[読書メモ]「ネットワーク採用」とは何か
リクルート・オープンハウス・ライフネット生命の元人事で、人材研究所代表の曽和利光さんが書かれた、「ネットワーク採用」とは何かという本を読みまして、その読書メモを書こうと思います。
ネットワーク採用とは
ネットワーク採用の定義
端的に言うと、人と人との緩やかな繋がり(インフォーマル・ネットワーク)を活用した採用方法のこと
従来の「マス広告」や「人材紹介会社」ではなく、いわゆる「リファラル採用」がそれに該当する
フォーマル・ヒエラルキーとインフォーマル・ネットワーク
フォーマル・ヒエラルキーとは
一般に「組織」と呼ばれるものはおおむねこれに当たる。ピラミッド型を成す企業組織や官僚組織、上下に連なる人間関係
インフォーマル・ネットワークとは
同期入社や広告・大学の同窓生、地元の飲み仲間、格式張らない緩やかな人間の繋がり。喫煙室や給湯室での気のおけない会話もそれに当たる。
この「インフォーマル・ネットワーク」を理解し、意識的にコントロールすることで、多くのメリットを生み出すことができる。
ネットワーク採用の具体的な進め方
ステップ
STEP1:候補者母集団形成
STEP2:人材との接触
STEP3:ポテンシャルを見抜く採用面接
STEP4:意思決定・内定受託の促進
STEP5:効果的なキャリアづくりのフォローと、次への継承
読んでいて面白いと思ったポイント
起点となる人物を、インフォーマル・ネットワーク視点で選択する
起点となる人物は「内定者」および「新入社員」が最適と述べられていた。なぜなら、入社3年目以降はインフォーマルネットワークが希薄になってしまうから。
【感想】よくリファラル採用ではエンゲージメントの高い社員を起点に、といった話をよく聞くが、インフォーマルネットワーク観点だとまた違った見え方がきて面白い。
真摯な思いで
「人脈を利用してやろう」と思って接触すると、だいたいバレる。ただ誠実に「お互いにとって有益な人材交流をしたい」という真摯な思いを持ってさえいれば、事は意外と容易に進む。
【感想】これは絶対に忘れてはいけないスタンスとして刻み込んでおこうと思った。また、「結局のところ誠実であれ」というのが読んでいて気持ちがよい。
紹介を受けるための準備
社内制度を整えた上で、全社員に対してきちんと動機づけをしておく必要がある。いまの採用環境の厳しさや、よい採用ができないと自社の事業にどのくらい影響があるのかなど。
【感想】これはジョン・コッターの組織変革ステップと共通するなと感じた。これも組織変革のひとつとして捉えると面白い。
紹介者・非紹介者へのインセンティブ
紹介のインセンティブは、数万円程度が多くの会社の設定金額。が、著者が有効だと捉えているのは「食事」「情報」「人脈」など、もっとカジュアルで形のないもの。
人事側は「気軽にネットワークを広げたい」というくらいの気持ちであるべき。
【感想】とても納得。金銭的なインセンティブはハードルが高くなるしアンダーマイニング効果の落とし穴が待っていそう。そして、カジュアルな人脈形成からの長いコミュニケーション、ひいてはタレントプールマネジメントがワンセットになりそう
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