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【特殊メイク対CG】「遊星からの物体X」「遊星からの物体Xファーストコンタクト」正続セット

ジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」(1982)は50年代SFホラーの名作「遊星よりの物体X」のリメイクなんですが、物体Xの見せ方が全く違い、特殊メイクアーティスト ロブ・ボッティンによる自在に身体を変化させる怪物の描写は、それ以前のSF映画にはまったく無かった種類のもので、これがCG以前の特撮だとは俄かに信じられないと思います。

外界から完全に閉ざされた南極基地で、逃げ場のない隊員たちを襲う宇宙生物の恐怖というコンセプトはオリジナル作品と同じですが、物体Xは動物にも人間にも取り憑いて体を同化させ、人間の姿でいる時は全く変わりがなく、ひとたび正体を現すと、人間ではあり得ない姿に変形して襲ってくる恐怖。これほど特殊メイクアーティストの才能に負っている作品は滅多にありません。

最後に南極に2人だけ取り残された主人公ともう1人が、もしかして相手は物体Xなのではないか? と疑心暗鬼のまま終わるエンディングは、長く恐怖が後に尾を引く、秀逸な終わり方でした。

2011年にマティス・ヴァン・ヘイニンゲンが監督した「遊星からの物体Xファーストコンタクト」は、「遊星からの物体X」の前日譚になります。ここではもうCG全開で、変幻自在に形態を変える怪物ほどCGに向いた素材はなく、そりゃあもうグッチョングッチョンに変形しまくりますが、気持ち悪さが数倍パワーアップしているのに、前作の、ノンCGであそこまでやった特撮の、「偉業」とも呼べる凄さを思い知ります。

まあ前日譚というのはとても難しいもので、何せ「結果」がどうなるか皆分かって観ているわけですから、前作以上の驚きを与えるのは至難の業と言えます。

最後に生き残ったハスキー犬が、ああ、こいつに物体Xが取り憑いていて、隣の南極基地まで走って行ってああいうことになるのね、と分かっちゃうのが残念です。この2作を見比べることは、1982から2011年の30年間のCG発展の歴史を知る意味、真に素晴らしいイマジネーションは技術の枠の外側にある、という教訓を知ることではないでしょうか。

また「ファーストコンタクト」にはつい、点が辛くなってしまうんですが、前作を離れて単体で観た時は、これはこれで異常に気持ちが悪い体験をが出来ることを保証します。

私の夢は、「南極物語」のタロージローが物体Xに取り憑かれた映画を観ることです。

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↑プライムビデオ「遊星からの物体X」(1982)

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↑プライムビデオ「遊星からの物体Xファーストコンタクト」(2011)


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