【第6回垂れ流し数学模試】理型第1問(2) 解答例

皆さんこんにちは。

今回は第6回垂れ流し数学模試の理型の第1問(2)の解答例です。

多項式の除法と第$${n}$$次導関数に関する問題でした。


問題

$${x}$$の整式で表された関数$${f(x)}$$とその第1次導関数$${f'(x)}$$, 第2次導関数$${f''(x)}$$に対し,
$${f(2)=3}$$, $${f'(2)=−1}$$, $${f''(2)=2}$$
が成り立つという. このとき, $${f(x)}$$を整式とみたときの$${(x-2)^3}$$でわった余りを求めよ.

考え方1

$${f(x)}$$を3次式$${(x-2)^3}$$でわった余りは0または2次式なので,
その余りを$${ax^2+bx+c}$$ ($${a}$$, $${b}$$, $${c}$$は定数)とおき,
さらにそのときの商を$${Q(x)}$$とおくと,

$$
f(x)=(x-2)^3Q(x)+ax^2+bx+c
$$

と書けます.

この式から, 実際に$${f'(x)}$$, $${f''(x)}$$を求めたうえで,
$${f(2)}$$, $${f'(2)}$$, $${f''(2)}$$をそれぞれ$${a}$$, $${b}$$, $${c}$$で表してみましょう.

解答例1

$${f(x)}$$を3次式$${(x-2)^3}$$でわった余りは0または2次式であるので,
その余りを$${ax^2+bx+c}$$ ($${a}$$, $${b}$$, $${c}$$は定数)とおき,
さらにそのときの商を$${Q(x)}$$とおくと,

$$
f(x)=(x-2)^3Q(x)+ax^2+bx+c
$$

と書ける.

このとき,

$$
f'(x)=3(x-2)^2Q(x)+(x-2)^3Q'(x)+2ax+b
$$

$$
\begin{aligned}
f''(x)&=6(x-2)Q(x)+3(x-2)^2Q'(x)+3(x-2)^2Q'(x)+(x-2)^3Q''(x)+6a\\
&=6(x-2)Q(x)+6(x-2)^2Q'(x)+(x-2)^3Q''(x)+2a
\end{aligned}
$$

であるから,

$$
\begin{aligned}
f(2)&=4a+2b+c=3\\
f'(2)&=4a+b=-1\\
f''(2)&=2a=2
\end{aligned}
$$

これらより, $${a=1}$$, $${b=-5}$$, $${c=9}$$.

したがって, $${f(x)}$$を$${(x-2)^3}$$でわった余りは,
$${\boldsymbol{x^2-5x+9}}$$である.

考え方2

別解として, 最初から$${(x-2)^3}$$でわった式を書くのではなく,
段階的に$${f(x)}$$を$${x-2}$$で3回わることを考えます.

$${f(2)=3}$$から, 剰余の定理を用いれば, $${f(x)}$$を$${x-2}$$でわった余りは3です.
このときの商を$${Q_1(x)}$$とおくと, 
$${f(x)=(x-2)Q_1(x)+3}$$ …①
です.

次にこのf(x)を微分すると、
$${f'(x)=Q_1(x)+(x-2)Q_1'(x)}$$ …②
になりますが,
$${f'(2)=Q_1(2)=-1}$$
であることより, $${Q_1(x)}$$を$${x-2}$$でわると-1余ることになります.
このときの商を$${Q_2(x)}$$とおけば,
$${Q_1(x)=(x-2)Q_2(x)-1}$$
となります.

このとき, $${Q_1'(x)=Q_2(x)+(x-2)Q_2'(x)}$$によって,
上の②で示した$${f'(x)}$$に代入し, $${f'(x)}$$を$${Q_2(x)}$$や$${Q_2'(x)}$$を用いて表すことができます.
さらにもう1段階同じステップを踏んで$${f''(2)}$$を計算すると,
$${Q_2(2)}$$から$${Q_2(x)}$$を$${x-2}$$でわった余りが求められるので,
このときの商$${Q_3(x)}$$を用いて$${Q_2(x)}$$を$${Q_3(x)}$$で表します.

最終的に$${Q_1(x)\to Q_2(x)\to Q_3(x)}$$と表せているので,
最初の①に順次代入すると, 
$${f(x)=(x-2)^3Q_3(x)+R(x)}$$という形になるかと思います. 

解答例2

$${f(2)=3}$$から, 剰余の定理により, $${f(x)}$$を$${x-2}$$でわった余りは3だから, そのときの商を$${Q_1(x)}$$とおくと, 
$${f(x)=(x-2)Q_1(x)+3}$$ …①

f(x)を$${x}$$で微分すると、
$${f'(x)=Q_1(x)+(x-2)Q_1'(x)}$$ …②
であるから, $${f'(2)=Q_1(2)=-1}$$
したがって, $${Q_1(x)}$$を$${x-2}$$でわると-1余り,
このときの商を$${Q_2(x)}$$とおけば,
$${Q_1(x)=(x-2)Q_2(x)-1}$$ …③
と書ける.

このとき, $${Q_1(x)}$$を$${x}$$で微分すると,
$${Q_1'(x)=Q_2(x)+(x-2)Q_2'(x)}$$
となるから, ②により,

$$
\begin{aligned}
f'(x)&=(x-2)Q_2(x)-1+(x-2)\{Q_2(x)+(x-2)Q_2'(x)\}\\
&=2(x-2)Q_2(x)+(x-2)^2Q_2'(x)-1
\end{aligned}
$$

となる.

さらに、$${f'(x)}$$を$${x}$$で微分すると、

$$
\begin{aligned}
f''(x)&=2Q_2(x)+2(x-2)Q_2'(x)+2(x-2)Q_2'(x)+(x-2)^2Q_2''(x)\\
&=2Q_2(x)+4(x-2)Q_2'(x)+(x-2)^2Q_2''(x)
\end{aligned}
$$

であるから, $${f''(2)=2Q_2(2)=2}$$, よって$${Q_2(2)=1}$$.
したがって, $${Q_2(x)}$$を$${x-2}$$でわると1余り,
このときの商を$${Q_3(x)}$$とおけば,
$${Q_2(x)=(x-2)Q_3(x)+1}$$ …④
と書ける.

①, ③, ④により,

$$
\begin{aligned}
f(x)&=(x-2)Q_1(x)+3\\
&=(x-2)\{(x-2)Q_2(x)-1\}+3\\
&=(x-2)[(x-2)\{(x-2)Q_3(x)+1\}-1]+3\\
&=(x-2)^3Q_3(x)+(x-2)^2-(x-2)+3\\
&=(x-2)^3Q_3(x)+x^2-5x+9
\end{aligned}
$$

$${f(x)}$$を3次式$${(x-2)^3}$$でわった余りは0または2次式であり, 
しかも$${f(x)}$$によりその商と余りは一意に決まるので,
この式は$${f(x)}$$を$${(x-2)^3}$$でわった商が$${Q_3(x)}$$, 余りは$${\boldsymbol{x^2-5x+9}}$$であることを示している. 


まとめ

以上, 第6回垂れ流し数学模試の理型第1問(2)の解答をお届けいたしました。

整式の除法と微分についてはたまに問題として取り上げられますので、
いくつか演習するといいと思います。

とくに次のことが成り立つことは重要です。
余裕がある方は示してみてください。

$${a}$$を実数の定数, $${n}$$を自然数とする.
$${x}$$の整式$${f(x)}$$が$${(x-a)^n}$$で割り切れるためには,
$${f(x)}$$を$${x}$$の関数とみて
$${f(a)=f'(a)=f''(a)=\cdots=f^{(n-1)}(a)=0}$$を満たすことが必要十分である.

また多項式の除法と微分については、
話題としても、テイラー展開につながったりするので興味深いです。

それではこの記事を終わりたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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