夏バテには豚肉
8月も最後の週になり、朝晩には秋を感じるようになりましたが、日中は相変わらずの30℃超えの残暑厳しい日がまだまだ続きそうです。ここ数年、気候変動による地球温暖化で暑い夏を経験していましたが、今年の夏は特に暑い日々が続いたような気がします。屋外だけでなく屋内で熱中症になり運ばれる方も多く、また夏バテをしたという人も多く聞かれました。人それぞれ夏バテ対策はあると思いますが、今年は「豚肉」を食べて今のところ夏バテを回避するといった夏バテ対策をしてみました。豚肉にはビタミンB1が多く含まれ多く含まれています。ビタミンB1は炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変える酵素を助ける働きにより、エネルギーがスムーズにつくられ、疲労回復につながります。夏バテの主な原因は「食欲不振によるエネルギー不足」と言われています。その食欲不振からくるエネルギー不足を補うためにビタミンB1が効果的とされ、夏バテには「豚肉」がよいとされています。
もともと豚肉は日本人の食生活と密接な関係にあり、令和4年の食肉の購入数量を畜種ごとに見ると、豚肉は7660グラム、鶏肉は6225グラム、牛肉は2141グラムとなり、豚肉は最も消費されているお肉と言えます。しかしながら、いずれもの食肉も前年よりも消費は減少しました。牛肉に比べると値段が手ごろな豚肉ですが、ここ最近は物価上昇の影響を受けて、小売価格が例年の3割高になっていると言われています。一般社団法人全国スーパーマーケット協会が4年12月に実施した消費者調査によると、物価上昇の影響で購入や利用を減らそうと思うものとして、36.7%の者が食費と回答し、食費は、衣服関連、水道光熱費と並んで節約する3大費目とされ消費者の食に対する節約志向が顕著となっています。猛暑日の続く日本の夏を過ごすうえで、夏バテ防止に適した豚肉の消費が価格の上昇などの影響で減ってしまっているのは非常に残念です。
養豚だけに限らず、日本の畜産業は高齢化や後継者不足による生産者の減少が続いており、経営規模の拡大によって生産量を維持しています。畜産物に掛かる関税率の削減・撤廃や輸入枠の拡大(TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定)により日本の畜産業は低価格な輸入品との競争が求められ、また、最近では円安や国際情勢による飼料の価格高騰や、豚熱などの家畜伝染病への対応など、畜産業を取り巻く現状は非常に厳しいものとなっています。下の図からもわかるように小規模の養豚場は減少し、大規模化が進んでいる。畜舎建築特例法による建築基準法からの適用外や畜産クラスター事業等による補助など大規模化する畜産経営者を支援する制度はあるものの、災害復旧や大阪万博の影響による建築資材の高騰により生産者の負担は大きくなっている。
最近では世界の人口増加による食糧需給の拡大、地政学リスクの高まり、気候変動による食糧生産の不安定化を背景として食料の安全保障への関心が高まっている。政府は食料安全保障の考え方を、「国民一人一人が活動的かつ健康的な活動を行うために十分な食料を、将来にわたり入手可能な状態」と定義し、平時から食料安全保障の達成を図ることを目指しています。主食となるコメは勿論のこと、養豚を含む畜産、果樹の他に、輸入に頼っていた家畜の飼料も安定供給をする考えを示し、畜産業における経営コストの半分を占める飼料の安定供給や流通の効率化も考慮した畜産経営への支援にも乗り出しています。
日本人と豚食の関係は古く、新石器時代の遺跡から鹿などの骨と一緒に猪の骨が見つかっています。「日本書記」の中に大陸から渡来した人の家で猪(豚)を飼養しているとの記述がされていることから、猪(豚)を家畜として飼養することは大陸から来た渡来人によって広められたと考えられます。その後、仏教の伝来に伴い、徐々に殺生禁断の思想が日本国内に広まっていくと、食肉の習慣が無くなり衰退していきましたが、明治時代に産業の振興とともに畜産振興も図られ、戦後の食文化の洋風化に伴い養豚が再び注目され発展を遂げました。しかしながら、一方では豚肉の輸入自由化、担い手の減少等の深刻な問題も発生し、飼養農家数が急速に減少する時代となり、養豚産業は新たな変動期を迎えていると言えるでしょう。夏バテ防止だけではなく、私たちの食文化おいて欠かすことのできない「豚肉」を美味しくいただくために様々な政策が打ち出されていますが、国内の養豚産業を支えるためには消費者の正しい理解(安い外国産ばかり買わないなど)も必要だと思います。
おまけ
ところで鮮肉の消費量を見ていて思ったのが水戸市民はあまり豚肉だけではなくお肉を食べない。全国主要都市52市の中で肉類全体の消費金額が50位。水戸市内を見てみると有名なお肉屋さんとかもあるのに謎。もしかして納豆とお肉は食べ合わせがよくないのか…。納豆トンカツは美味しいから相性が悪いわけではなさそう…。
豚の写真がなかったので偶然見つけたトトロ。