農為國本
梅雨が明けて連日酷暑が続いています。昨今の気候変動による農作物の影響も少なからず出でいるようです。先日、コメの品薄によって価格高騰が続いているという報道ごありました。猛暑による不作で流通量が不足する中、インバウンド回復による外食需要の急拡大で需給が逼迫していることが要因として考えられています。農林水産省が発表した6月のコメの相対取引価格(速報)は、令和5年産米の全銘柄平均で約11年ぶりの高値水準となり、卸売店や飲食店は価格の引き上げを余儀なくされ、私たち日本人の主食であるコメが手軽に手に入りづらい状況となっています。
減り続ける農業従事者
高度経済成長期を過ぎた頃から、国民の食生活は欧米化したことにより、日本人が食べるコメの量が減り、需要減に伴う供給過剰からコメの価格が大幅に下落。それを受けて、政府はコメの価格安定を図るため、減反政策や麦・大豆などへの転作を奨励するなどコメの生産調整を行ってきました。コメ農家の農業所得を時給に換算すると480円、果物や野菜で500〜600円といった資産もあり、結果として離農する農家が増え、高齢化や担い手不足といった問題が挙げられています。
諸外国の農業従事者
アメリカでは食糧は「武器」と認識して、穀物に対して年間1兆円にも及ぶ輸出補助金を使い、輸出振興を行いながら戦慄的に支援をしています。これは、武器など軍事的なことなお金をかけるよりも安上がりだという認識に基づいているそうです。よく「日本の農家は補助金で成り立っている」と言われています。日本の農家の所得の3割程度を何かしらの補助金で支えています。しかしイギリスやフランスでは9割、スイスに至ってはほぼ全額を補助金によって農業従事者を支えています。自国民の食料を担う産業を、国民全体で支えていくと考える方は諸外国では当たり前のように行われています。
農は国の大本なり
国家安全保障の要は「国民の命を守り、国土を守る」ことです。カロリーベースで38%と日本の食料自給率は先進国でも低い中、ロシアのウクライナ侵攻、パンデミックによる物流網の停止など私たちは自分達で食料を安定的に確保することの重要性を知ることになりました。食料確保だけではなく国土保全の観点からも農林水産業を持続させていくことが重要です。「大御宝(おおみたから)」という言葉を耳にしたことがあると思います。これは「田を耕す人々」を意味することから、農業は国の大本として農業に携わる人々を国の宝と捉えていたといのが表されています。人口減少による国力の低下、東アジアを取り巻く地政学的リスクなど、私たちが安全・安心を担保するためにも農業振興は避けて通ることができない問題だと考えています。
おまけ
農業振興の重要性を言っている割には、家庭菜園以下のプランターできゅうりの栽培しかしていない…。時折、知人からお誘いをいただき、農作業を手伝いに行くがとても従事しているとは言えないレベル。農業への新規参入には農業を守るという点から様々なハードルがある。生きていくうえで欠かすことのできない食糧問題も簡単には解決できない複雑な問題なのである。素人にはプランターできゅうりを作るくらいしかできないのだろうか。