「オードリー・ヘップバーンのモンテカルロへ行こう」('51仏)
「ローマの休日」で大スターになるオードリー・ヘプバーンが「ローマの休日」の2年前に脇役で出演したフランスのコメディ映画。オードリーが出たと言う以外、誰も知らないようなこの作品がまるでオードリー・ヘプバーンが主演であるかのような偽装が施されて日本でソフト化されたもの。
この作品でのオードリーはハリウッドの売れっ子女優という設定で、傲慢チキな女優を演じてます。こういうオードリーの演技は「ローマの休日」の後ではまず見られないもので、ファンには貴重だと思います。
オードリー・ヘプバーンは1929年にベルギーに生まれ、第二次世界大戦をオランダで過ごして栄養失調になるなど大変な苦労をしました(この体験が元で彼女は太らない体質になったと言われる)。戦後はバレリーナを目指しましたが、幼少期の栄養失調がもとでバレエには向かないとされ、女優を目指しました。
イギリスとフランスで何本かの舞台と映画に端役で出演し、その中の一本が「モンテカルロへ行こう!」でした。日本でも戦後沢山作られた観光映画の「夢のハワイで盆踊り」みたいな映画ですが、この2年後、「ローマの休日」でグレゴリー・ペックの相手役の王女を演じる女優を探していたウィリアム・ワイラー監督の目に留まり、「ローマの休日」に出演しました。
オードリー・ヘプバーンはハリウッドでは全く無名で、映画は当初「グレゴリー・ペックのローマの休日」として企画されましたが、共に演じたペックがオードリーの天性の才能とスター性を感じ、ワイラー監督に強硬に「オードリー・ヘプバーンのローマの休日」にするべきだ! と主張し、映画が公開されるや誰1人オードリーが主演であることを疑わない作品になりました。
グレゴリー・ペックのハリウッドスターには似つかわしく無い「良い人」ぶりが際立つエピソードです。
この映画のオードリーは美しいが傲慢で鼻持ちならないキャラクターで、しかも子持ちであり、別れた旦那が連れ去った自分の赤ちゃんを探しにモンテカルロに来る役なのです。出演時間が12分しか無い完全な脇役ですが、無名時代のオードリーを見たいオードリーファンなら持っていて損はない作品です。
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