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世界の表現「色彩の歴史」~No.2 色の分岐~

 前回からの続きです。前回は色彩という物の捉え方、そしてそれを科学的に解明したニュートンが出てきました。

 色彩の世界に意外な人物が現れます。それが文豪ゲーテです。彼はニュートンの表した色の説明に対して反論を述べることになります。

 ゲーテは最初、ニュートンが行った「プリズムの分光実験」を実際にやってみようと実験器具を借りてきました。ゲーテはここら辺の記録もきちんと残しています。

 ニュートンとの大きな違いはゲーテは「眼鏡をかけるようにそのままプリズムを覗き込んだことです」理系の学生であれば、よりわかると思うのですが、実験とは前提条件が重要になってきます。条件が満たせていない限り同じ実験結果を得ることは不可能です。

ゲーテはそんなことは当然わかっていたと思いますが、彼が捉えていた色彩、色の世界は「自然の中にある」ものでした。

※人の横顔は「いらすとや」様より

 実際にやってみると鮮やかなスペクトルが見えることは有りません。ピントの合わないぼやっとしたものが見えます。そこでゲーテは古代ギリシアまで時間を巻き戻してアリストテレスが言っていたことを実行します。

  白と黒の境界に色が現れるはずだ。と古代の人は言っていました。だから単純に黒い帯を用意してそれをプリズムから覗き込んだのです。

 私もゲーテの体験を実行するためプリズムを購入しました。金額は1500円。光学ガラス製で非常に扱うのに気を遣う代物です(笑)

 撮影するのが結構大変でしたがゲーテが行った体験を再現することが出来ました。

 自然光あふれる部屋でもこのようなスペクトルを確認することが出来ます。しかし、実はニュートンの実験からもこの現象を説明することが可能です。それはニュートンで絞っていた自然光をスリットを広くして「より光を多く」することで同じ現象が現れるのです。

 流石に撮影するような環境ではないので図でしか表現できませんが、要するにゲーテの現象と白・黒の関係性が逆になって発現します。

 この体験によってゲーテは今まで言われてきた色の真実であるニュートンの光学とは違う考え方で色彩を語り始めることになります。この2人にとって決定的に違った点は色の感覚です。ニュートンは現象としてゲーテは光の行為だと捉えています。

  これは実際にやってみると本当に一瞬、目に赤が残ります。このようにしてゲーテは反対色を導き出していきます。専門用語だと心理補色と言います。話が逸れますが一説によると手術の際にお医者さんが着る服。やや緑ががっていますがこれは「手術で赤をじっと見つめているので、目線を動かすと目の中で残像として緑が残ってしまう」のでそれを緩和するためです。これ以外にも緑に付いた赤い血は褐色になったり、赤を見分ける能力を高めるといった効果もあります。

 人の感覚、自然の感覚が中心のゲーテの色彩論は多くの人たちに受け入れられませんでした。彼の友人であるシラーは「ゲーテが色彩論を書かなければ彼はもっと良い小説を書けだだろう」という言葉を残したそうです。

 しかし、それほどまでにゲーテがこの色彩論を描きたかったのは彼がそれに費やした時間である20年に詰まっていると感じます。ゲーテがそこまでして表現したかった色彩という物に何が隠れているのか?

これを次回やりたいと思います。

・メンバーシップ「彩方技研(株)「仮」」について

 まだ会社ではありませんが、いずれは会社にしていこうと考えています。

このメンバーシップは「気質・色彩」を含ませて構築していく一枚の絵画のようなものを目指そうかなと考えております。

分かりやすく言えば「芸術」の分野です。

物語、絵、漫画、作曲、作詞、ダンス・・・ 

様々な表現方法がありますが、そういったものを組み合わせて何かの作品を作っていければなと考えています。

また、単に気質や色彩の世界を少し覗いてみたいという方、例えば○○を気質的に、色彩的に分析したらどうなりますか?というような質問でも構いません。

初月は無料です。その後は月100円となっています。
よろしければどうぞ


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