出稽古ってあり?なし?:アソシエイションによる違い
自分が所属する道場以外のところで練習をすることを出稽古と言います。私は仕事で出張をするときは、たいてい出稽古に行っていました。その土地の人と知り合えるのは単純に楽しく、新鮮な体験です。柔術を一緒にやると急速に親しくなることができます。柔術そのものにも学びがあります。体系の違うテクニックを学んだり、いつもとは違う人たちとスパーリングをしたりと、かなり刺激になります。
とはいえ、コロナ禍もあり、私はもう1年以上ご無沙汰ですけれど。
出稽古の今と昔
ブラジリアン柔術では、出稽古が文化として根付いているところがあって、世界中どこでも大抵は出稽古を受け入れてくれます。私も国内、海外を合わせると50箇所くらいの道場に行きました。ただ趣味でやっているおじさんとしては結構たくさん行きました。楽しかったので。
実は、こんな感じで気楽に出稽古ができるようになったのも、最近(ここ10年?)くらいの話のようです。それより前のブラジルですと、違うアソシエイションに出稽古に行くなんてことはなく、もう少し殺伐としていたそうです。例えば、アリアンシからGFチームに出稽古なんてありえないという感じでしょうか。相撲でも一門以外の出稽古には制約があるみたいですね。そんな感じかもしれません。
出稽古OKな道場とNGな道場
今でも出稽古を受け入れる道場と、受け入れない道場はありますし、会員にそれを認めるところと、認めないところがあります。Ruikenはブラジリアン柔術の道場の文化についてベルゲン大学(ノルウェー)の修士論文としてまとめました(Ruiken, 2016)。
彼はインターネットで、世界中の324人に対しアンケートを実施しました。そして、グレイシー・バッハ、アリアンシなどの伝統ある道場と、BJJグローブトロッター(キーナン・コーネリアスが所属しています)のように新しい道場(とりあえず革新的と呼びます)で出稽古の可否についていくつか質問をして、比較しました。
「旅行に行くとき、出稽古の許可が所属先に必要か?」とたずねられると
伝統的道場 9.3%
革新的道場 7.4%
がYesと答えました。
さらに「あなたの道場は出稽古を受け入れているか?」という質問には
伝統的 98.1%
革新的 100%
がYesと答えました。ほぼ全てです。インターネットの調査に積極的に答える人が所属する道場では、出稽古には寛容なようですね。
違いがあったのは、「複数の道場に所属することは許されますか?」という質問に対する答えです。
伝統的 63.7%
革新的 92.6%
がYesと答えました。伝統的な道場で比率が低くなっています。出稽古が歓迎されなかった時代の雰囲気が残っているのかもしれません。
とはいえ、現在では多くの道場は出稽古を認めていることがデータからも確認されました。早くコロナ禍が終わり、出稽古ができるようになることを切に願っています。出稽古って楽しいんですよ。ほんとに。
引用文献
・Ruiken, B. V. (2016). Power and Politics in Brazilian Jiu-Jitsu Teams. Master's thesis. University of Bergen.
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