【世界のミフネその3】「レッド・サン」('71仏/伊/スペイン)
日本映画代表の三船敏郎、フランス映画代表アラン・ドロン、アメリカ映画代表チャールズ・ブロンソンが共演する、「三大怪獣地球最大の決戦」みたいな映画です。全員キャラが立ち過ぎて、もう3人とも主役。
時は幕末のアメリカ西部。日本の修好施設団が、アメリカ大統領に手渡すため天皇から預かった黄金の太刀をもって海を渡ってやってきました。
一行が乗る大陸横断鉄道にチャールズ・ブロンソンとアラン・ドロンが乗り込んでくる。彼らは列車強盗団の一味でした。そして天皇の太刀が盗まれたことから、三船敏郎と強盗団の戦いに発展。さすがは三船、銃を突きつけられても全然怯みません。
途中、ブロンソンが邪魔になったドロンは、ブロンソンを列車もろとも爆死させようと謀ります。しかしブロンソンは生き残り、復讐するため三船敏郎に協力してドロンを追う。
この映画は最初、三船敏郎が米国パラマウント映画に持ちかけた合作企画でした。プロデューサーのテッド・リッチモンドが乗り気になりましたが、一度企画が流れてしまいます。
諦めきれないリッチモンドは、フランスの会社に話をつけ、仏・イタリア・スペイン合作で「レッド・サン」は生まれました。イタリアとスペインが入っているのは、イタリアのマカロニ・ウェスタンがスペインの荒野をアメリカ西部に見立てて撮影されていたからです。つまり「レッド・サン」はハリウッド監督が撮影したマカロニ・ウェスタンでもあるわけです。
その際、リッチモンドは三船にテレンス・ヤング(007シリーズ)、エリア・カザン(エデンの東)、サム・ペキンパー(ワイルドバンチ)の3人から監督を選べという夢のような条件を提示しました。
三船は「あなたに会えて幸せだ」と挨拶してきたテレンス・ヤングを監督に選びました。監督候補3人ともキャリアの絶頂期であり、この中でテレンス・ヤングは1番娯楽性・職人性があって悪くない選択ですが、エリア・カザンやサム・ペキンパーの「レッド・サン」も観たかった気がします。
主役3人のうち三船のほかはチャールズ・ブロンソンに決定しましたが、もう1人を選んでくれと言われた三船は当時日本でも人気絶頂だったアラン・ドロンを選びました。最初の企画者だけあって、三船敏郎にはかなりの選択権があったのですね。当時の三船の国際映画界での絶大な知名度と人気が伺えます。本当に「世界のミフネ」だったんですね。
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