Vol.35 授業参観に行ってきました(後編)
前回に引き続き、天野先生の学級を見学させていただいたことの後編になります。
前編は、Vol.34をお読みください。
1.授業参観について
(1)道徳・・みんなのためにはたらくって?
<授業内容>
①ゆかみがきを題材にした物語から、問いである「みんなのためにはたらくって?」どう深めていくのか、問いを考えていく
②子どもたちからでた意見の中から、この授業での問いを決めていく
できた問いが
どうして2人は、ゆかをみがくことができたの?
③「やろうとする気持ちの人がいるはず」 という視点から考える→なぜいるの?
④子供からの「みんなが困りそう」という視点から考える→なぜ困るの?
⑤「自分だったら遊びに行くことよりもゆかみがきをやりますか?」という視点
⑥どうしてゆかをみがいてくれるのかの「なぜ?」の再度投げかけ
⑦「chatgpt」と「copilot」にこの物語の内容と、問いを聞いてみる
⑧自分なりの今回の問いへの考えたことを記入
⭐︎授業の工夫・ポイント⭐︎
○子ども同士の意見交換の特徴
発表で出た意見に対して、「どういうことなのか」をお互いに問い返しているところです。自分の中にある価値判断と相手の価値判断の相違を理解するといったことが頻繁に行われていました。特に、「ゆかみがきが出来ると何がより良いのか」「みんなが過ごしやすくなるには」といった視点における問い返しが多くて、びっくりしました。思考の整理の仕方が子どもたちの身になっていました。
○子どもたちが思考を行うテンポが停滞しない
フォローを天野先生が行っていました。絶妙なのが、ゆっくりでもいい、ただ止まってしまわないようにというところです。また、「アイメッセージ」にあたるかと思いますが、「先生だったら2年生の時にできたかな」を問いかけていたのが印象的でした。
子どもたちの意見を吸い上げて渡し、また、吸い上げて渡しを繰り返していました。板書も思考の流れを見える化していました。
放課後の天野先生との対談にて
「みんなのために働く人」という問いは、中学生段階だと結構イメージがついてしまって、それっていいことだよねとなってしまいがちで、年代によって取り上げ方の工夫が必要だということを話しました。
また、A Iの活用については、全体がいく方向とは多少違うもののこの関係性からはこういう結論も出すのだなという扱いだということでした。ただ私からみると、子どもによっては、AIの結論にまとめが左右されている部分があるのではとあったかと聞かせていただきました。
心の揺らぎが見え、必ず息つかなくてはならない結論はなく、それまでの流れもあった中からの比較検討なので良いのでは、ということでした。
道徳というものは、評価とするべきなのか考えさせたれました。
また、AIの出す結論に対してどのような認識を天野先生の学級の子どもたちは持っているのか、聞きそびれてしまいました。
(2)算数・・・九九ワールド in #Minecraft 〜with #Canva&kahoot!〜
こちらは、これまで天野学級の子どもたちが創り上げてきた「九九ワールド in #Minecraft 〜with #Canva&kahoot!〜」を実際にみんなで体験している様子を見せていただきました。ワールドについては、実際に体験していただくことが第一だと思いますので、ぜひ天野先生まで!
⭐︎授業の工夫・ポイント⭐︎
こういったことを行うと遊ぶ人がいる、壊す人がいるなどいろいろなトラブルがあると思います。実際に、私が見に行かせていただいたこの時間でも、勝手にワールドを壊したり(故意かは別として)、継ぎ足したりすることが起きていました。
天野先生は、そこに対して「どうやってこのワールドを使っていくことがいいのか」「他者との協働について」を個別にも話、学級全体でも共有していました。ここは譲れないというところ以外は、子ども自身から答えを粘り強く引き出していました。
(3)体育・・・縄跳び&様々なドッヂボール〜自分たちで工夫しよう〜
<授業内容>
①体操後、二人一組でお互いに縄跳びを行う。各自にあった段階の技を行う。
②投げ方と、避け方をおさらい(2人組)
③ドッジボールを行うが、障害物を置いてルールは通常通り
③ボールの数を増やす
④コートを4分割して3方向からボールが来るドッチボール
⭐︎授業の工夫・ポイント⭐︎
○絶対評価としての体育ではなく、あくまで自分の技を高めることを目標にしている。
○どうしたいから、今どんな動きが必要なのかをはっきりとさせて、基本的な動作を確認する。細かな動き方よりもダイナミックに体が動かせることを重視していました。
○自然と頭を使って取り組むような仕掛けになっていました。障害物をどう使っていくのか、ボールの数が増えたからどうやっていくのか、コートが分割されたらどうするのか。昔、サッカー部の顧問をしていた時に読んでいた故オシム監督の練習法と似ていました。
終わりに
なかなか文章力がないなりにまとめたので、天野先生の実践の良さを表現しきれたか・・・書き切れたか不安になるぐらい目にした子どもたちの姿の裏に今年1年の取り組みを感じました。天野先生は、「子どもたちが素直だからできています」と謙遜されていましたが、子どもたちが成長できるように一人一人にあったスモールステップを踏ませているのがわかりました。
放課後の話に出たこととして、葛原先生の「ゆるアツ」と似た理念であることも話題として出ました。
あなたはあなたでいい、でも、成長に向けてこのステップを一緒に上がっていこうねというメッセージを感じました。
中学校と小学校では、教科担任制との違いや発達段階の違いがあるとは思いますが、根底にあるものは同じでもっと9年間を見据えたものが大事だと感じました。
これからもどんどんたくさんの人の教室を見に行きたいと思いました。
ぜひ見せたいという方募集します!