見出し画像

■要約≪データ・ドリブン・マーケティング≫

今回はマーク・ジェフリー著の「データ・ドリブン・マーケティングを要約していきます。マーケティング分野の名著として名高く、タイトルの通り、データを活用したマーケティング活動の透明性・精度向上を成しえてビジネス成果を上げるために参照するべき重要な15の指標と実際のマーケティング活動、付随する部門折衝・システム開発などの要諦をまとめた内容となっております。アマゾン・ドットコムCEOのジェフ・ベゾス氏が選ぶビジネス書12タイトルの1冊になっており、コトラーマーケティング・マネジメントなどと並んでマーケティング分野の古典として名高い本です。自分自身がマーケティング活動に深くかかわるようになり、指標の設定・活用方法やビジネス成果の測定・考え方に関する規範を学びたいと思いこのタイミングで読んでみました。

「データ・ドリブン・マーケティング

■ジャンル:マーケティング・開発管理

■読破難易度:中(全くの所見の場合、15のマーケティング指標の横文字の多さや定義の理解に頭を翻弄されるかもしれません。プロダクトマネジメントやデータを用いたマーケティング活動に何等か関与した経験があれば実務の棚卸として非常に面白く読める内容です。)

■対象者:・ビジネスに寄与する定量分析・マーケティング業務に興味関心のある方

     ・デジタルマーケティングの急所を理解したい方

     ・ビジネスグロース・プロダクトグロースに関与する方全般


≪参考文献≫

■LEAN ANALYTICS(ビジネスモデル×フェーズ別の重要ビジネス指標とグロース施策)

■要約≪LEAN ANALYTICS前編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪LEAN ANALYTICS後編≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■LOVED 市場を形作り製品を定着に導くプロダクトマーケティング(プロダクトマーケティングの考え方・進め方)

■要約≪LOVED 市場を形作り製品を定着に導くプロダクトマーケティング≫ - 雑感 (hatenablog.com)

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント(マーケティングの伝統的な体系だった理論)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART1≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART2≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART3≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART4≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART5≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART6≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART7≫ - 雑感 (hatenablog.com)

■要約≪コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント PART8≫ - 雑感 (hatenablog.com)


【要約】

■データ・ドリブン・マーケティングの必要性

マーケティング活動の伝統的な目的は需要喚起認知向上およびブランディングCRM(顧客ロイヤリティ・エンゲージメント醸成)市場形成ITインフラおよび組織能力強化の5つにあるとされます。世の中のマーケティング活動の大半はキャンペーンなどの短期的な需要喚起に終始しているとされ、売上上位の企業ほどブランディングや顧客ロイヤリティなど未来の売上やプロダクトポテンシャルにヒットする指標を追いかけるマーケティング活動にリソースを割いているとされます。

・データ・ドリブン・マーケティングを行う為のプロセスは「戦略目標策定」→「データベース構築・分析」→「顧客分析・顧客ターゲティング」→「マーケティング施策の設計・実行」→「信頼関係構築(定着・ロイヤリティ醸成)」→「成果測定」となります。データ活用をしたマーケティング活動においては個人情報の問題が常について回るので高い倫理観を持った情報処理が求められます。インターネットサービスが普及した現代においてデータは物凄い数を活用することが出来るようになっており、そのデータを用いたマーケティング活動への反映・磨きこみをしていくことが競争戦略のカギを握るようになってきました。


マーケティングの成果を劇的に向上させる15の指標

・データ・ドリブン・マーケティングを実現し、競争優位を構築しビジネス成果を上げるために注視すべき指標は15個あるとされます。

・具体的には■ブランド認知率■試乗(お試し)■解約率■顧客満足度■オファー応諾率■利益■正味現在価値■内部収益率■投資回収期間■顧客生涯価値(LTV)■クリック単価(CPC)■トランザクションコンバージョン率■広告費用対効果■直帰率■口コミ増幅係数となります。


■非財務指標(ブランド認知率・試乗/お試し・解約率・顧客満足度・オファー応諾率)

・ブランドはプロダクトバリューの大部分を占める重要なものであり、ブランドマネジメント(ブランド価値であるブランド・エクイティを管理すること)認知率向上施策は常にマーケティング・マネジメントの重要アジェンダになります。高いブランド・エクイティは「消費意思決定の選択肢に乗りやすい」という圧倒的な強みを持ち、この認知形成を作ることだけの為に広告やCMを大量に企業は投下するのです。商品認知度は見込み顧客生成に大きく寄与し、その一点だけの為にターゲティング広告やマスマーケティングが重要アジェンダ化しています。

・「周りの人にオススメをしたいかどうか?」という問いを立てて顧客満足度(CSAT)を測定するというのは典型的なブランドマネジメントのやり方でNPSなどがその代表例です。顧客満足度は中長期的に売上にヒットするものであり、将来の売上予測にヒットするとされています。「マーケティング費用/オファー応諾数」が顧客獲得単価(CPAを算出する要素になります。


■4つの重要な財務指標(利益/正味現在価値(NPV)/内部収益率(IRR)/投資回収期間)

マーケティング施策はブランドマネジメントや見込み顧客形成など非財務的な要素も含まれますが、それでも定量の財務ヒットを証明しないことには立ち行かないとされます。「売上-費用」の利益は第一に着目・測定しないといけない項目です。営業部門は売上で評価されますが、マーケティング部門はプロダクトの収益性ポテンシャル拡張に責任を負うので、利益から逃げることはできません。データを定点観測・分析・小さくPDSを回し続けることで秩序がたもたれ、意思決定の精度や透明性が高まります。正味現在価値(NPV)は「現在価値(PV)-費用」で構成されます。マーケティング施策は未来の売上に寄与するケースがあり、時間軸の概念をいれて評価しないと難しいということからファイナンス的な考え方をすることが推奨されています。

マーケティング施策は「認知形成」・「ブランド価値向上」・「将来の見込み顧客生成」等にヒットするために、投資対効果を回収する為に一定の期間が必要になり、現在価値理論と合わせて借用しないと施策の善し悪しを判断できなくなります。「キャンペーンやチャネル選定などの費用対効果・シミュレーション分析などをして投資獲得を仰ぐ」ということはマーケティング担当者の必須の思考プロセスであり、顧客のセグメンテーション・マーケットポテンシャルの把握・ファネル分析による重要アジェンダの抽出していくのがミソになります。


■LTV(顧客生涯価値)について

・一般的に売上はパレートの法則がはたらき、平等至上主義は時に利害に反することもあります。平等至上主義は相対的に重点顧客を軽視し、非注力にすべきセグメントに過剰コストを割いていることになりうるのです。LTVを考える上では顧客獲得単価(CPAを考慮することを忘れてはならず、「どの顧客にも獲得単価がかかっており、それを捨ててまで別の顧客を開拓するのか・他の顧客を優先するのか」は考えないといけない観点です。

・顧客を特定のセグメントできり、売上や利益の成績などを可視化・記録・運用していくことがマーケティング・マネジメントには欠かせず、これを行うにはかなりのITシステム投資・CRMシステム構築が不可欠になります。顧客の構成比や関係性に応じて適切な対応頻度や対応内容を徹底していくこと「未来の売上・利益貢献可能性の高い顧客を算出・深耕していくというのが欠かせない視点になります。サービス対応方法や品質に関しても時に顧客との接点や関係性により見直す必要があり、赤字顧客というのが一定数存在することを注視しないといけません。


■デジタルマーケティングの急所となる4指標(クリック単価(CPC)/トランザクションコンバージョン率(TCR)/広告費用対効果(ROAS)/直帰率/口コミ増幅係数(WOM))

・インターネット・マーケティングは顧客動向を定量的かつ時系列で定点観測することが可能にし、クリック単価(CPC)という費用対効果が明確に測定できる概念をもたらしました。インターネット広告は「特定のサイトへ誘導・購買促進に寄与したかどうか」を測りやすく、データを起点としたマーケティングの意思決定を容易にしています。TCRは広告をクリックしてウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合をさし、マーケティング施策の善し悪しを測るベンチマーク指標として良く活用されます。クリック率と合わせることでオファー応諾率をはじき出すことが可能であり、「いくらお金をかけたらどれくらいの集客に寄与するのか」が明確になります。広告費の効率性を測定するものとしてROAS(収益/費用)があり、様々な広告媒体やキャンペーンの善し悪しを測定することが可能になります。

・ウェブサイトの効果を計測する意味において直帰率(滞在5秒未満で離脱してしまうユーザーの割合)を測定するという考え方があり、直帰率はプロダクトの解約率と同じような考え方になります。

消費財・BtoCプロダクトの場合は集客経路に知人紹介・拡散(バイラル)を用いることが多く、狙ってバイラルを形成することが継続的な集客力の源泉になります。その為に、口コミ増幅係数(WOM)を観測してマーケティング施策やチャネルのパフォーマンスを測定するというのはよくあるやり方です。バイラルは「バイラルそのものへのインセンティブ」や「顧客ロイヤリティマネジメント」により間接的に狙うことは可能です。顧客の流入経路ファネル分析は継続的に行うことで売上・利益貢献度合いやボトルネックを特定してマーケティング・マネジメント戦略をアップデートしていくことがポイントになります。


【所感】

・本書は上記要約に加えて、大量のデータを収集・分析・活用していくためのITインフラ投資の御作法やステークホルダーマネジメント・経営陣を巻き込み部門横断でデータ活用をして意思決定の精度を向上していく為にマーケティング部門が抑えておくべきポイントや具体的な手順を詳細に示しておおり非常に勉強になります。間接的に自分が関わる業務の棚卸、規範を学び直すという形で読み解くことが出来、面白かったです。

プロダクトマネジメント分野で学んだプロダクトグロースを狙って行う為にどのように論点を炙り出し、可視化・測定していくか・何に着目していくかといった思考プロセスに通じるものがあり、非連続の成長や変革を牽引していくロール全般における普遍的な考え方・バランス感覚なのだと自分の中で深く納得する内容でした。


以上となります!


いいなと思ったら応援しよう!