ロンドンからの便り:6.イギリスのことを何というのか?
ロンドンに到着して間もなく、サッチャー元首相が亡くなりました。スーパーマケットに新聞を買いに行きました。見出し画像は、その時の撮影した新聞の一面です。
「イギリス(Britain)を救った女性」(The woman who saved Britain)というタイトルが、印象的でした。
はじめに
ロンドン大学SOASでの在外研究のために、2013年の4月1日にロンドンの滞在先に到着しました。
まだ落ち着かない4月8日に、マーガレット・ヒルダ・サッチャー元首相が亡くなりました。英国初の女性首相でした。サッチャー元首相は、保守的かつ強硬な政治姿勢から、「鉄の女」(Iron Lady)と呼ばれました。
そのサッチャーの選挙区が、私たちが住んでいたフィンチリーだったのです。当然のことながら地元紙は、彼女を国葬(state funeral)にしろと書いています。戦後、最初で最後の国葬だったチャーチルを引き合いに出していますね。
葬儀は、4月17日、ロンドン中心部のセントポール大聖堂で営まれました。葬儀には、エリザベス女王も参列し、国葬に準じた扱いで執り行われました。
テレビの生中継を見ました。
第6便 7月某日
私たちが住んでいたのは、ロンドン北部のバーネットという区のノース・フィンチリーという地区です。
バーネットは、1963年のロンドン政府法によって設置された、イングランドのロンドン北部にあるロンドン自治区です。正式名称は、バーネット・ロンドン自治区(London Borough of Barnet )です。ロンドンの外側にある、アウター・ロンドンの一部です。東京23区の外にある市(三鷹市とか調布市)のようなものですね。
フィンチリー(Finchley)は、そのバーネット区の中にある地区です。
手紙の住所表示
私たちが住んでいるここの住所、郵便物が届く時の住所の書き方が、日本とは全然違っていたので、それを紹介します。
ご存じのように、書き方が日本とはまったく逆です。
私たちが住んでいるここの住所は、以下の通りです。
Keiichi Matoiba
Flat 9 Vivian Court
54 Alexandra Grove
London N12 8HJ
UK
1行目の Flat 9 Vivian Courtというのは、ビビアン・コートという建物の9号室という意味です。
次の 54 Alexandra Groveは、建物がある通りの名前です。
つまり、アレクサンドラ通りの54番地ということです。
郵便の住居表示の時には、住んでいる街の名前であるフィンチリー(Finchley)も、行政区画であるバーネット・ロンドン自治区(London Borough of Barnet )もスキップして、いきなりLondonがくるのです。
つまり、建物の名前と部屋番号、次に通りの名前と番地、そしてロンドンとなります。それで、郵便物も日本からの小包も間違いなく届きます。
郵便番号
日本と比べると、郵便のための住所表示がすごく簡便です。
それを可能にしているのが、郵便番号です。
郵便番号は、postcode あるいは、zip code と言います。田舎でタクシーに乗り、目的地を言ったらすかさず、「zip codeは?」と聞かれ、怪訝な顔をしたらすぐに「postcodeは?」と聞かれました。優秀な秘書である彼女がすかさず郵便番号を手書きで見せたら、それをカーナビに打ち込みました。
郵便番号でまさに行きたい場所にカーナビが連れて行ってくれるという感じです。
ここの郵便番号は、N12 8HJです。
前半のコード、N12は、大まかな地域を区別する役割があります。最初のNは北ロンドンをあらわします。北ロンドン地域は、N1からN22までに分類され、ここノース・フィンチェリーは、N12の地域にあるということです。
後半のコードが、郵便配達の際に必要となり、住所を特定するものです。
国名について
最後に国名を書きます。
日本の正式名称は日本国ですが、Nipponは必ずしも一般的ではありません。
野球では侍ジャパン、バレー・ボールだとニッポンですね。
でもイギリスから日本に手紙を書く場合は、国名は、Nipponではなかなか日本には着かなくて、やはりJapanと書いた方が無難なような気がします。
イギリスの場合は、イングランド(England)ではなく、UKです。
日本での通称はイギリス、英国ですが、英語圏では、United Kingdom、頭文字をとってU.K.、あるいはUKと略称されます。
イギリスの正式名称が、グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland) だからです。
グレート・ブリテンは、イングランドだけで構成されているのではなく、ウェールズとスコットランドもその中に含まれています。
テレビを見ていると、英国の人たちは、イギリスのことをBritainと呼んでいます。イギリスのことをイングランドと呼ばれると、スコットランドやウェールズの人たちは不愉快ですよね。
イギリスやイギリス人のことを何と言うのか
私たち日本人は、英国のことをイギリス、そして英国人のことをイギリス人といい、英語はイングリッシュ(English)なので、ついつい、イギリス人のことをイングリッシュと言いがちです。
Englishは、イングランド人のことです。スコットランド人は、Scottish、ウェールズ人は、Welsh peopleです。
よって、日常会話で、イギリスという国を意味する場合は、Britain、イギリス人という場合は、Britishを使います。サッチャー元首相の死を伝える新聞でも、Englandの文字ではなく、Britainが使われています。
多分、私たちの世代にとっては、つまり、70歳前後の世代にとって、イギリス=Englandという刷り込みがあります。少なくとも私は、そうでした。だから、郵便物の国名表示でのUKも、そして、イギリスやイギリス国民を表現するのに、BritainやBritishを使うというのは、とても新鮮な発見でした。というか、驚きでした。
最後に
「はじめに」で、サッチャー元首相の選挙区が、私たちが住んでいたフィンチリーだということを紹介しましたので、そのフィンチリーという地名の語源について、最後に調べたことを書きます。
フィンチリー(finchley)という語の初出は、OEDによれば、finchelee-leya(c.1208)だそうです。つまり、この言葉は、1208年に初めて使われ、その語義は、the clearing in the forest with the finches つまり、「フィンチという小鳥のいる森の中の開拓地」という意味だそうです。
ちなみにフィンチというのは、スズメ型の小鳥です。
文鳥デイズというブログによれば、フィンチとは、スズメ、文鳥、十姉妹など、およそ600〜700種類の小鳥がフィンチ類に含まれます。
本日も最後までお付き合いいただき、有難うございます。