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本『「ついやってしまう」体験のつくりかた―人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ』の紹介

一言で表すと

はじめてマリオをやったとしても、十字キーを見て、画面を見ると、マリオをつい右に動かしてしまうのです。それはマリオが右を向いていて、右に空いた空間があるから。

画面がスクロールすると、すぐクリボーが出てきます。これは右に動いたことを暗に正解だと仄めかしているのです。するとついもっと先に進みたくなってしまうのですね。

こんなついを、段階を踏んだ方法で非常に巧みに紹介してくれいる本です。

先に余談

文字を読むのが苦手と言う人は、こちから入ると良いと思います。これ見てもっと知りたいって思ったら、ぜひこの本を読んでみると良いのではないでしょうか?

引用からみる学び

仮説→試行→歓喜という自発的な体験を通して理解した自転車の乗りかたは、もはや一生疑う必要のない心理として血肉となることでしょう。(P.54)
直感的にわかるものは、もはやおもしろいのです。(P.58)
おもしろそうだと思わせることすら捨て去って、プレイヤーが何をすればよいかを伝えることに集中する。これこそデザイナーに求められる最大の試練だといえます。(P.68)

三箇所からの抜粋ですが、これはすごいことだなと思いました。これはゲームではない、どんなプロダクトやサービスだってやりたくなってしまうと言っているからです。

たしかにわかれば楽しいし、できるようになったら嬉しい。そういうことが体験できる設計になっていることが大切なんですね。

でもどうやるの?ですが、この本には、ここにある仮説→施行→歓喜の部分が事例を持って細かく説明されています。

人の行動を変えているのは、シンプルで簡単であるかどうかです。目の前にあるものが、十分にシンプルで簡単であるなら、人は勝手に解いてしまいます。(P.78)

ソニーの創業者が、イノベーションの軸は二つあると言っていました。一つは価値を変えること。もう一つが行動を変えること。この二つが揃っていて、初めてイノベーションと言えるんだと。

イノベーティブなサービスを考えるのであれば、すっと入れるような簡単な作りになっていることで、その前提を超えられるのかもしれません。

「ぱふぱふのようなくだらない話なんて出るはずない」と思わせたとき、はじめてぱふぱふは意味を持つ。(P.120)

ぱふぱふは意図的に組み込まれていると言うことです。なぜでしょうか?

どんなに面白いゲームでも、テンポが同じだと飽きるからです。ドラゴンクエストのような長いゲームでは、ちょうど飽きそうなところでぱふぱふを挿入し、ユーザの緊張を解いているのです。

懸命にプレゼンを聞こうとしている聞き手を助けると思って、以下のモチーフを話の端々に意識的に差し込んでみましょう。
性/食/損得/承認
けがれ/暴力/混乱/死
射幸心と偶然/プライベート(P.299)

この飽きを解消させる驚きにはいくつものモチーフが上述した通りにあります。そしてこの技法はゲームだけではなく、プレゼンテーションなどにも有効と言うことでした。(読者層を広げる有用な作戦ですね)

○私たちの心は、解決済みの問題に対してはあっさり緊張感を解いてしまう一方で、まだ解決しきれていない問題へは緊張感を保つ・・・そんな心の性質を指します。まだ難しいので、かんたんにまとめます。「問題が未解決のままであれば、緊張感を維持してもらえる。」(P.210)

ここではテトリスの事例をあげていました。

テトリスの次のブロックを出すのは、前のブロックからどれぐらいの間をあけるのが良いか?

という問いでした。これは・・・0秒と言うことです。理由は上の抜粋の通り、未解決の状態を作り続け、緊張感を維持する目的があるからです。

面倒な同行者は、主人公の冒険を邪魔し、悪態をつき、不可解な行動ばかりします。そんなとき、プレイヤーと主人公はこんな状態になります。
プレイヤー「同行者、腹立つなぁ」と主観的に感じている
主人公  「同行者、腹立つなぁ」と主観的に感じている
気持ちの向きが見事にそろいましたね。(P.238)

ゲームだけでなく、映画や漫画にもいますよね、なんかどっかどんくさくて、なぜそこにいく、なぜそういうことやっちゃう?っていうキャラクター。

これはゲームプレイヤー、見ている人を、画面の中の主人公と同じ気持ちさせる技術で、共感を得させて、気持ちの向きを揃えることで、感情移入度をあげているそうです。

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