数a 倍数の判定法(整数の性質)


[1] 3,9の倍数の判定法

(1)3の倍数⇔各桁の和が3の倍数

(2)9の倍数⇔各桁の和が9の倍数

これらを3桁の整数abcを用いて説明する。

(1) 100a+10b+c

=(99+1)a+(9+1)b+c

=3(33a+3b)+a+b+c

よって「各桁の和(a+b+c)が3の倍数」であることが条件である。

(2) 100a+10b+c

=(99+1)a+(9+1)b+c

=9(11a+b)+a+b+c

よって「各桁の和(a+b+c)が9の倍数」であることが条件である。

※3の倍数と9の倍数の判定は原理をきちんと理解したうえで、暗記必須である。整数範囲だけでなく確率における分数の約分判定にも使用することはよくある。また、今回は簡略化のため3桁の整数を例に説明したが、何桁でも同じである。合同式を用いれば、簡単に証明できる。

[証明]任意の自然数N(=10^n・a_n+10^(n-1)・a_(n-1)+…+10・a_1+a_0)に対し、

10^n≡1^n≡1より, N≡a_n+a_(n-1)+…+a_1+a_0(mod3)

10^n≡1^n≡1より, N≡a_n+a_(n-1)+…+a_1+a_0(mod9)


[2] 4,8の倍数の判定法

(1)4の倍数⇔下2桁が4の倍数

(2)8の倍数⇔下3桁が8の倍数

これらを4桁の整数abcdを用いて説明する。

(1) 1000a+100b+10c+d

=4×250a+4×25b+10c+d

=4(250a+25b)+10c+d

よって「下2桁(10c+d)が4の倍数」であることが条件である。

(2) 1000a+100b+10c+d

=8×125a+100b+10c+d

=8(125a)+100b+10c+d

よって「下3桁(100b+10c+d)が8の倍数」であることが条件である。

※10^n=2^n × 5^n(nは自然数)であることがミソである。

一般に、2^nの倍数⇔下n桁が2^nの倍数

同様に、5^nの倍数⇔下n桁が5^nの倍数が言える。


[3]7,11の倍数の判定法(あまり使うことはない)

(1)7の倍数⇔一の位の数を2倍した数を、残った数から引いた数が7の倍数

(2)11の倍数⇔奇数桁目の和と偶数桁目の和との差が11の倍数

上記の説明だけでは分かりにくいので補足を加えていく。

これらを4桁の整数abcdを用いて説明する。

(1)1の位の数を2倍した数→2d、残った数→3桁の整数abcであることを踏まえた上で説明する。

    1000a+100b+10c+d

=(1400-400)a+(140-40)b+(14-4)c+(8-7)d

=7(200a+20b+2c-d)-4{(100a+10b+c)-2d}

よって、「一の位の数を2倍した数(2d)を、残った数(100a+10b+c)から引いた数が7の倍数」が条件である。

(2)奇数桁目の和→a+c、偶数桁目の和→b+dであることを踏まえた上で説明する。

    1000a+100b+10c+d

=(1001-1)a+(99+1)b+(11-1)c+d

=11(91a+9b+c)-{(a+c)-(b+d)}

よって、「奇数桁目の和(a+c)と偶数桁目の和(b+d)との差が11の倍数」が条件である。

※これら2つの判定法はあまり頻出ではない。だからこそ、なぜこの方法が正しいかということを理解してほしい。




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