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データから見る白帯の試合対策2:極め技編

前回に引き続き白帯の試合分析から対策を考えます。今回は極め技、つまり、関節技、絞め技など一本を取る技を取り上げます。試合に出るなら一本勝ちしたい、逆に一本負けだけはしたくない。どちらもあると思います。そう思う白帯の方や、その思いを受けて指導をなさる方の参考と良いのですが。

前回と同じく、白帯と青帯の試合で使われたテクニックを分析したWillams らの研究に基づいています(Willams et al., 2019)。

極め技

140試合を分析したところ、全体で173回、極め技の攻防がありました。白帯が使った技の上位3位は、腕十字固め(37%)、三角絞め(16%)、キムラロック(12%)でした。ただし成功率はそれほど高くありません。腕十字、三角絞め、キムラロックそれぞれ40%、21%、22%でした。

一方、送り襟絞めと十字絞めはそれほど多く使われなかったのですが、(それぞれ5%と9%)、順に75%、58%という高い成功率でした。

ガードからの展開が多い

極め技は色々なポジションから狙うことができます。白帯の場合、ガードからの狙うパターンが多く観察されました。腕十字固め、三角絞め、十字絞めは76%がガードからでした。

クローズドガードからの腕十字固めと三角絞めは、初心者の頃から練習する技です。ガードワークの基本につながる動きがたくさん含まれています。白帯の方は、おそらくこの技をたくさん練習して試合で試したのでしょう。

ただし、ガードからの極め技の成功率は、白帯の試合で高くないことを覚えておいた方が良いでしょう。ちなみにわたしは試合でガードから極め技を一度も極めたこともなければ、極められたこともありません。コンスタントに試合に出てますが一度もありません。

ガードからの腕十字固めや三角絞めは基本の技です。誰もがその技だけでなく、エスケープ方法も練習したことがあります。こういう基本の技を試合で極めるには、かなり修業が必要です。

極め技のディフェンスが大切

試合に出るからには、極め技のディフェンスが重要です。おろそかにすると怪我をするかもしれません。試合でよく使われる腕十字固め、三角絞め、キムラロックのディフェンスは特にしっかりとやっておくのが良いでしょう。

試合対策として考えると、ガードからの展開について特に念入りにやっておきましょう。ガードからの腕十字固めと三角絞めをきちんとディフェンスできれば、有利な展開に持ち込めます。これらの技の成功率は白帯では低いからです。有利に進めるためにも単純に技を解くだけでなく、サイドポジションなどを取るまでの展開を身につけておくことをお勧めします。

良く使われるにもかかわらず成功率は低い。ですから技を掛けられても、あせる必要はありません。きちんとディフェンスができれば、自ずと有利になります。白帯の方からしても、普段のスパーリングで経験する色帯の極め技に比べれば、ずっと対処がしやすいはずです。手順通りにやれば大丈夫です。

ガードからの極め技のエスケイプはJason Scullyさんの動画でさらっと復習ができます。

試合前には極め技からのエスケイプの練習をしよう

ガードからの極め技のエスケイプは基本中の基本なので、どこの道場でも必ず練習をしていると思います。試合の1週間くらい前にインストラクターや先輩に頼んで、もう一度テクニックのポイントを復習しておくと良いと思います。数日前にもう一度復習しましょう。ディフェンスの練習は地味でつまらないかもしれませんが、勝利につながるならやる気がでるのではないでしょうか。

試合だと極まりそうになっても我慢してしまい、怪我をすることもあります。緊張と興奮で痛みを感じにくく、試合に慣れていないとタップが遅れがちになるかもしれません。怪我を避けるためにも、試合前には極め技からのエスケイプ(*注1)を練習するのをお勧めします。

引用文献

・Williams, J., Callaway, A., Gara, M., & Tattersall, P. (2019). Technique utilisation and efficiency in competitive Brazilian Jiu-Jitsu matches at white and blue belts. International Journal of Performance Analysis in Sport, 19(3), 353-369.

*注1:試合前にマウント、バック、サイドなどバッドポジションからのエスケイプに力を入れる必要はありません。試合でそれらのポジションを取られたらほとんど負けます。そういう意味で、少なくとも試合直前に練習する必要はありません。

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