衆院選比例ブロックの過去結果から、議席獲得な得票率をまとめ(③北関東ブロック編)
まえがき
「衆議院比例代表の各ブロックの選挙結果(過去6回)から、1議席獲得に必要な得票率をまとめる」シリーズの第3回です。
衆議院における比例代表選挙では、
47都道府県を11ブロックに分割しています。
比例代表はドント方式といって、一定の得票率を獲得することで1議席得ることができますが、ブロックによって定数が異なるため、
当選(1議席獲得)に必要な得票率も異なります。
各ブロックごとの状況を、過去6回分算出しましたので紹介します。
前回までの北海道編/東北編はこちら
01.比例区北関東ブロックの定数
北関東ブロックの定数(当選枠)は、19議席です。
第45回~47回は20議席、第48回~は19議席に減少しています。
一般的な北関東(茨城、栃木、群馬)に、埼玉を加えた計4県が対象エリアとなります。
11ある比例ブロックでは、ちょうど中間に位置します。
東京ブロックが定数が増加するため、同じ定数になります。
1議席獲得のためには中間の難易度です。
現状のれいわの支持率も踏まえると、決して難しいブロックではありません。
(後述しますが、平均4.33%の得票が必要になります)
過去の定数は20議席だった時代も含めて、
本ページでの分析は19議席だったものとみなして話を進めます。
02.比例区北関東ブロックの傾向
02-01.過去6回の全党の得票数
過去6回(2005年の第44回~2021年の第49回)の全党の得票数です。
備考:表の読み方
表は左から、以下のようになっています。
◆過去6回の衆院選の回次と開催年
下に行くほど新しくなります。
◆割る数
ドント方式では、得票数を自然数で割った値を使用します。
◆政党名と各党の得票数、獲得議席と得票率
[1]の値が実際の得票数であり、[2]以降は、得票数をその数字で割った値になります。
(補足1)
全ての政党で2.3.4….と割った値を算出して、以下のように色付けしています。
(補足2)
・「民主党」として1まとめにしていますが、
2014年までは"民主党"、2017年からは"立憲民主党"です。
・「維新」として1まとめにしているものは、
2012年は"日本維新の会"、2014年は"維新の党"、2017年から再び"日本維新の会"です。所属議員は一部入れ替わっていますのでご注意ください。
[人]の値のうち、上側は当時の当選者数、下側は現在の定数12で計算し直した場合の当選人数です。
◆ボーダー当選の値と、前後の値
ドント方式による計算によって、1議席獲得に必要となる「ボーダーライン当選の数値(つまり、最下位でもいいので当選するために必要な票数)」と、その前後(「ブービー当選」と「次点」)の値を示したものです。
◆有効票と1議席ボーダー
・「有効票」は、各政党が得た有効票の総数です。
・「1議席獲得に必要なボーダーライン」は、「次点の数値に1を足したもの」を「有効票」で割ったものになります。
1を加算していますが、実質的にはほぼ無視できる差分になりますので、次点の得票率と近似します。
(以前は「ボーダー当選の数値」を「有効票」で割っていましたが、変更しています)
02-02.過去6回の主要政党分の得票率と獲得議席
表2は、議席を獲得した政党+れいわ新選組などの主要政党分を抜粋したものです。
【注意事項】
47回までは定数が20ですが、
定数19をボーダー(最下位当選)とした場合で計算し直した数値となります。
青で記したものは議席が減る党です。
47回以前は20位で当選できていましたが、48回からは落選します。
当選枠が少ない場合、1議席獲得に必要なボーダーラインは上がることになりますが、北関東においては
最も低い得票率でも当選できたのが、2009年の4.21%。
最も高い得票率が必要にだったのが、2005年の4.47%。
6回平均では4.33%でした。
なお、小政党が乱立するとボーダーが下がります。
02-03.読み解ける地域的特徴
表2で黄色・青色部分に着目すると、
自民党、公明党でおよそ半数、立憲(民主)党など、その他の野党で残り半分の議席を分け合う状況です。
回次に関わらず、自公は9議席以上を安定的に獲得しています。
前回2021年は自民が7、立憲が5、公明が3、維新が2、共産が1、国民が1でした。
共産党は、6回とも1議席以上を獲得。公明党のほぼ半数程度の得票数です。
国民民主党が1議席を獲得して、0議席だったれいわ新選組とは差が付きました。
(ただしお隣の東京では、国民民主が0議席、れいわは1議席と関係が逆転)
02-04.12位当選の得票数
表3は、表1における19位当選に相当する得票数を抜粋したものです。
この数値は定数を19としたときの最下位当選となる得票数なので、これより得票数が少なくても当選は可能です。
(次点よりも1票でも多く取っていれば当選はできるため)
20位で当選できた頃に比べると、最大2万票(最小では1千票)上積みが必要となります。
03.れいわ新選組の状況
03-01.れいわ新選組の得票状況
れいわの過去の東北ブロック内における得票率ですが、
・2019年/参議院選挙は、231,269票/4.36%
・2021年/衆議院選挙は、239,592票/3.88%
・2022年/参議院選挙は、271,482票/4.84%でした。
3回だけのサンプルしかありませんが、
21衆議院では0.5%ほど落とし、22参議院で再度1%上昇。
なかでも'21衆議院選挙→'22参議院選挙において、
もっとも得票率を上げたのは埼玉県です。
過去に選挙区として候補者を立てていなかった県に初めて候補者を立てたことで比例票を引き上げたということが一因として挙げられます。
4.33%をターゲットにした場合、
前回の参議院選挙では4.84%と、既に1議席ラインはクリアしていることになります。
前回の衆議院選挙では議席を獲得できませんでしたが、次回は1議席増加が見込めます。
(19年は山本代表も比例出馬しましたが、21年・22年の選挙においては北関東は当落には無関係なブロックです)
ただし、2議席獲得のためには8.66%必要であるので、4%弱の上積みが必要となります。
03-02.れいわ新選組の候補者擁立状況
2023/09/05時点では
北関東ブロック内では候補者は発表されていません。
衆議院では前回はこのブロックに小選挙区の候補者を出していません。
(22年参議院では埼玉県に候補者を出しました)
選挙区に候補者を出した場合には比例票も確実に伸びるため、一定の相乗効果が見込まれます(実際に参議院選挙における埼玉ではそのような効果が見られました)。
ただし、重複立候補の場合、小選挙区において10%得票できないと復活当選ができなくなります。
先の通り1議席は見込めることを考えると、取りこぼしは禁物です。
任期が迫っていた一昨年の衆議院選挙では、2月の時点で公認候補者の会見を行っていますが、結果的には比例単独に変更となりました。
今回はまだ任期が半分以上残っています。
解散は(支持率も低迷している現状では)当面無さそうなことも踏まえると、比例単独であれば候補者発表はまだまだ先になりそうですが、小選挙区の立候補予定者はそろそろ立てるべき頃でしょう。
なお、小選挙区に候補者を立てる場合、小選挙区は33区あります。
・茨城県 ・・・・・・・・ 7区
・栃木県、群馬県 ・・・・ 5区
・埼玉県 ・・・・・・・・16区
埼玉は人口が多い県ではあるものの、4県とも、自民党が強い地域です。
緊縮指向の強い議員もいるため、野党系の候補がいる選挙区であろうと、遠慮なく候補者を立てる可能性はあります。
専ら人口が多くてエリアが狭い都市や、後述の地方議員が属するエリアに立てることになるでしょう。
全員が重複立候補になるとして、2~4名でしょうか。
自治体単位での得票率まではまだ調べ切れていませんので、後日更新することにします。
03-03.れいわ新選組の地方議員
2023/08/20時点でのブロック内の地方議員は9名です。
れいわ新選組公認候補で今年当選した方が7名、当選後の入党者が1名、
今年選挙が行われる現職議員が1名です。
埼玉県内の市議会議員選挙については、6人全勝でした(県議会議員選挙では残念ながら落選者あり)。
これは前年に埼玉県内に初めて選挙区の候補者を擁立した効果もありますし、首都圏には強いれいわにおいては、その後においても支持率を伸ばしている可能性は高いです。
順次各ブロックについて考察を上げていきます。
候補者が発表され次第、本ページも更新予定です。
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