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春季全国火災予防運動
最近火災のニュースをよく見るようになりました。岩手県大船渡市で発生した大規模な山林火災や、東海道五十三次の宿場として知られる三重県亀山市の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた「関宿」の一角での火災、水戸市内においても繁華街に近い住宅地で火災が起きるなど全国的に火災が多発しています。その背景には例年よりも降雨量が少なく異常とまでいえる乾燥があると言われています。毎年火災の発生しやすいこの時期には「春季全国火災予防運動」が開催されます。全国火災予防運動は、火災が発生しやすい時季を迎えるに当たり火災予防意識の一層の普及を図ることで、火災の発生を防止し高齢者を中心とする死者の発生を減少させるとともに、財産の損失を防ぐことを目的として、毎年この時期に実施されています。私たちの大事な生命、財産を奪いかねない火災について考えていきたいと思います。
全国の火災の状況をみると、令和5年の総出火件数は38,672件となり、平均すると1日あたり約106件、約14分に1件の火災が発生していることになります。住宅火災に着目してみると、住宅火災の件数は住宅の防火性能の高まりなどから平成17年以降減少を続け、令和2年には初めて1万件を下回ったものの、令和3年からは再び増加傾向にあります。それに伴い住宅火災による死者数も増加しており、令和5年の死者数は9年ぶりに1,000人を超え1,023名が住宅火災によって亡くなりました。そのうち高齢者は762名でおよそ75%となり高齢者の逃げ遅れが高い割合になっています。住宅火災による被害の増加は高齢化社会が抱える独居老人の問題も要因にあるのかもしれません。
今年は阪神淡路大震災の発災から30 年になります。昨年発災した能登半島地震では約49,000平方メートルが焼失する市街地火災が発生しました。大規模地震時には電気を起因とした火災が多く発生しています。地震時の電気火災リスクを低減するためには感震ブレーカー等の普及推進や、 活動隊員の安全を確保した消防活動のための、無人走行放水ロボット等の整備を進めていく必要もあります。また、能登半島地震の際には、半島という地理的制約がある中、道路破損など陸路での応援が困難な状況も被害を大きくした要因であったとされ、地元消防本部の体制強化が課題として挙げられました。全国的に減少傾向にある消防団も「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」の制定から10年が経過し、団員減少が危機的な状況にある消防団の装備や機材の充実強化に取り組むことも急務の課題となります。
建築物の防火性能が格段に良くなっていても火が出てしまえば消化活動が必要になります。火災の早期察知、情報収集のための体制強化、感震ブレーカー等の普及など火災対策促進、そして密集市街地の整備促進などのまちづくりなどの対策をしていくことが求められると考えます。そして忘れてはならないのが個人の防火意識。今年の令和7年春季全国火災予防運動は令和7年3月1日(土)から3月7日(金)です。少しずつ気温が上がりこれからの季節は農作業のため枯草焼き等や、行楽シーズンが始まり登山時の火の不始末から火の粉が山林に飛び火することなどにより、林野火災が増える傾向にあります。住宅火災においては防火を除けば「たばこ」や「コンロ」に起因する火災が多くなっています。「春眠暁を覚えず」と春は朝が来るのを忘れてしまう程気持ちの良い季節ですが、火の消し忘れだけは忘れることなく、火の取り扱いには一層の注意を払いましょう。
おまけ
毎度のことながら「おまけ」は本文とは関係ささていても的外れなことを書くのでご愛嬌。火災の原因として上位に上がるたばこの不始末。最近は加熱式たばこも増えていて夜中に充電する方も多いのではないでしょうか。スマホなどのリチウム電池からの出火も最近では増えているので加熱式たばこの充電も気をつけましょう。この場合は出火原因は「たばこ」になるのか「電気機器」になるのか…。
今回の記事と少し関連していますのでこちらも是非。
https://note.com/mato0104/n/n3452b773c929?sub_rt=share_b