デッドリフトが最強
トップレベルの柔術家はガンガンにウエイト・トレーニングをやっています。彼らのSNSを見ているとその様子を垣間見ることができます。
やっぱりデッドリフト
ウエイト・トレーニングの基本種目にはスクワット、ベンチプレス、デッドリフトがあります。いわゆるビッグ3です。柔術の補強という点を考えると、この中でデッドリフトが最強です。もちろん一つの種目だけでなくバランスを考えるのは大前提ですけれど。
デッドリフトを知らない人に向けて動画を紹介しましょう。床からバーベルを挙げる種目です。ブシェシャはすごい重量を挙げますね。さすが世界王者。柔術の補強としては体重の1.5-2倍を数回挙げられると十分と言われるので、動画を見る限りそれを明らかに超えている世界王者には脱帽です。おじさんは体重の1.25倍くらいで良いと思います。
どこが鍛えられるのか?
デッドリフトでは柔術で使うおよそすべての筋肉が使用され、しかも、それらの連動性が求められます。足先から、ふくらはぎ、もも裏、臀部、腰、背中、肩、腕、前腕、指先(グリップ)までとまさに全てです。デッドリフトにより、トップポジションでの姿勢(ポスチャー)と動きの中での安定性(ダイナミック・バランス)が鍛えられます。体幹が強くなるんですね。バーベルを引きますから、グリップ(前腕)や腕、肩までまさに一網打尽に鍛えることができます。なお、デッドリフトにもいくつかの種類があり、どこを重点に鍛えたいかによってフォームを変えることになります。
何の役に立つ?
デッドリフトをするとパワーが出る姿勢がわかります。その姿勢は守るときにも攻めるときにも強い姿勢です。相手から強く引かれても耐えることができますし、こちらが攻めるときにも力強くプレッシャーを与えることができます。
デッドリフトは連動性が必要な種目なので、競技の中でそのままデッドリフトの動きや姿勢を用いることができます。単純に筋力や筋持久力が上がる以上にパフォーマンスの向上を望むことができます。
でも、ちょっと難しい。
デッドリフトの欠点は、日常にあまりない動きなので正しいフォームを身につけづらいことです。スポーツ全般に言えるのですが、誤ったフォームでやると怪我をします。怪我を避けるためにも、軽い重量からやっていきましょう。最初はちゃんとしたトレーナーに教えてもらうのがよいかもしれません。
ウエイト・トレーニングの効用
ウエイト・トレーニングがもたらす柔術への効用は、筋力や筋持久力の向上だけでなく、怪我の予防にも及びます(Jones & Ledford, 2012)。なぜ、怪我の予防につながるかピンとこない人もいるかもしれません。ウエイト・トレーニングにより筋力と筋持久力が強くなれば、無理な体勢になることを避けられます。また身体自体も強くなります。結果として、怪我をしにくい身体になるのです。
さらにウエイト・トレーニングで忍耐力も向上します。気持ちの強さは筋力と似ていて、鍛えることで強くなります(Baumeister, 2012)。ウエイトを挙げるという地味でつまらない作業を続けることで気持ちが強くなるのです。
もしかすると柔術をやる時間をひねり出すだけ精一杯、ウエイト・トレーニングの時間まで確保できないかもしれません。それでも筋力やパフォーマンスが向上するだけでなく、怪我の予防になり忍耐力まで上がるのですから、試してみる価値はあると思います。
引用文献
・Baumeister, R. F., & Tierney, J. (2012). Willpower: Rediscovering the greatest human strength. Penguin.
・Jones, N. B., & Ledford, E. (2012). Strength and conditioning for Brazilian jiu-jitsu. Strength & Conditioning Journal, 34(2), 60–69.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?