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東南アジア放浪記 ~フレンチガールズ~



次の町への車移動でフランス人女性2人組と相乗りになった。彼女たちは俺より少し年上のお姉さんだ。彼女たちが車に乗り込んできた時、荷物や格好を見て本物の旅人だと一目でわかった。話を聞くと二人は東南アジアを一緒に旅をしながら色々な活動をしているという。ここラオスではプロジェクトの一環として、貧しい子供達が通う学校に訪れ英語を教えていたらしい。そして次の国タイではチェンライという北部の町で伝統的なマッサージを習いに行くという。その後は何かを求めフィリピンに2ヶ月滞在すると彼女たちは言った。素晴らしい時間の過ごし方だ。彼女たちはエネルギッシュでよく笑い、地球と愛し合っているように見えた。欧米人は彼女たちのように特別若くない20代後半や30代前半の旅人も割と多い。20代後半にもなれば普通、キャリアや結婚などを考え、安定的な将来のビジョンを持つ人が多いだろう。だが欧米人は日本人ほど体裁も気にせず、自分の好きなことや、やりたいことを軸に考える人の割合が多い気がする。体感、東南アジアで出会う旅人の9割以上は欧米人だ。何故バックパッカーには欧米人が多いのか。それは社会の仕組みも大いに関係していると俺は思う。

タイとの国境近く、ラオスの小さな町フアイサーイという目的地に着き、彼女たちとお別れをした。こんな出会いは旅人にはありふれていて、お互い連絡先を聞くことはなかった。良い旅を。そう言い合い、俺は今夜泊まる宿へと歩を進めた。

それから3週間後。タイのバンコクに戻った俺はホテルで朝を迎えた。チェックアウトし、朝食がてらWiFiを求め近くのCafeを探し歩く。日差しが照りつける中、大通りを歩いていると、突然後ろから声をかけられた。振り返るとそこにいたのはラオスで出会ったあのフランス人女性2人組だった。別れたあの町からここまで約800キロ。奇跡的に偶然出会ったのである。「フィリピンに行く前に一日だけバンコクに来たの。それで朝食を食べに店を探してたらあなたが目の前を通ったの」そう言われた俺は運命を感じた。

少し歩きカフェに入ると冷房が効いた涼しい空間で生き返った気分になった。席に座り、テーブルの上のドーナツを前にした俺に彼女たちはボナペティ(”フランス語で召し上がれ)と口を揃えて言った。旅はこれからも続いていく。

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マティーニ
最後まで読んでいただきありがとうございます。 海外を放浪しているので、サポートいただけたら旅の中での活動費に役立てさせていただきます!