【溶媒選定コラム】G valueを用いたgreen solventsの選定

1.SDGsとgreen solvents

SDGsに掲げられる17の目標の達成には、現代社会を支えるモノづくりのプロセスを持続可能にすることが不可欠です。化学の力がSDGsに貢献できることは多岐にわたりますが、持続可能な開発を実現するために「環境負荷の低い溶媒:green solvents」を選定する指標を紹介します。

環境負荷と一言で言っても、人体への安全性、溶媒の反応性、大気への影響、他生物への影響…など様々な観点で溶媒を評価する必要があります。

本記事では、上記に記載したような様々な環境負荷を定量化し、ある溶媒がどれだけgreen solventなのか?という指標をG valueという数値で表した取り組みを紹介します。

SoluVisionはG valueを用いて溶媒を絞り込むことが可能です。有害な溶媒の代替案を無害な溶媒の混合溶媒で提案するヒントになり、思いもよらない発見があるかもしれません。

2. GSK solvent sustainability guideに基づく定量評価 G value

G valueはグラクソスミスクライン(GSK)社の発案するGSK solvents sustainability guideに基づいて各溶媒の環境負荷を定量化した数値です。

表1に示すようにG valueは環境負荷の因子を4カテゴリ、10サブカテゴリに分け、それぞれのスコアの積を4乗根で補正した数値です。各カテゴリスコアは1~10の間で点数付けがされ、数値が高いほど環境負荷が低い溶媒としています。

表1: G valueの計算方法

およその目安として、G ≧ 7が環境負荷が低く好ましい溶媒とされています。例えばエチレングリコールは G = 7.5、ベンゼンは G = 3.7と計算され、エチレングリコールは溶媒として好ましく、ベンゼンは好ましくないことが定量的に判断されます。

SoluVisionでは、溶媒の絞りこみに上述のGだけではなくH、S、E、Wを独立して用いることもできます。溶媒データセットの作製時に、物性や法規制とは別に「green solventであるか?」という考えも合わせることで、思いがけない溶媒の組み合わせを発見できるかもしれません。

3.より詳細を知りたい方はこちら

本記事に記載した情報は下記の論文を参考にしています。
※参照元の論文におけるG valueの正確な表現は「composite score value(G)」です。便宜上、本記事ではG valueと表記しました。


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