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休職中の従業員がライブ会場にいた!

大阪堺筋本町の社労士事務所⚖️マチネ社労士事務所の上田麻美です⚖️


今日は、メンタルヘルスマネジメントに関するお問い合わせの中でも結構多い

「メンタル不全で休んでいる従業員がライブ会場にいました。休職しているのにライブに参加するのって、ちゃんと療養しているのか?もしかして詐病なのではないか?」


というお問い合わせについて。


メンタル不全でも身体的な病気でも、療養が必要になり、労務ができない状態になれば休職して療養に専念することになると思います。

休職制度は

病気療養を前提に退職を留保されている」と考えられますので、休職者は治療に専念する義務を持つと解釈できます。


では、メンタル不全で休職中の従業員が「ライブに参加(遊びに行く)する」ことは「療養に専念していない」ことになるのでしょうか。

考えてみましょう。



私も経験がありますが、メンタルが弱ってくると何にも興味を持てなくなります。

当時の私は、登山やテニスなど割と多趣味でやりたいことがありすぎて、1日24時間しかないのなんでだろう?と思っていたタイプですが、心の状態が悪かった頃は、やりたいことが一つもありませんでした。


朝起きたら、ベッドの中から動きたくないのでじーっとしていて、トイレが我慢できなくなったギリギリに起き出してトイレに行き、リビングで座ってぼーっとする。

時間が過ぎていくだけで、やりたいことも思い浮かばないし、やっても楽しくなかった。

本を読んでも頭に入らず、音楽を聞いても頭が痛くなるだけで聞いていられず、ただただ生きているだけで精一杯でした。


そんな状態から、少し心が回復してくると「何かやりたい」と思うことが少しずつ出てきます。


その「何かやりたい」が何なのか。 皆さんが私の立場だったとして何だと想像しますか?


ただ、息をして、生命維持のために必要な栄養を口に入れ飲み込む。排泄をして、あとは時間が過ぎるのを待つだけで精一杯だった日を過ごし、その後やっと「やりたい」と思うことが思い浮かぶ。


想像した「やりたいこと」はきっと自分の「好きなこと」じゃないでしょうか?


私の場合は、まず、お母さんの作ったご飯が食べたくなりました。

その後、お風呂に浸かりたい。

コンビニにアイスを買いに行ってみたい。

いとこに会いに行きたい。


そんな感じで少しずつ「やりたいこと」が増えました。


自分の「やりたい」を一つずつ叶えていき、その後は

・同窓会に出てみる

・友達に会ってみる

・本屋に行ってみる

・洋服を買いにデパートに行ってみる


と、出来るかわからないけど、やってみたいことに挑戦していきました。


でも、その挑戦のどれにも「自分がやりたくないこと」は入っていませんでした。

やりたくないこと・・というとちょっと意味が違うかな、

やったら自分の心の状態を悪化させそうなこと。 でしょうか。


これは私の場合ですが、メンタルの不調からの回復には段階があり少しずつ出来ることが増えていく。

その過程では、心の状態を悪化させそうなことは出来るだけ避けながら、できることを一つずつ増やして日常を取り戻す事が重要なのではないかなと思います。



では表題の

「メンタル不全で休んでいる従業員がライブ会場にいました。休職しているのにライブに参加するのって、ちゃんと療養しているのか?もしかして詐病なのではないか?」

について。メンタル不全で休んでいる従業員が会社には出勤できないけれどライブに参加して楽しんでいた。(遊びに行っていた)その行動が療養に専念していない?

という質問の答えは、その行動や行為が療養なのかどうかは主治医だけが判断できます。

主治医が、人の多いところ、音の大きいところはまだやめましょう。と治療方針を出しているのに、本人が無視をしてライブに参加していればやはり「療養を自分の意思で阻害」したと考えられますが、主治医が認めているのであれば会社が判断することではないかと思います。

また、やりたいことはできるけど、やりたくないことはまだ無理。と言う状態は起こり得ると思うので、「会社にはいけないけどライブには行ける」と言う時期もあって当然かと思います。


とはいえ、会社が従業員のメンタル不全での療養に関し、療養に専念できる環境を作ることができる期間にも限界があるのは当然です。


大企業であれば、何年間かは待ってあげるからしっかり療養して治してください。と言えても、中小零細企業では長期間、欠員の席を空けつつ戻ってくるのを待ちながら人員の調整をすることは容易ではないです。


病気療養をする従業員に対し、休職期間を設ける制度を作ることは会社の義務ではありません。

雇用契約で合意した業務を病気により出来なくなった場合は、解雇することも可能です。

ただし、会社は、病気でもできる仕事を探す義務を負いますので、病気になって契約に合意した業務が出来なくなったことだけを理由に解雇することは難しいです。

また、20代から65歳の定年まで、長いと40年を超える期間、働いてもらう従業員が病気やけがにより働けなくなることは、想定内だと言えます。

その場合、どのくらいなら療養の期間席を空けて待つことが出来るのか、あらかじめ考えておくことは、会社としても当然のリスクヘッジです。


その療養の期間(休職期間)は、就業規則に定める事ができます。

法律で従業員が病気療養のため労務の提供が出来ない時は仕事を休ませて療養に専念させなければいけない。と決められているわけではないので、私傷病(業務上の怪我や病気ではないと言うことです)での休職は定めがあればすでに法律を上回っています。

そのため、休職の上限は会社が決定し就業規則に記載できます。

在籍期間に応じて、入社5年未満の従業員は3ヶ月。5年以上10年未満で半年。と言うように設定することもできますので、初めは短い期間で設定して、会社の成長に合わせて少しずつ長く休職できるような制度に変更しても良いと思います。


就業規則がまだないと言う会社は、従業員が10人未満であっても整備されることをお勧めいたします。


就業規則の作成や、従業員の休職などに関するご相談は弊所ホームページのお知らせよりメールでお問い合わせください。













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