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夫と家事を分担したいと思えども

最近「ジェンダー問題」について考える機会が増えているが、まず取り組むべきは足元から、つまりは「我が家の家事分担」からだと思っている。
私の夫は、頼めば色々やってくれるが、こちらが指示しなければ何もしてくれない。自発的に家事をしてもらうためには、どうすればよいのだろう。

「家庭内の家事分担」は、簡単なようで難しい。それは、日本の多くの女性たちにとって共通の悩みかもしれない。

だが、今回は自分の家庭内のことは置いておき(はい、現実逃避です…)、まずは日本の家事分担の現状を知りたくて、男女の機会均等の推進に取り組んでいる「内閣府男女共同参画局」のサイトをのぞいてみた。

そこで興味深いコラムを見つけたので紹介してみたい。
OECD(経済協力開発機構)が2020年に発表した「生活時間の国際比較」という統計についてのコラムだ。

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r02/zentai/html/column/clm_01.html

この国際比較データ(15~64歳の男女を対象としたもの)によると、有償労働時間、つまりお給料をもらえる仕事に就いている時間は、多い順に、
日本男性(452分)
2 韓国男性(419分)
3 カナダ男性(341分)となっている。
OECD平均は、女性218分、男性317分である。
やはりと言うべきか、日本男性の「長時間労働」は世界最高レベル
ちなみに日本女性は272時間。2014年の調査時の206分から大幅増となった。

どの国も有償労働時間は男性の方が長いものの,男女比(女性を1とした場合の男性の倍率)を見ると、比率が大きい順に、
1・2 日本とイタリア(1.7倍)
3 ニュージーランド(1.6倍)
つまり、日本では、男性の方が女性の1.7倍、長く働いている

無償労働時間、つまりお給料をもらえない家事、育児、介護などの時間が長いのは,
1 イタリア女性(306分)
2 スペイン女性(289分)
3 ニュージーランド女性(264分)となっている。
ちなみに日本女性は224分で、2014年の調査時の299分から大幅減となった。
つまり日本人女性は、「家事を減らし、外での労働時間を増やしている」傾向が見られる。

ちなみに家事などの時間が短いのは、
日本男性(41分)
2 韓国男性(49分)
3 イタリア男性(131分)の順。
なお、OECD平均は、女性262分、男性136分である。
これも予想通りだが、日本の男性は極端に家事労働が短い

そして無償労働時間の男女比(男性を1とした場合の女性の比率)を見ると、男女比が大きい順に、
日本(5.5倍)
2 韓国(4.4倍)
3 イタリア(2.3倍)である。
日本では女性が男性の5.5倍、家事などの無償労働をしている。

最後に、有償・無償、すべての労働時間の合計は、多い順に、
1 日本女性(496分)
2 スウェーデン女性(495分)
3 日本男性(493分)となった。
つまり、男女ともOECD諸国の中で、いちばん労働時間が長い。

これらのデータから以下のような特徴が読み取れる。

・男性の有償労働時間が長すぎる。
・男女とも有償労働時間が限界近くまで長くなってきている。
・女性の有償労働時間も年々、長くなっている。
・家事などの無償労働が女性に偏っている。

コラムでは次のような指摘がなされている(太字は私)。

…我が国においては,男性の労働時間のバランスを変えてみてはどうだろうか。具体的には,日本男性は「もっと家事・育児・介護を分担しましょう!」と言われても,際立って長い有償労働の時間がそのままでは難しい。
「(通勤時間も含めて)仕事にかける時間を見直してその分を家事・育児・介護に回しましょう!」ということになろう。
もっとも,男性の有償労働時間を減らしても収入は維持しなければならないから,テレワークで通勤時間を減らすことも含めて男性自身の時間あたり収入が増えること,共働き世帯であれば妻の時間あたり収入が今よりも増えることが必要になってくると考えられる。

男女共同参画局コラム「生活時間の国際比較」

ここに、冒頭でも述べた、「夫に家事を分担する難しさ」の大きな理由のひとつが現れている。
つまり、「夫が仕事で忙しすぎて疲労困憊しているので、妻としては(自分の方が収入が少ないこともあって)夫に家事をお願いするに忍びなく、つい自分で引き受けてしまう」構造だ。
それで収まっていればいいのだが、とりわけ妻も仕事をしている場合は、人間ですもの、時おり「なんで自分ばっかり!」という気持ちが沸いてきて、不和の元になる。

上記コラムが提案する「男性が仕事にかける労働時間を減らす」ことは、テレワーク等の柔軟な働き方を推進することで少しずつ進展するかもしれない。
一方の「女性の収入を高める」ことは、少々難しそうだ。なお、男女の賃金格差は、先進諸国は5〜15%のところ、日本では20%以上と言われている。
その辺りの考察も、今後、進めていきたいと思っている。

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