1963年数学オリンピックポーランド大会第5問
こんにちは。しろ@です。
前回は初めの記事だったので、このnoteについての概要を書きました。
今回からが本題ということになりますが、最初は自分が高校時代に解いた数学オリンピック(以下、数オリ)の問題を取り上げます!
余談ですが、目次機能があることを知ったので目次をつけてみました。各項目を押すとそこまで飛んでいけるのかな?
また、数式機能もあるようです!数式はキレイに書きたいですね。
問題
問題は以下の通りです。
$${\cos\displaystyle\frac{\pi}{7}-\cos\displaystyle\frac{2\pi}{7}+\cos\displaystyle\frac{3\pi}{7}=\displaystyle\frac{1}{2}}$$を示せ。
主張自体を理解するのは簡単ですが、示せと言われるとなかなか難しそうです。
$${\cos\displaystyle\frac{\pi}{7}, -\cos\displaystyle\frac{2\pi}{7}, \cos\displaystyle\frac{3\pi}{7}}$$の値をそれぞれ求められるならそれでいいですが、それならわざわざ和を求めさせる問題にはしませんね。
経験がないと難しいと思いますが、解答の方針は、
$${\cos\displaystyle\frac{\pi}{7}, -\cos\displaystyle\frac{2\pi}{7}, \cos\displaystyle\frac{3\pi}{7}}$$を解に持つ3次方程式を作る。
解と係数の関係を利用する。
です。また、$${-\cos\displaystyle\frac{2\pi}{7}}$$の前のマイナスがついていると気持ち悪いので、$${-\cos\displaystyle\frac{2\pi}{7}=\cos\displaystyle\frac{5\pi}{7}}$$を利用して次の値を考えることにします。
$$
\begin{array}{}
\cos\displaystyle\frac{\pi}{7}+\cos\displaystyle\frac{3\pi}{7}+\cos\displaystyle\frac{5\pi}{7}
\end{array}
$$
何気にこれが一番重要だったりする。$${\displaystyle\frac{\pi}{7}, \displaystyle\frac{3\pi}{7}, \displaystyle\frac{5\pi}{7}}$$はまとめて、$${\displaystyle\frac{(2n-1)\pi}{7}\quad(n=1, 2 ,3)}$$と書けるので、これを出発点とします。
今回は和ですが、解と係数の関係を使えば、積の値を求めることもできますね。
解答①
解説①
解答では、$${\cos4\theta}$$と$${\cos3\theta}$$がどちらも$${\cos\theta}$$の多項式で書けることを利用しています。実は、次のような定理が成り立つことが知られています!
この$${n}$$次多項式($${T_n(x)}$$と書きます。)は(第一種)チェビシェフ多項式と呼ばれています。たとえば、$${n=2, 3}$$の場合を見てみると、
$$
\begin{array}{}
\cos2\theta&=&2\cos^2\theta-1\\
\cos3\theta&=&4\cos^3\theta-3\cos\theta
\end{array}
$$
となり、たしかに$${\cos n\theta}$$が$${\cos\theta}$$の$${n}$$次多項式で表せていますね。
じゃあ$${\sin n\theta}$$は$${\sin\theta}$$の$${n}$$次多項式で表せるのかというと、それは成り立ちません。$${\sin n\theta}$$については、次の定理が成り立つことが知られています!
たとえば、$${n=2, 3}$$の場合を確認してみると、
$$
\begin{array}{}
\sin2\theta&=&2\sin\theta\cos\theta&&\\
\sin3\theta&=&3\sin\theta-4\sin^3\theta&=&\sin\theta(4\cos^2\theta-1)
\end{array}
$$
となり、たしかに$${\sin n\theta}$$が$${\cos\theta}$$の$${(n-1)}$$次多項式と$${\sin\theta}$$の積で表せていますね。
また、$${T_n(x)}$$について次の漸化式が成り立つことが知られています。
$$
T_{n+2}(x)=2xT_{n+1}(x)-T_n(x)
$$
チェビシェフ多項式は直交多項式としても有名ですが、その話はここでは割愛します。興味がある人は調べてみてください。
チェビシェフ多項式に関する問題は京都大学の入試でよく出題されるイメージがあります。直近だと2023年(文系第3問、理系第6問)に出題されました!1996年後期の問題も有名ですね。
この解答は言うならば正攻法です。最近X(旧Twitter)で受験生時代は知らなかった面白い解法を見つけたので、紹介しておきます!(参考:https://x.com/dope09171105/status/1720262098599719122?s=46&t=rKrziXT_RjdGDztnjwTM-w)
解答②
解説②
非常にエレガントですね。$${KL}$$の計算における3つ目の$${=}$$は、1行目で半角の公式、2〜4行目で加法定理を使っています。$${\sin}$$と$${\cos}$$は相性がいいので、$${K}$$に合わせて$${L}$$もセットで考えることで上手く行きます!
引用元の投稿では積を求めていますが、その場合は$${KL}$$の積の計算が楽なのでもっと計算量が少なくなります。
最後にコメント
他にも複素数を使って計算する方法もあります。気が向いたらその解答も追加しようかな。
次回はまだ何を書くか決めていません。ちょうど入試シーズンなので、今年の入試から採用するかもしれません。
それから解答の裏写りがヤバいw 次からは気をつけます。
最後までお読みいただきありがとうございました。もしよろしければ、次回以降の記事もお読みいただけると嬉しいです。
それでは、また次の記事で。
2024.02.14
しろ@