつくる
2.他社とは違う面白い取組をしている会社というブランディングを図る
3.類似サービスと比較検討されないことでコスト勝負を避ける
というような、3つの目的がありました。
この戦略は当たり、メディアの取材や引き合いもいただくことができました。また、上記の2.の目的を果たすために他にもPicruiseという旅×インスタグラムをテーマにしたサービスや観光地向けに音声ガイドとコラボしたサービスなど今はクローズしたものも含め話題作りのためにオンリーワンサービスを複数出してきました。
もちろん、全てうまくいくと考え出したものなのですが、サービス提供にまで至らなかったものは僕の力が足りなかったのだと感じています。
第8章 はじめてのイベント登壇 2016年10月
7章でご紹介したP-conneは、もう1つ大きな話を持ってきてくれました。それは、Recruit Media Technology Lab.(MTL - リクルート メディアテクノロジーラボ)での登壇オファーでした。
P-conneはインフルエンサーに頼らないという謳い文句で出していたサービスではあったのですが、このサービスが面白いとイベント主催者に目をつけていただき、ご連絡を頂いたのです。
インフルエンサーマーケティングという、当時は得意としていないジャンルでの登壇でしたが、これはチャンスと捉え登壇させていただくことにしました。
一緒に、登壇した皆さんはこの業界ではものすごく有名な会社さんが多く緊張しましたが、やはりリクルートさんのイベントで登壇したという実績は非常に大きかったと感じています。
その後の様々なイベント登壇はこの実績があったからこそ繋がったな~と、今でも思ってます。
第9章 Instagram事業はじめての人材採用 2017年1月
事業をお越して1年半、CAMPiNをリリースして1年。様々な経験を積み重ねてはいましたが、未だ事業は安定せず・・・。ただ、これ以上事業を推進するにはマンパワーも足りない状況でした。(他2人の創業メンバーは他社への事業コンサルに付ききりでそちらの売上で僕は養ってもらってる状況だったので手伝ってもらうことはあっても、この事業は僕1人で推進しないと行けない事業でした。)
そこで、思い切って新しいメンバー採用をすることにしました。
この採用で拘ったのはSNSリテラシーでした。僕自身1年半かけてSNSマーケティングについて勉強はしていたものの勉強してつけた知見と、リアルに活用してもっているSNSリテラシーは異なるものだと感じていたため、私生活でSNSを使いこなすメンバーを口説き、迎え入れることにしました。
実際、そのメンバーが入ってから社内のSNSリテラシーは格段に上がり今のテテマーチの骨格をつくることができたと感じています。
第10章 売り方を模索する 2017年1月~5月
当時、テテマーチではCAMPiN、P-conne他いくつかのサービスを扱っていたものの、コンサルやインフルエンサーなどは積極的に提供していませんでした。というのも、この2つに関しては労働集約的なモデルになってしまいそうだったため手をつけていなかったのです。
ただ、この頃になるとインスタ映えという言葉が急激に市場を席巻し始め、市場のニーズも大きくインスタに傾き出します。コンサルやインフルエンサーニーズが爆発的に伸び始めていたのです。
そこで、これから一気に体力をつけるためコンサルや、インフルエンサーなどの提供に手をつけ始めました。
ただ、正直なところ実績はないのですw
今、当時のことを思い出すと良く任せてくれたな~というお客様が多くいます。もちろん、実績が無いことは伝えていました。
これできる?あれできる?という問いに対して、なんでもやれると思います。ただ、正直やったことはないのですが、こういう企画でいけば良いと思います。という僕たちの言葉に一緒に実績作りましょうと、任せてくれたお客様がいたから今があると感じています。
もちろん、1年半かけて学んできた知識はあったので自信はありましたし、任せられたからには絶対成功させるという意気込みで全案件取り組ませていただきました。
そういった機会を好事例に繋げられたことも、今のテテマーチに繋がっていると感じています。
まとめ 事業を軌道に乗せた7つのTIPS
ここまで時系列で紹介しましたが、最後に事業を軌道に乗せるために大切だったなと感じる7つのTIPSをまとめてみました。
テテマーチは2019年6月からは5期目を迎えます。そして、僕たちは自己資金のみでここまで会社を運営してきました。潤沢な資金があれば攻め方は違ったのかもしれませんが、2年かけて作ってきた基盤を更に強固にしていくフェーズに入っています。
ここにまとめたことが、これから何かを目指す人の参考になれば幸いです。
追伸
文字にしたら8,000文字くらいになってしまった。そりゃLTじゃ無理だわ・・・。
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