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身近な地方選挙

衆議院選挙やアメリカ大統領選挙が終わり世の中からは選挙ムードがなくなりつつあります。しかし、地方に目を向けてみると、毎週どこかで選挙が行われています。大きい所では県議会の全会一致の不信任決議案可決を受けて失職した兵庫県知事選挙や、身近なところでは現職に新人2人が立候補している茨城県守谷市長選挙の投票日が明日に迫っています。国政とは違い自治体の首長選挙は身近な問題が争点となることが多いので関心を示す方も多いでしょう。今年の6月に改正された地方自治法では地方分権のあり方が話題になっていたので少しだけおさらいをしたいと思います。

地方自治法改正のポイント

本年6月に改正された地方自治法は、昨年の地方制度調査会において立案された内容に基づいています。新型コロナウイルスがもたらした社会の急激な変化に十分に対応できなかったことを踏まえ主に「DXの進展を踏まえた対応」「地域の多様な主体の連携及び協働の促進」「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例」が改正をされました。
・DXの進展を踏まえた対応
 情報システムの適正な利用等、公金の収納事務のデジタル化等
・地域の多様な主体の連携及び協働の推進
 指定地域共同活動団体の活動内容や指定要件、市町村による指定地域共同活動団体に対する支援等
・国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例
 国の地方公共団体に対する指示、国の事務処理の代執行等

国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例

今回の改正においてDXの進展や地域の連携協働の推進については法改正で行われたが、3つ目については国と地方の関係に関する章とは別に新たな章を設け、特例を規定したことが大きな改正点であるように思える。「大規模な災害、感染症のまん延その他その及ぼす被害の程度においてこれらに類する国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例」はその内容から地方自治体の自主性や自律性について議論になり話題となりました。日本国憲法第92条において「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と規定しています。地方自治の本旨とは、国の下に地方公共団体の「団体自治」と「住民自治」の2つの要素から地方自治の確立をすることとされています。つまり、地域の行政事務は、原則として国が関与することなく、地方住民の自らの責任と負担においてこれを処理することを意味しています。今回の地方自治法改正においても地方自治の本旨との整合性が話題となりました。

おわりに

頻発する災害の大規模化や激甚化、新型コロナウイルスに見られる感染症、緊張化を増す国際情勢において武力攻撃事態等の存立危機事態など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、地方自治体だけの対応は難しく、国の役割は非常に大きくなります。総務省から地方公共団体に対して国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例の運用について「目的を達成するための必要な最小限度の範囲で、地方自治体の自主性及び自立性に配慮して行われる必要がある。」と通知がなされました。国の関与は地方自治に配慮してということなので、重大な影響を及ぼすような事態になった時でも、地方自治体の果たす役割は重要になるのは間違いありません。私たちは普段から自分の住む地域に関心を持ち、地域の多様な主体の連携に協力をしていくことが必要なのかもしれません。

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