今の自分は好きですか?心から自由ですか?〜『覚醒するシスターフッド』
シスターフッド
ウーマン・リブの運動の中でよく使われた言葉で,女性解放という大きな目標に従った女性同士の連帯のこと。(百科事典マイペディア)
シスターフッド
姉妹。また、姉妹のような間柄。(デジタル大辞泉)
クセが強い。世界観が濃い。
そして全編を通して、大きなテーマが根底で繋がっているのを強く感じた。(女って何だ?女は弱いのか?自由に自分らしく生きるって何だ?)
正直、上記のような疑問を抱いたことのない人にとっては、この本の強烈な主張を掻き分けて前に読み進むのはちょっと厳しいかもしれない。
ただ、国内作家さんの“女の濃い文学”が好きな人にはぜひ読んでほしいなぁとも思う(ちなみに私は島本理生さんや綿矢りささんなんかがかなり好きだ)。
あと、かな〜り特殊な世界観のものも多く、
・日常系の小説に飽きてきた!
・理解できない世界観に脳みそ掻き回されたい!
・これぞ文学!な空気に浸りたい!
なんて人にも超超おすすめ。
くっそぅ、久しぶりの読書、こんなところで挫折するもんか…!
そんな意地もあって読み切りましたが、自分の好みの作品を見つけることに慣れ切っていた私にとっては、改めて「やっぱり本を読むこと自体が刺激的で楽しいなぁ」なんて実感するきっかけになりました。
その中でも特に気に入ったものを最後に3つ+ひとつ。
『パティオ8』柚木麻子
コロナ禍、中庭をロの字型に囲む平家型マンション「パティオ6」で静かに住まう女たちが団結して起こす小さな復讐の記録。なんで6じゃなくて8かって?それは読んでのお楽しみ。
『星空と海を隔てて』文珍
広告会社でバリバリ働く日々、社内の策略的な噂話に巻き込まれた孫寧(スンニン)。出張ついでに立ち寄ろうと、懐かしい大学時代を過ごした思い出の故郷・マカオ行きのバスに乗り、そこで、連絡先を知らない“彼”との約束の再会を果たそうとする少女に出会う。
『桃子さんのいる夏』こだま
小学校教員として地元の田舎に戻ってきた美沙は、同僚や友人、はたまた児童までもが自分に「誰かいい人」を見つけようと心配(?)する環境にうっすら嫌気がさしていた。その年の夏、短期の移住体験で隣に越してきた桃子さん夫妻と出会う。
そして最後に。最初は読み慣れずに少し戸惑ったけども、陽気さと切なさが混じっていて後になるほど余韻がすごかったのでまた読み返したい。先が気になる高揚感や共感が強かった上記3作とはちがう意味で心に残った作品。
『リッキーたち』サラ・カリー
大学の“レイプ・サバイバー”の集会で出会ったわたしたち4人は、あらゆる手段で他人をたじろがせることを趣味とし、嫌な出来事を思い出させるガラクタのカケラをベッド下の箱にしまい込み、お互いにスペルの違う「リッキー」という名をプレゼントした。そしてある時、事件が起こった。リッキーたちのうちの2人が恋をしたのだーーー。
うん、こうして紹介文を書いていても、やっぱりどれも面白かったな。
少し時間が経った頃にまた読み直したいかも。