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昇帯の話

多くの武道では、習熟度を帯で示す仕組みがあります。ブラジリアン柔術にも帯制度があり、白→青→紫→茶→黒の順に進んでいきます。それぞれの段階に最低修養期間があります。最低修養期間で帯が上がるのは珍しく、それぞれの帯で数年を費やすのが通例です。

帯制度と基準

帯制度の基本的な仕組みは、日本ブラジリアン柔術連盟のwebサイトに詳しいです。他の連盟でも大きな違いはありません。

https://www.jbjjf.com/registration/belt/

ブラジリアン柔術の帯制度の特徴は、指導者の判断が昇帯基準のほとんど全てであることです。最低修養期間があるくらいで、あとは指導者が決めます。連盟による昇段試験が行われる他の武道と比べると、だいぶカジュアルな感じです。明確な基準や帯試験を設けている道場もありますが、どちらかといえば少数派でしょう。サプライズの昇帯があるのは、基準があまり明確でないからかもしれません。とはいえ、サプライズの昇帯ってすごくアガるんですよね。例えば、世界中の柔術関係者が何回見ても涙するのがこれです。


指導者の判断がほとんど全てなのですが、不思議なことに世界中どこの道場にいっても、同じ帯色の人はだいたい同じくらいの実力です。これは指導者の判断基準が、どこでもおよそ同じだからではないかと思います。ほとんどのところは修養時間(mat time)、技術と強さ(mat skill)、態度(mat stewardship)で決まるのではないでしょうか。例えば、明確でわかりやすい基準を示されているトライフォースさんでもそんな感じかなと思います(態度については書いてないですね)。

https://www.triforce-bjj.com/belt-system/

たまにやたらと強い、ボロボロの青帯を巻いた人がいる道場(たぶん基準が厳しい道場)がありますが、例外的です。

昇帯の回数

昇帯が年間どれくらいあるかも道場によって違います。帯叩きに関する調査を行なったKavanaghが英語圏を中心に727人に尋ねたところ以下のような結果になりました(Kavanagh, 2019)。

一番多いのが年に2、3回。これが42.2%でした。定期的に昇帯式がある道場も多いです。これはわかりやすくて良いと思います。目標も立てやすい。次に多いのがランダム。つまり、それぞれのタイミングでの昇帯です。だからこそサプライズの昇帯なんかがあるわけですね。これが32.1%でした。そして、年に1回というのが17.6%。これら3つを足すと90%を超えます。

大体の道場では、少なくとも年に1回以上の昇帯があり、1/3くらいは特に決まったタイミングがないという感じになります。

お金はかかるの?

さらに昇帯にお金がかかるか尋ねたところ79%は無料でした。お金がかかるところも、それほど高額ではなく$100以下のところがおよそ8割でした。お金がかかる場合は、昇帯料(帯検定料)がプライベートレッスンを兼ねているところも多いとのことでした。昇帯にあたり、課題を明確にするわけですね。わたしが所属するVISCAもこのシステムです。茶帯になるときは1時間くらいの足関節技に関するプライベートレッスンでした。

帯に関してはいろいろあるかと思いますが、続けていると上がるものだと思います。多くの道場のシステムがわかると、帯制度に関していろいろ納得が行くかなと思って書いてみました。

引用文献

・Kavanagh, C. M., Jong, J., McKay, R., & Whitehouse, H. (2019). Positive experiences of high arousal martial arts rituals are linked to identity fusion and costly pro‐group actions. European Journal of Social Psychology, 49(3), 461-481.


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