森達也「A」
ドキュメンタリー映画監督森達也の代表作です。テレビディレクターだった森氏は、オウム事件の取材をするうちにオウムの「内側」から外の一般の社会を撮ってみたい衝動に駆られ、会社を辞めてオウム内部にカメラを据えて密着取材をしました。
無数の報道陣がカメラを構える中、被写体であるオウムの側からこちらを撮影している報道陣を撮影するという、珍しい画面で構成されたドキュメンタリーです。
作中、多分ドキュメンタリーでは初めて撮影されたと思われる「転び公防」の場面が見られます。転び公防とは、左翼のデモや集会などででも参加者の前で公安警察官がわざと転び、「痛てててて! あー痛い、骨が折れたぞ貴様を逮捕する!」と言って指一本触れてないデモ参加者を逮捕することで、70年安保闘争のデモ隊取り締まりに多用されて「転び公防」と名付けられたものです。
「A」では、オウム信者に対して警察官が「転び公防」をやる場面がバッチリカメラに収められて、半ば伝説と化していた転び公防は本当にあるんだ、と公開当時話題になりました。
Aはオウム真理教(現在はアレフ)の広報部長である荒木浩の頭文字です。彼を主役にして、オウムの内側からあの異常な事件を撮影した永遠の問題作と言えます。
続編に「A2」があり、森達也は一躍世界的に評価される監督となりました。 このディスクはうっかりダブって購入したもので、新品未開封です。 「A('98「A」製作委員会)」 森達也
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