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大好きだった男友達の話。

そろそろいいかな。
もう大丈夫?
自分に確認を取りながら、数か月前にお別れした
大好きだった男友達の話をする。

いや誰が催促するわけでもないし
話さなくていいんだけど、
一旦ピリオドを打ちたいからかな。

ていうか書き終えてから思ったけど長い(笑)
気になる方は、気長にお読みくださいな。
もはやフィクションでもいいかも。
ちょっと恥ずかしくなってきたから
今のうちに「えい!」って投稿しちゃう。

ちょっとずるくて多分ありきたりな、
だけど私にとっての特別な話です。


初めての男友達

とりあえず、私にはひとつ年下の男友達がいた。何がきっかけってわけでもないくらい、とにかく初めて会った時からべらぼうに気が合った。

そういう人って時々いるよね。同性だったら一生の親友になっちゃう運命の子。

実際同性の親友でそういう子がいるんだけど、彼の場合は私にとって、それの2回目&異性バージョンって感じだった。


最高で最強の相棒

私たちが話し始めると、そのボケとツッコミの応酬はまるで奈良の中谷堂の高速餅つき(テレビで見たことありません?)。気づいたら2人きりで涙が出るくらい爆笑し続けていることも珍しくなかった。

彼に揚げ足を取られると私の頭は高速回転をしてさらに言い返し、他の男性と会話をする時は彼の的確で捻った迅速なレスポンスが恋しくて消化不良になった。それは彼からしてもそうだったらしい。

NSCで出会っていたら漫才で一世を風靡してゴールデンタイムの司会だって夢じゃなかったかもしれないーーーなんて、アホなたとえもたった今うっかり思いついてしまうくらい、当時私たちは最高で最強の相棒だった。

いやー、今さらないよね(笑)

それはさておき仲の良さは身内公認で、実際彼は先輩や友人から、はたまた後輩までもから、私への告白をけしかけるようなことを言われていた。
それは探るまでもなく空気で知っていたし、実際彼自身の口からその報告を聞くこともあった。

まだ言ってんのか、今さらないよね、なんて2人で言いながら笑っていた。

当の私はというと、大したこともないオレ様男やマイペースな男にうつつを抜かしては泣き、彼に愚痴っては少し涙ぐみ、たくさん笑い、そしてその度にけろっと立ち直るのだった。


私たちの距離感

知っていただろうと問われたら、正直まぁ知っていた。目も声もふとした時の態度も、彼のそれはそうだと言っていた。

だけど私から何かアクションを起こすことはなかった。

どんなに一緒にいるのが楽しくて、たまに聞く彼の愚痴や泣き言すら愛しいと思えても、なぜか触れてみたいとは思わなかったからだ(彼は外見で予選落ちするようなことはない、普通の男の子だ)。
そして彼から何かを告げられたり回答を迫られることもなかったからだ。

実際彼は、普通に彼女を作ることもあった。

本当は彼女よりも私の方が愛されている、なんて勘違いするほど痛い女ではなかったし、彼とはそのままの関係で十分に満足だったから、そういう時は連絡は少し控えたし、辛いことは何もなかった。

私たちはどんなに仲が良くても休日に2人きりで遊ぶことはなかったし、たとえお互いにフリーであろうと戯れに指を絡めてみることもなく、ただ律儀にその場でのみ会い、日常の中でLINEをし、電話をし、それでも互いが特別だと認識し合っていた。初めてサシ飲みに行ったのも、そういう関係が3年続いた頃、やっとのことだった。


替えがきかない存在

私たちは社会人になった。私に彼氏ができた時も彼に彼女ができた時も、私たちはくだらない揚げ足の取り合いのLINEをだらだらと続けては年に数回飲みに行き、腹がよじれるほど笑い、終電に余裕を持って帰っていった。

家族の愚痴を話せば首がもげるほど頷き脇腹が痛くなるほど笑った。
私たちはとてもよく似た家庭環境だった。

いつか彼以上に楽しくて信頼ができる男を見つけなければ。
彼のツッコミが恋しくならなくなるような。
彼の意見や安心する声を求めなくなるような。

私は人並みになんとなーく結婚願望があったけれど、期待しては裏切られの繰り返しの末、いつしかその理想像は彼へと収束していった。

いつからかなんとなく、
こうなることは分かっていた。


ついに変わった関係

私は時々、知り合った人とデートをするけれど、その相手と交際に繋がることはなくなった。

彼は彼女と別れた。

ずっと好きだったと言われ、
ついに彼は彼になった。


それからの数か月は私にとって、人生の最良の時間だった。
付き合う前から私たちは、互いに結婚を意識していることを打ち明け合っていた。

迷いはなかった。
やっと正しい場所に辿り着いたとさえ思った。

彼は一人暮らしを始め、彼の部屋には私の私物が増えていった。
私のキーホルダーには彼の部屋の鍵が追加された。

あんなに愛おしかったのに手を繋ぎたいとすら思わなかった不思議なバランスの情は消え、身長の割にやや小ぶりな彼の手は、これからは私だけのものだと思った。

他の付き合った男から自分のものだと思われることは嫌悪していたけれど、私は彼のものでも全く構わないと思った。


そしてハッピーエンド

……とはならなかった。残念ながら。

彼は多忙になった。
彼が仕事が好きなことも、手が抜けない性格なことも、あまり器用に両立ができないことも、もちろん十分に知っていた。

私は待った。

連絡が義務的で味気なくなっていることに気づいたけれど、指摘はせずに耐えた。




断りきれず、疲れを隠した笑顔で仕事をする
彼の姿が浮かんだ。



帰宅してからも硬い表情で仕事を続ける
彼の姿が浮かんだ。


けれど、せめて1か月先でも、楽しみの予定を立てておきたかった。
好きな時に、1週間に5分でもいいから、私が反応を促すではない、彼発信の連絡が欲しかった。

彼はそれをすることができなかった。

破るかもしれない口約束ができなかった。

これ以上の“タスク”を増やすことはできなかった。



ある日ついに、彼の口から「距離を置こう」という言葉が出た(要約すると、だけど。彼は大事なことを言おうとする時ほど、言葉を選ぶあまり、言い方がとても回りくどくなる。そういう時はしょうがないやつだと思って気持ちを汲んでいたけれど、友人たちからは優しすぎる、甘いと心配されたり呆れられたりした)。

彼との繋がりは、それから2か月、
ぷつりと切れた。

それまでに散々泣いて悩んで疲れ切っていた私は、いるけどいない彼の存在にだんだん慣れていった。
時々調子の悪い時には妄想が止まらずに泣いた。
それでも浮気や自然消滅を疑ったことはなかった。

いや2か月て!!!

読んでいるみなさんのツッコミの声が聞こえる。

馬鹿らしかろう。
痛々しかろう。

綺麗事でも愚かな女でも何でも良い。
今でも実際のところ、この期間の彼がどうしていたかは分からない。
けれど私は信じて待てたのだ。
ただそれだけなのだ。

大事な試験が迫っていた私は、彼と久しぶりに会うことを提案した。
直前期にかかる前に状況を整理したかった。
私はまだ希望を捨てずに、道を模索していた。

ーーー私たちって、今、付き合ってる…のかな?
ーーーうん、付き合ってる。

そして、だけど、私たちは別れることになった。


元気にしてるかい?

今何してるんかな?
あれから数か月。
彼の今が気にならないと言ったら嘘になる
……多分。

だけどひとつ気づいてしまったことがある。

私は今、
彼に彼女ができたと言われても多分泣けない。
そっかそっか!おめでとー!って普通に言う。
7年分の愛情は、死ぬほど苦しかった数か月で
とうに使い切ってしまっていた。

いつかの昔、彼と付き合うずっと前、
付き合うことになったんだよね、って
私が報告した時の彼のあの顔を、私はしない。

「えー!おめでとうございます!まじかー!」

口角は上がっているのに
今にも泣き出しそうに潤んだ目と下がり眉。
かわいかったな。
それから、“あ、私、彼のこと、今傷つけた”
って少しハッとした。

思えばあれが私にとってはスタートだったかも。



多分かなりの確率でだけど、
私は彼のことを一生忘れない。

「ゆめゆめ」なんて特殊な単語でハモる人は
この先何十年生きてもきっと見つからないし、
単純にハモった回数でも多分トップ。

マフラーを巻くのが下手な私も、
座敷の縁で躓いて飲み物をぶち撒けるような
雑でどんくさい私も、
いつも呆れながら笑って見守ってくれた。


かなりキツめなモラハラの父を持つ私にとって
彼は身内よりも誰よりも信頼のできる男だった。

親友であり恋人であり父であり息子であり
兄であり弟であり異性の全てだった。

何度恋愛でバカを見て落ち込んでも、
彼がいたから、男を諦めずに信じ続けられた。

別れてから気づいたことなんだけど、
これは相当荷が重かっただろうな。笑



そうそう、驚くほど美味しいものを食べた時に
無言で顔が険しくなるクセは直しなね!
笑えるけど、誤解されるよ?

この先また会うことはあるんかなぁ?
どっちでも良いかなって思ってるよ。
やり直すことはまぁ、ないかなぁ…。



最後にこれだけ。

愛してくれる人の、愛おしさが溢れた目の色が
どういうものかを教えてくれてありがとう。

これだけは一生の学びで宝物。

私はこの目をまた新しく探していきます。




ありきたりな話だよなぁ。
だけど私にとっては特別で大きな出来事で。

お互いに色々とずるいところはあったし、
けっして綺麗なだけの話ではなかった。

でもあの7年間、
多分お互いにずっと忘れないんだろうな。


ごめんね、長々と書いたけど結局自慢です。
こんな最高な彼のこと、
そして彼の特別な存在だったこと、
私はずっとずっと密かに誇っていた。
本当は自慢して回りたい時もあったんだ。

こうなるのが怖いと思ったことはあったけど
後悔はしていないよ。
どれも大切で愛おしい、立派な思い出です。
愛してた。めちゃくちゃ大好きだったよ。

元気出せよ。いや、もうとっくに元気かな。
いつか幸せになりなね。私の次に!笑

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