【第6回垂れ流し数学模試】文型・理型第1問(1) 解答例
皆さんこんにちは。
今回は第6回垂れ流し数学模試の文型・理型の第1問(1)の解答例です。
確率の問題で, かつ変数が含まれているタイプの問題です。
効率よく問題の条件を満たす場合の数を求めることができるかがポイントとなります。
問題
考え方1
1回目, 2回目, 3回目に選んだ数を, それぞれ$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$と置きます.
求めるのは, もちろん$${a+b+c=2n}$$となる確率です.
ただし, $${1\leqq a, b, c\leqq 2n}$$が条件として付いてきます.
$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のすべての選び方は$${n^3}$$なので,
$${a+b+c=2n}$$となるような$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数が出れば, 答えが出ます.
$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のうち$${a}$$を固定して考えると,
$${b+c=2n-a}$$となり, あとさらに$${b}$$が決まれば自ずと選ぶべき$${c}$$も決まります.
ただし, $${b}$$の選び方は,
$${1\leqq a\leqq n-1}$$のとき
$${b+c=2n-a>n}$$であるから, $${b=2n-a-c\geqq n-a}$$
すなわち$${n-a\leqq b\leqq n}$$$${a=n}$$のとき
$${b+c=2n-n=n}$$より$${1\leqq b\leqq n-1}$$
となりますので, これらに気を付けて,
各$${a}$$の値に対する$${b}$$のとりうる値の個数の総和をとってみましょう.
解答例1
1回目, 2回目, 3回目に選んだ自然数を, それぞれ$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$
(ただし, $${1\leqq a, b, c\leqq 2n}$$)とすると,
求める確率は, $${a+b+c=2n}$$となる確率である.
したがって, まず$${a+b+c=2n}$$を満たすような$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数を求める.
$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のうち$${a}$$を固定すると, $${b+c=2n-a}$$であり,
さらに$${b}$$が決まれば, 選ぶべき$${c=2n-a-b}$$も決まる.
$${b}$$の選び方は,
$${1\leqq a\leqq n-1}$$のとき
$${b+c=2n-a>n}$$であるから, $${b=2n-a-c\geqq n-a}$$
すなわち$${n-a\leqq b\leqq n}$$
したがって, $${b}$$の選び方は$${n-(n-a)+1=a+1}$$通り$${a=n}$$のとき
$${b+c=2n-n=n}$$より$${1\leqq b\leqq n-1}$$
したがって, $${b}$$の選び方は$${n-1}$$通り
よって, $${a+b+c=2n}$$を満たすような$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数は
$$
\begin{aligned}
\sum_{a=1}^{n-1}{(a+1)}+(n-1)&=\dfrac{1}{2}(n-1)n+(n-1)+(n-1)\\
&=\dfrac{(n-1)(n+4)}{2} (通り)
\end{aligned}
$$
$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のすべての選び方は$${n^3}$$なので,
求める確率は, $${\boldsymbol{\dfrac{(n-1)(n+4)}{2n^3}}}$$
考え方2
別解として, 今回の参加者からお寄せいただいた解法を1つ紹介します.
$${a+b+c=2n}$$になることが前提なので,
「互いに同じものを分け与える方法の数」の考え方を用いても求められます.
こちらの場合は, まず
(A)「$${2n}$$個の同じものを, 必ず1人最低1個は与えられるとして, 3人に分ける方法の数」を考えますが,
そのままだと$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のいずれかが$${n}$$を超えた場合が含まれてしまいます.
ただし, $${n}$$を超えるとすれば$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のうち1つしかなく,
例えば$${a>n}$$だとしたら$${1\leqq a-n, b, c\leqq n}$$かつ$${(a-n)+b+c=n}$$になりますので,
結果的に(A)で求めた総数から
「$${n}$$個の同じものを, 必ず1人最低1個は与えられるとして, 3人に分ける方法の数」×($${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の3通り)
をひけば, 問題の条件を満たす$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数がわかります.
解答例2
($${a+b+c=2n}$$を満たすような$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数を求めるところのみ抜粋)
$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$を仮に$${n}$$を超える自然数をとることもできたとする場合,
$${a+b+c=2n}$$をみたす$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方は,
(A)「$${2n}$$個の同じものを, 必ず1人最低1個は与えられるとして, 3人に分ける方法の数」
に等しい.
そのうち, $${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のいずれかが$${n}$$を超える場合,
超えるのは$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$のうち1つだけでである.
(2つ以上が$${n}$$を超えると, $${a+b+c>2n}$$となってしまうため)
例えば$${a>n}$$の場合,
$${1\leqq a-n, b, c\leqq n}$$かつ$${(a-n)+b+c=n}$$
となるため, その場合は
(B)「$${n}$$個の同じものを, 必ず1人最低1個は与えられるとして, 3人に分ける方法の数」
と同じ数だけある.
$${b>n}$$, $${c>n}$$の場合も同様であるから,
結局, 問題の条件を満たす$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数は,
(A)-(B)×3で与えられる.
一般に, 3以上の自然数$${m}$$に対し
(X)「$${m}$$個の同じものを, 必ず1人最低1個は与えられるとして, 3人に分ける方法の数」
は, $${m}$$個の横1列に並んだ ○ の, 隣り合う2つの ○ の間($${m-1}$$箇所)から2か所を選んで仕切り棒 | を1本ずつ入れる方法の総数,
すなわち$${_{m-1}{\rm C}_2=\dfrac{(m-1)(m-2)}{2}}$$に等しい.
ただし$${m=2}$$の場合は, ○ の間が1か所しかないので2本の仕切り棒を入れる方法は$${0=\dfrac{(2-1)(2-2)}{2}}$$通りであるから,
結果的に$${m\geqq 2}$$で(X)の方法の数は$${\dfrac{(m-1)(m-2)}{2}}$$である.
以上より, $${a+b+c=2n}$$かつ$${1\leqq a, b, c\leqq n}$$を満たす$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$の選び方の総数は,
$$
\begin{aligned}
\dfrac{(2n-1)(2n-2)}{2}-\dfrac{(n-1)(n-2)}{2}\cdot 3&=\dfrac{(n-1)\{2(2n-1)-3(n-2)\}}{2}\\
&=\dfrac{(n-1)(n+4)}{2} (通り)
\end{aligned}
$$
である.
(以降, 解答例1と同じ)
まとめ
以上, 第6回垂れ流し数学模試の文型・理型第1問(1)の解答をお届けいたしました。
解答例1のような方法だと$${a=n}$$の場合とそれ以外に分けて考えられたかが分かれ目となりそうです。
一方、解答例2のほうはΣの計算は回避して場合の数の計算で収まりますが、
$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$が$${n}$$を超える場合の差し引きについても「重複組合せ」の考えを使えることに気付けると、スムーズに解けると思います。
レベル感としては(あくまで私の独断ですが)、入試標準レベルといったところでしょうか。
それではこの記事を終わりたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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