●詩「くすぐったい」

教室の隅っこには数冊の文庫本
SF小説
先生の私物らしい
何気なく取ったその本を
眺めるようにパラパラめくる

授業が始まるチャイムの音
本を慌てて元の場所に戻し
私も自分の席に戻る

教室に入った先生が
首を傾げながらあの本を手にしている

ふいに目が合った
数秒見つめ合う
手にした本を小さく振りながら
先生がにやりと笑う

なんだか体の隅っこが
あったかくてムズムズ

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