見出し画像

タイ人女性との共同生活 第十一話~パパラッチ~

寝坊するところだった。昼過ぎに目覚めた俺には今日大事な用事がある。出会い系アプリで知り合った女性との初デートだ。最寄りの駅まではいつもバスを使って行く。バスの本数が少ないのが厄介で、見逃したらしばらく来ない。さらに何種類ものバスが停車するうえに時間通りに来ないため、バスに乗るだけでもだいぶ神経を使う。自分が乗るバスの番号を常に頭に置き、長い時間待たなければならないのだが、最悪なことにバス停の少し手前や少し先に停車して乗客を拾うことも多々あり、集中していてもバスを見逃してしまうことがある。恐らく他のバスと到着が被ったり、渋滞が頻繁に起こるからだろう。俺は炭治郎のように全集中しながらバスを待っていると、同居している彼女から一通のメッセージが届いた。それは1枚の写真で、歩道橋の上から撮ったと思われるバス停でバスを待っている俺の写真。「あなたどこかへ出かけるのね」という文も添えられている。お昼過ぎの時間帯。何故彼女が家の近くのバス停にいる俺を隠し撮りできたのかが分からない。彼女は今仕事へ行っているはずだからだ。まあどうでもいい。彼女の職場がこのバス停の近くで、今はお昼休憩なのだろう。余計なことは聞かず「今から出かけるんだ」そう一言返信すると、俺は自分のバスを見逃したことに気付いた。

第十二話↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


いいなと思ったら応援しよう!

マティーニ
最後まで読んでいただきありがとうございます。 海外を放浪しているので、サポートいただけたら旅の中での活動費に役立てさせていただきます!