●200字小説「ゴミ出し」

 お隣さんは幼稚園に通う女の子がいるご家族だ。女の子は毎朝ゴミ出しをする。
 雨の日でも風が強い日でも、女の子は毎日大きなゴミ袋を二つ出す。こんな小さいのにお手伝いをして、とても偉い。
「毎日ゴミ出し大変だね」
「大変だけどゴミはたくさんいるから」
「ゴミはいるんじゃなくて、ある、だよ」
「いる、だよ」
 女の子が指差したのは、通勤途中の大人たち。
「お前もだよ」
 女の子の小さく可愛い指が、私にもまっすぐ向けられていた。

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