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自分には向いていないと諦める前に


脳科学が教える「思い込み」の克服

「自分には向いていない」 - 誰しも一度は感じたことのある、心のブレーキである。 新しいことに挑戦しようとした時、過去の失敗や周囲の評価が頭をよぎり、やる前から諦めてしまう。

あるいは、始めたものの「やっぱりダメだ」と途中で投げ出してしまう。こうしたことは誰でも経験があるのではないだろうか。私などはこれの権化と言ってもいい。

しかし、脳科学の視点から見ると、この「向いていない」という思い込みは、脳の働きと密接に関係しており、必ずしも真実を反映しているとは限らないようだ。

脳は「変化」を嫌う?

人の脳は、基本的に変化を嫌うように進化している。これは、生存本能の名残であり、未知の状況に警戒することで危険を回避してきたからである。新しいことに挑戦するということは、脳にとっては未知の領域に足を踏み入れること。

そのため、不安や恐怖を感じ、「向いていない」という思い込みを生み出しやすい。「自分に向いていない」と言語化できる人もいれば、足がすくむ、乗る気がしないなど、体感覚として脳の抵抗感を感じている人も多いと思われる。

過去の記憶に囚われる脳

過去の失敗経験は、脳に深く刻まれていく。これは、扁桃体と呼ばれる脳の部位が、感情的な記憶を強く保存するからである。一度失敗すると、扁桃体は「危険信号」を発し、同じような状況を避けようとする。

その結果、「自分には向いていない」という思い込みが強化され、新たな挑戦を阻んでしまうのだが、じつはこれは生き抜くための戦略であり、誰にでもインストールされている基本OSのようなものだ。

他人の評価に左右される脳

人は社会的な生き物であり、他者の評価を気にせずには社会性を発揮できない。しかし他者の評価を気にしすぎるのは百害あって一利なしだ。特に幼少期の頃に受けた評価は、自己肯定感の形成に大きな影響を与える。

もし、「あなたは〇〇に向いていない」と言われ続けると、脳はそれを真実として受け止め、自己肯定感を低下させてしまう。

脳の可塑性:可能性を秘めた脳

しかし、脳は決して固定されたものではないようだ。近年の脳科学研究で明らかになった「神経可塑性」は、脳が経験や学習によって変化することを示している。

つまり、たとえ過去の経験や他者の評価がネガティブなものであっても、新たな挑戦を続けることで、脳は変化し、「向いていない」という思い込みを克服できる可能性を秘めているといえる。

この「脳は変化する」とはどういう意味かというと、おおまかに言えば、過去からの情報の轍が舗装されて、新しい轍が作られていく、データが上書きされていくといった感じだ。

脳を味方につけるには?

では、どのようにすれば脳を味方につけて、「向いていない」という思い込みの轍を新しい轍に変えていけるのか? いくつか具体的な方法をご紹介する。

1・小さな成功体験を積み重ねる

大きな目標をいきなり目指すのではなく、小さな目標を立て、達成感を味わうことで、脳に「成功体験」を学習させていく。ドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が分泌され、モチベーションによい影響を与える。

2・成長 マインドセットを持つ

「能力は持続的取り組み次第で向上する」という成長マインドセットを持つことで、挑戦に対する不安や恐怖を軽減し、脳を学習モードに切り替えることができる。

この「切り替え」がポイントである。常時、成長マインドセットに切り替える習慣を持つことは大いに役立つ。

3・周囲のサポートを受ける

信頼できる人に相談したり、自分自身を客観的に評価し、今現在のありのままの自分の状態を伝えてもらうことで、ファクトフルな自分を知ることができる。これにより生き方の軌道修正が可能になる。そうなれば脳のストレスを軽減し、前向きな気持ちになることができる。

脳科学の知見を活かすことで、「向いていない」という思い込みから解放され、新たな可能性を切り開くことができるだろう。 あなたの脳は、想像以上に大きな可能性を秘めている。

まとめ

自分には向いていないと諦める前に、自分の特性に関して十分に理解し、
科学的な視点に立ってその特性を活かすことを考えてみる。これは決して
無駄にはならない。

私たちは自分が知らないだけで、同じような課題や悩みを克服するための様々なアイディアがあることに気がついていない場合が多々ある気がする。

「しぶとく粘る」というのは、自分の生きる力の持久力を鍛える絶好のチャンスである。是非、粘ってみていただきたい。必ず粘った分だけ生きる筋力は付加されるはずだ。

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