永田雅一の70ミリ特撮超大作「釈迦('61大映)」
西洋には「十戒」や「天地創造」などキリスト教を題材にした超大作の流れがありますが、東洋にもキリストに負けない逸材が居る! ということで、熱心な法華経信者の永田雅一大映社長が南無妙法蓮華経の題目と共にぶち上げたのが本邦初の70ミリ超大作「釈迦」であります。
問題は70ミリ用フィルムの現像所が日本には無かったことです。そのため撮影したフィルムを南無妙法蓮華経を唱えながらイギリスの現像所に運び、現像してまた南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経と唱えて日本に送り返す繰り返しでした。
また現像したラッシュフィルムを確認できる上映設備が当時は大阪OS劇場にしかなく、そのため永田は南無妙法蓮華経を唱えながら京都撮影所に大映の全勢力を注ぎ込みました。
スタッフは撮影が終わったフィルムを京都からイギリスに特命社員が南無妙法蓮華経を唱えながら飛行機で運び、現像したフィルムを南無妙法蓮華経で大阪まで運んで試写しました。永田雅一は万一を考え、南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経と唱えながら製作費と同額の保険をフィルムに掛けました。
「釈迦」の特撮はリアルアニメーションを得意としたピープロうしおそうじ(鷺巣富雄)とマット画の名手・渡辺善夫が担当、これがピープロの初仕事になります。うしおは戦前、東宝で円谷英二のもとでアニメーションをやっており、実写と合成する特撮としてのアニメなのでリアルな表現が必要で、それがピープロ独特の特撮を生み出しました。
円谷英二は未来の特撮は実写と見分けが付かないアニメーションになる、と予想しており、それは現在の CGの発想です。当時はコンピュータが無かったので CGは想像することもできませんでしたが、考え方としては大昔からあったわけです。「釈迦」でうしおが担当した数々の実写と見まごうばかりのアニメーション特撮を観て、師匠の円谷英二は「これぞ未来の特撮だ」と別に南無妙法蓮華経は唱えずに絶賛したそうです。
因みに釈迦を本郷功次郎が、仏敵ダイバダッタを勝新太郎が演じました。ダイバダッタは釈迦の悟りを妨害しますが、最後は仏罰が当たって地割れに飲み込まれます。しかし最後の最後で己の非を悟り赦しを乞うたので、仏陀は慈愛をかけてダッタを成仏させます。なので法華経には「提婆達多品」という巻があるのです。
永田雅一の南無妙法蓮華経は功を奏し「釈迦」は見事な超大作として完成しました。
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↑プライム・ビデオ「釈迦」