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【#6】言語のカベを破壊する
ソロモンの人たちに日焼けの概念があるのか、たまに気になっている。メラネシア系に属するこの国の人々は、肌が基本黒い。「うわあ、今日焼けちゃったよ!haha!」みたいな会話って行われているんだろうか。もうそれ以上に黒くならなそうな気もするけど、日焼け止め塗ってなさそうだしやっぱ焼けてるのかな。日差しが強い日はそんなことを考えていたりする。ちなみに僕はちょっとずつ黒くなり始めた。
任地アウキについて早1週間。到着して翌日には小学校での活動もスタートさせた。カウンターパートに当たる相談役はポール校長先生。「まずは全クラスの授業を観たい」というこちらの要望を聞いてくれて、最初の2週間は各クラスを回っていくことになった。ただ、何曜日に何年生を観る、とは決まっていないので、先生達に「今日あなたの教室にいてもいい?」と聞くことから1日が始まる。
「いつでも来ていいよ!」と返してくれるその顔には、「日本から来た青年にいきなり見せるなんて恥ずかしい」とも書いてある。たしかに、外国人の先生が「あなたの授業観させてくれ!」と急に言ってきたら緊張するよな。それでも招いてくれて、丸つけや学習のサポートを任せてくれるからありがたい。
校舎図と教室配置をメモ帳に書きながら、16人の先生の名前を頭に叩き込む。何よりもまず、同僚となる先生と関係を築くことが最優先だ。顔と名前を覚えたら、次はその先生が他にどんな言語を話すのかを聞いてみる。実はソロモンは、共通語である英語とピジン語の他に、出身地域などによってさらに異なる地域共通語を話す。これが発展して、「同じ共通語を話す人は全員仲間!ワントク!」という認識がなされ、地域共同体(ワントクシステム,One Talk System)が形成された。この文化は今でも続いているらしい。
任地アウキ地域には、「kwara’ae(クワラエ語)」と「Langa langa(ランガランガ語)」の地域共通語が主に話されていると教えてもらった。んーーーー。やっとピジン語で不自由なく会話できるようになったのに!!!new言語がさらに2つ来てしまった。でもこの2つは話せれば話せるだけ、その人たちからは「お前も仲間!ワントク!」と懐に入れてもらえそうな気がしているので、とにかくメモしながら覚えている。この島だけでも10近い地域共通語があるみたい。
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ちなみにこんな感じ。例えば「おはよう(Good Morning)」を言うとして、「kwara’ae(クワラエ語)」を話す人には「オホディン!」「Langa langa(ランガランガ語)」を話す人には「ラフレオカ!」みたいに声をかける。見た目では当然判断できないので、とりあえず「オホディン!」と言ってみて、通じなかったら「ラフレオカ!」。そんな戦法だ。
そんなこんなで、言語による共同体を大事にするソロモンの特性をうまく利用しながら生活している。一方で、学校の子ども達には「オハヨウ運動」を始めてみた。内容は至ってシンプル。朝早めに学校の入り口に行って、日本語で「オハヨウ!」と話しかけるのである。「この町の共通語を日本語に変えてやるんだ!」と出国前に酒の席で語っていた冗談を、異文化交流の名のもとでほんの少し実現させようとしている。
果たして、僕が現地語に染まるのが先か、彼らが日本語に染まるのが先か。勝負にもならない小さな勝負だけど、こうやって障壁をなくしていく挑戦はとても楽しい。来週も楽しみと思えるなんて、嬉しい感情だな。
◯おまけ
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書き込めないからノートに写してるけど、めちゃ時間がかかる
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放課後紙ヒコーキになってたけど
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校長先生の話の聞き方は日本と同じみたいだ
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これには少しびっくり
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おやつを売って小銭を稼いでいる、おもしろい
今回はここまで。
福岡の小学校で3年間勤めた後、JICA海外協力隊2024年度2次隊になる。派遣国はソロモン、職種は小学校教育。現在はマライタ島アウキにある小学校で活動中。人生の目標は「いいパパになること」。
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