●200字小説「天使」

 鳥の羽が落ちていると思い拾ってみると、それは天使の羽だった。白くてふわふわとしたそれはとても軽く、僕の手のひらの上で少し浮いている。
 最近の僕は、仕事をクビになり、恋人には振られ、友人には壺を買わされ、犬の糞も踏んだ。
 この羽の軽さが羨ましくなり、試しに背中に刺してみた。気持ちが軽くなる。羽を探し見つけては、背中に刺していく。
 気づけば僕は空の上。見下ろせば浮かない顔の人々。
 僕は背中の羽を一枚、また一枚と落としていく。 

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