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設備故障による賃料減額のガイドライン

設備トラブルによる賃料減額について

最近の設備障害の相談はよくうけるのですが、皆さんどうしますか?
私の場合、ガス給湯器が壊れて復旧まで5日かかったとししたら、5日分の日割り家賃で計算して日割り家賃分満額を返していました。 もちろん、これは大家さんにもご納得していたうえでの判断です。
それでは返しすぎかなぁという疑問から、いろいろ調べてみましたらこんなものを発見しました。

■この制度の始まり

民法改正で「賃借物の一部滅失等による賃料の減額等」(民法611条)が規定され、賃貸物の一部が故障等した場合、その割合に応じて賃料が減額する旨が法に明記されたことによりこのガイドラインが設けられたようです。あくまでガイドラインなので強制力はない点に注意する必要があるのと、制度ができたばかりなのでこうしたガイドラインがないと混乱するということで定められたものということを理解する必要があります。

■ガイドラインの概要

計算方法がややわかりづらいですがまずは計算式が下記のようになっています。

【減額金額の計算式】
月額賃料×賃料減額割合10~50%×(修理完了までの日数-免責日数)/月30日

私が疑問に思ったのが下記2点
❶賃料減額割合
 これは生活における設備の重要度などから判断しガイドラインで規定されています。
❷免責日数
 これは設備の修理完了まで許容される日数という意味合いから『直すまでにこのくらいの日数はしかたないよね、がまんしてね』っていう日数です。

免責日数と減額割合

この計算式の例を記載します。
月額賃料100,000円×賃料減額割合10%×(6日-免責日数3日)/月30日 ==1,000円の賃料減額(1日あたり約333円)

■消費者心理と問題点

違うだろと…まず1日あたり333円じゃないですからね。壊れている期間は6日ですからね。約166円が正解ですよね。それから、もしガスが壊れて6日間お風呂入れないのですが、これで1日166円て、銭湯の足しにもなりません。ちょっと消費者がかわいそうなガイドラインができあがっているなと個人的には思います。

■ガイドラインの実務への影響

これがガイドラインなのでこれ以上保証できません、ガイドライン以上の保証を求めるなら訴えてください。
そういう強気な管理会社がでてきてしまいそうですよね。これではガイドラインの本当の目的を失ってしまっているような気もします。
また、最初に書いた例でいえば、ガイドラインの計算式だと返金額は1,000円になります。私が実務で対応していたのは、日割りで全額返すということにしていたので、約2万円返金していました。
大家さんからすれば、ガイドラインでは1,000円でいいはずなのになんで2万円も返したんですか?って怒られるやつですね。

■契約書の対応

契約書にも記載する必要があるようなです。自分で決める場合には下記のような文章を記載する必要がありますので参考にしてください。また、本事項は重要な事項になりますので重要事項説明書にも記載する必要があると思います。

(一部滅失による賃料の減額等)
第●●条 本件貸室の一部が滅失その他の事由により使用できなくなった場合において、それが借主の責めに帰すべき事由によらないときは、貸主及び借主は、その使用できなくなった部分の割合に応じて減額の要否や程度、期間、賃料の減額に代替する方法その他必要な事項について協議するものとする。この場合において、賃料を減額するときは、別添の日管協提供のガイドラインに基づいて計算する。
2.本件貸室の一部が滅失その他の事由により使用できなくなった場合において、残存する部分のみでは借主が賃借した目的を達することができないときは、借主は本契約を解除することができる。

■ガイドラインの意義と今後の改善

ガイドラインは参考としての役割を持つもので、全てのケースに適応するものではありません。例えば、真夏にエアコンが壊れた場合や、冬の北海道で暖房が壊れた場合などは、命に関わることもあり、柔軟な対応が求められます。ガイドラインが今後も消費者目線で改定され、より多くの大家さんと賃借人が納得できるものになるといいですね。
下記を参考にしてみなさんもよく考えて対応してください。

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