4.建築士がハウスメーカー選びをする
ハウスメーカー(以降”メーカー”と略します)を選ぶ時に、たくさんありすぎてどこを選べば良いのか迷う方も多いと思います。今回は私自身がどのような手順でメーカーを選定していったのか、順を追ってご紹介していきます。
※ここから先の文章は常体で記しております
A.マイホームへの要望を整理する…
マイホームを考えた時に、まずは自分の要望を整理することから始めてほしい。少なくとも、下に記すような大きな要望は書き出しておく。
①必要な部屋とその数
→マイホームの間取りの目安を決める際に必要
②部屋のサイズ・位置・階数に影響する要望
→例:グランドピアノを置きたい、子供部屋は南側にしたい、吹抜けが欲しいなど
③月々の支払い金額
→家計の状況を踏まえて無理のない返済計画を考えておく
④省エネ住宅にするかどうか
→ZEH・長期優良住宅・省令準耐火構造など、仕様によっては数百万円アップする
上記のような項目は、特にマイホームの価格に影響してくるので、整理して優先順位を決めておかなくては、自分がマイホームにいくら掛けられるのかを把握することができない。
B.マイホームの広さを考える…
自分の要望を整理できたところで、それを実現するには何坪程度必要なのかを把握すると、今後の流れがスムーズになる。
例えば、メーカーのホームページに掲載している間取り図を参考にするもよし、建築雑誌や住まいの情報誌に掲載されている間取り図を参考にするもよし。その中から、自分の要望をより満たしている間取りをピックアップして、その建物が何坪程度の広さなのかを計算してみる。
可能であれば、要望をたくさん満たしている間取りと要望を最低限満たしている間取りの坪数を把握するのが良いだろう。たくさんの間取りを見比べているうちに、大体何坪程度必要になるのかが分かってくる。
C.価格帯を確認する…
なにはともあれ重要になってくるのは予算との兼ね合いである。ただ、各メーカーのホームページには具体的な価格は載っていないことがほとんど。そのメーカーで建てた方の口コミやブログを読んでも、実際のところ自分が欲しい情報が得られなかったりする。
当たり前といえば当たり前のことだと思う。住宅は1つとして全く同じものはあり得ないのに、価格を明示してしまって、後から金額が変わってきてもメーカーは責任を取れないし、取る必要もないのだ。住宅は1つとして全く同じものはないというのは、全く同じ形の、全く同じ仕様の家だったとしても、建てる時期や敷地の場所などは全て違うという意味である。
具体的な価格が確認できないということを踏まえた上で、価格ではなく価格帯を確認する必要がある。例えば、坪単価50万円以下のローコストメーカーなのか、坪単価100万円を超える全国規模で有名なメーカーなのか、その中間の価格帯に位置する地場のメーカーなのか、といった風に分けて、自分の資金計画に見合った価格帯のものを選ぶと良い。そこで、先ほど探ったマイホームの広さが重要になってくる。下にマイホーム本体にかけられる金額の目安の探り方の例を記す。
①要望をたくさん満たすためには40坪程度必要
→坪単価70万円のメーカーなら40坪で2800万円
②要望を最低限満たすためには30坪程度必要
→坪単価100万円のメーカーなら30坪で3000万円
D.メーカーの施工事例を確認する…
価格帯が定まってきたら、それに該当するメーカーの中から、自分の好みのテイストに合うメーカーを選んでいく。メーカーを選ぶ時に見るべきポイントはテイスト、つまり雰囲気である。メーカーに自分の好みのテイストの家の写真を見せて、こういう感じにできますかと尋ねると、大体できると言われると思う。つまり、どんなメーカーを選んでも、どんなテイストでも造ることはできるのである。
そこで関わってくるのが金額である。例えば、ログハウスのような家を建てたい人が、和モダンな家を建てるメーカーを選んだとする。そのメーカーの標準仕様Aは全て和モダンなテイストにまっちするもので揃えている。しかし、ログハウスのような家にするとなると、それらの標準仕様Aを全て特別仕様Bに変更してもらわなければならない。AとBの定価金額の差が10万円だとしても、メーカーはAを大量に仕入れることで割引価格で仕入れているため、15万円アップしてしまうようなことがある。そういったことで簡単に金額が増減していくのでテイストは重要である。
メーカーのホームページを見ると、施工事例の写真が載っているので、それをいくつか見ていくことで、そのメーカーのテイストを感じ取ることができると思う。テイストが分からなかったとしても、この雰囲気好きだな…と感じたメーカーを選ぶと良い。
E.メーカーに資料請求をしてモデルルームを見学する…
自分の好みの雰囲気に合いそうなメーカーを見つけられたら、片っ端から資料請求する。送られてきた資料には、ホームページに掲載のない情報が載っていたりする。ただ注意したいのは、メーカーによっては、セールスの電話がある可能性があるということ。必要以上に資料請求するのはリスクもあるので避けたい。
送られてきた資料に目を通して、実際にモデルルームを見てみたいと思ったメーカーにアポイントを取って見学に行くという流れが良い。そうすれば事前に疑問があれば見学時に尋ねて解決できる。また、情報がなく見学に行くと、何となく見て終わってしまうことがある。
そして、モデルルームを見学した中で特に気に入ったメーカーに、プランニングや見積・資金計画をお願いする。もしそこで、どのメーカーも気に入らなかった場合は、候補のメーカーを増やせそうな手順まで戻ってやり直すことになる。
最後に…
今回は自分がハウスメーカーを選んだ時の流れや、留意した点を順を追って説明していきました。ハウスメーカーは探せばキリがないので、疲れてきて投げやりになるようなこともあるかもしれません。それぞれが重要視するものによって、手順が前後することもあります。皆さんがハウスメーカーを選ぶ際に参考にしていただき、後悔のない家づくりのスタートを切ってもらえれば幸いです。
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