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【あるオタクの妄想世界と人生】ヘンリー・ダーガー「非現実の王国で」DVD特別版

ヘンリー・ダーガーは1892年シカゴに生まれ、1972年、40年間暮らしたアパートから老人施設に移った時、大家のネイサン・ラーナーがダーガーの部屋で驚くべきものを見つけました。

それは「非現実の王国で」とタイトルが記された1万5000ページに及ぶタイプ原稿と、その物語のために自分で描いた膨大な挿絵でした。「ヴィヴィアン・ガールズ」と彼が名付けた少女戦士と大人軍との戦争が描かれていたのです。

大家のラーナーはデザイナーで写真家であり、一目見るなり、ダーガー作品の芸術的価値を確信します。

ダーガーは施設に移った翌年に死去しましたが、大家さんによってその作品群が世界に紹介されます。

日本では90年代初頭に「芸術新潮」が「病める天才たち」と言うアウトサイダー・アーティストの特集を組み、そこでページを割いてダーガーの作品を紹介し、大評判となります。

日本においては「美少女戦士がチームで大人の軍隊と戦う」というモチーフが、「美少女戦士セーラームーン」とも重なり、美術界ばかりでなく、オタク人気が異様に高まったのです。

ダーガーは極端に人見知りする性格で、他人との接触を好まず、昼は病院の掃除夫として働き、夜は自室にこもって、何十年もただひとつの大長篇物語とその挿絵を描き続けていました。実は知性には問題はなく、自閉症ではなかったと考えられています。

少女戦士は裸体で描かれ、その股間には小さなペニスが描かれています。なぜそうなのかは諸説がありますが、ダーガーは生涯女性と付き合ったことがなく、女性の身体がどうなっているのか知らなかった、という説が有力です。

そして美少女戦士が磔になり、腹部から内臓が飛び出るグロテスクな絵もあって、剥き出しの残酷さとエロティシズムが見る者の心を抉ります。

この映画は、歴史に残るアウトサイダー・アーティスト、ヘンリー・ダーガーの孤独な人生と、彼が数十年にわたって書き・描き続けた「非現実の王国で」の驚異の全貌を記録したドキュメンタリーです。

当然ながらプレミア品です。私は昔、映画館でこの映画を見て感銘を受け、DVDは未開封のまま保管していました。Amazonでは新品が25000円で取引されています。しかし私の所有する盤は未開封ながら外箱に少し変形があります。中身には問題はないはずです。中古価格の1万円でいかがでしょうか。

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