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よよこ、ストーリーを撮る

ブライダル写真とひと言でいっても、概念はさまざま。
これまでのよよこは
「ルールに従いお二人の大切な記念日を撮影する」
ことに専念していた。
それは決して間違っていない。
美しく、素敵に撮ることは得意だった。

でも、新しい会社で撮影された写真は

”生きて” いた。

結婚式は衣装にまとわれたお二人を
ただ、きれいに撮ればいいわけではない。
お二人が当日を迎えるまでにはさまざまな歴史が存在する。
そこにはお二人だけではなく、
親族であったり友人であったり、
一人ひとりとの想い出が存在している。
そして、選ばれた会場への想い、
その日の季節や天候、
準備されたさまざまなアイテムもある。

訳も知らずにただきれいに撮るのと、
歴史と想いを知った上でシャッターを切るのとでは、
一枚に込められた写真の意味合いが異なる。
写真には、その場の空気をも写し込むのだ。

お二人が写真を見返したとき、
その場の笑い声や息づかい、食器の奏でる音色まで聴こえてくる。
それが「生きた写真」なのだ。

新しい会社のカメラマンたちが撮影する写真をみて、
よよこははっと我に返った。
「自分はこれまで何をみて、何を撮っていたのだろう」
確かにできあがりの写真はきれいだし、お客様の評価もよかった。
でもよよこには何かが足りなかった。

新しい会社でも何度か研修に入った。
撮影した写真は社長がチェックしてくれる。
社長は黙って写真を眺める。
この静かな時間が異常に長く感じた。
どう思っているのだろう。。。

「殻をやぶりなよ」

いろいろなアドバイスの中で、特に印象に残ったことばだった。

規律に従い、きちんとした写真を納品することに力を注いでいたよよこには
そのすべてが新鮮だった。

創造性は規律を超えたところにある。

よよこの感性に火がついた。


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『よよこ、プロカメラマンになる』
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