ジム・カヴィーゼル「新・プリズナーNo.6」
67年のカルト的不条理スパイドラマ「プリズナーNo.6」のリメイク的TVシリーズ。今回はジム・カヴィーゼルがNo.6を演じます。この作品のタイトルも「プリズナーNo6」なんですが、旧作と区別するために便宜的に「新」を付けました。
しかしこの作品、ただのリメイクではありません。「村」に閉じ込められて絶対に脱出できない主人公という設定、村の支配者No.2と戦うという設定はオリジナルと同じなんですが、ストーリーは全く違います。
しかし全体に漂う悪夢のような不条理感は同じ。そして最後まで見た時、オリジナル作品にあった物語の「本質」を別の角度から見せつけられるような、旧作も含めた作品の新しい全体像が見えて、アッと驚くこと請け合いです。
これは通常のリメイクではなく、「批評的リメイク」と呼ぶべきかもしれません。批評的というのは、オリジナルドラマにあった不条理感と「難解」さを分析した上で、全く別の角度から再構築したという意味です。
抽象的な言い方になって御免なさい。しかし旧作も新作も基本が難解な上に、新作に関しては、ネタバレを抜きにして語ることが難しいのです。
全く違うストーリーではあるので、オリジナルを見なくとも楽しめるとは思いますが、やはりこれは、できたらオリジナルを観たうえで観るべき作品だと思います。なるほどオリジナルの「プリズナーNo.6」にはこういう解釈もできるのか、と印象を新たに出来ること請け合いだからです。
オリジナルの設定を使い、全く異なる切り口で「プリズナーNo.6」を作るとこうなる、という意味で新解釈であり、なるほどこういう形のリメイクもあるのだ、面白いと思いました。
旧作の企画・監督・主演を演じたパトリック・マクグーハンは新作の脚本を読んで、「わたしがNo.2をやりたい」と言ったそうですが、本作の撮影を待たずに故人となりました。
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