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2015年から見る"人口知能は人間を超えるか"

ChatGPTとか生成AI ってなんでこんなに最近話題になってるの?

生成AI, ChatGPTの前にAIについても人工知能に関してよくわからない

そんな人も多いと思います。

今回紹介するこのはこの本

著者は日本のAI研究における第一人者であり、東京大学の松尾豊教授

人工知能とかAIとかに興味はあるけどよくわからないという人に是非とも読んでほしい本です。

4回に分けて本書の内容を紹介しています。
今回はその第4回目にして最後の記事

著者の2015年時点から見た「人口知能は人間を超えるか」という未来に向けた考察を紹介していきます。

第1回、第2回、第3回の記事はこちら

■2015年時点から見た"人工知能は人間を超えるか"

第3回目の記事で機械学習とディープラーニングが世の中に与えた衝撃を紹介してきました。

それを踏まえて、著者の2015年時点での考察を見ていきましょう。

◎ディープラーニングからの技術進展

本書ではディープラーニングを50年来のグレークスルーとしています。

そして、これは今後起きると予想される人工知能技術全体の発展からするとほんの入り口に過ぎないと語っています。

これは著者が予想する今後の技術進展です。

松尾 豊. 人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書). KADOKAWA / 中経出版. Kindle 版.

一つ一つどのように発展していくか簡単に見ていきましょう。

①画像特徴の抽象化ができるAI
画像を見て特徴量を抽出します。つまり、人間の視覚に相当する部分をコンピュータが実現できることに近いです。

②マルチモーダルな抽象化ができるAI
視覚だけでなく、動画や音声や圧力などから特徴量を抽出します。つまり、人間の聴覚や触覚に相当する部分をコンピュータが実現できることに近い。

③行動と結果の抽象化ができるAI
外界にあるものを観察するだけでなく、コンピュータ自身もその中に入りこんで外界と自分との関係性をから特徴量を抽出します。つまり、人間と同じように「何かをしたからこうなった」という因果関係で物事を理解しようとすることです。
例えば、インベーダーゲームのような単純なゲームにおいて、コンピュータが学習する例としてこのようなものがあります。

弾が飛んできたときに<前提条件>
右に動いたら<行動>
スコアが上がった<結果>

④行動を通じた特徴量を獲得できるAI
行動した結果についての抽象化も進みます。
例えば、割れやすいコップがあったとします。落としたり倒したりする(行動)と割れる(結果)、という行動と結果のセットから「割れやすい」「割れにくい」ということを学ぶようになるのです。

⑤言語理解・自動翻訳ができるAI
ここまでくると「抽象概念」を獲得できるので「概念」と「言葉(記号表記)」を結びつけることができます。
そうすると、「ネコ」「にゃーと鳴く」「やわらかい」という概念はすでにできているから、それぞれに言葉(記号表記)を結びつけてあげれば、コンピュータはその言葉とそれが意味する概念をセットで理解します。つまり、シンボルグラウンディング問題が解消されるのです。

⑥知識獲得ができるAI
コンピュータが人間の言葉を理解できるようになるということは「人間の文章を読むとそこに何らかの情景が再現できるようになっている」ということです。
すると、コンピュータも本が読めるようになり、Wikipediaなどwebの情報も読めるようになる。そこまでいけばコンピュータはものすごい勢いで人類の知識を吸収していくことになるでしょう。


◎コンピュータは創造性を持てるのか

それからコンピュータは創造性を持てるのか、という考察も示しています。

ここでは創造性を2つの意味で捉えており、この2つとも実現される可能性が高いとしています。

個人の中で日常的に起こっている創造性
複数のものを説明する1つの要因(あるいは特徴量)を発見したとき、物事がよりスッキリ見える、というレベルのものです。

社会的な創造性
社会の中で誰も考えていない、実現していないような創造性はいわば「社会の中に以前それを考えた人がいるかどうか」という相対的なものです。

先述の「④行動を通じた特徴量を獲得できるAI」の段階に達すれば、人工知能も試行錯誤ができるようになり、創造性を持つことも自然に起こるはずとされているものです。

◎AIが人間を征服することはあり得ない

AI の発展を考えるとき、AIが人類を撲滅してしまうのではないかという考えを持つ人も多くいます。

しかし、著者はこの時点では、人工知能が人類を征服したり、人工知能を作り出したりという可能性はなく、夢物語であるとしています。

それは「人=知能+生命」であるからです。

そして、知能を作ることができたとしても生命を作ることはできないとしています。

そのため、人工知能が人類を征服する心配をする必要はないのです。

◎結論、人工知能は人間を超えるか

結局「人工知能は人間を超えるか」の問いに対して著者は「人間の知能がプログラムで実現できないはずはない」というスタンスを一貫して取っています。

人工知能のアルゴリズムが実現すれば、人間の知能を大きく凌駕する人工知能が登場するという予測は当然できます。

少なくとも、特徴量を学習する能力と特徴量を使ったモデル獲得の能力が人間よりも極めて高いコンピュータは実現可能であり、与えられた予測問題を人間よりもより正確に解くことはできるはずなのです。

人間の脳はさまざまな点で物理的な制約があります。例えば普通の人より脳のサイズが10倍大きな人は存在しない。しかし、コンピュータの場合は1台でできることは10台にすれば10倍に、100台にすれば100倍になります。

著者は繰り返し言っています。

人間の知能がプログラムで実現できないはずはない

■さいごに

今回の記事で「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」の紹介記事は最後になります。

いや正直めちゃくちゃ面白かったです。

機械学習やディープラーニングの部分など理解に難しい部分はあったものの、この本を読んでいない自分と読んだ後の自分ではAIや人工知能に対する解像度が全く異なっています

この本に続いて AI や人工知能関連の書籍を読みたくてウズウズしてきています。

ぜひ皆さんもこの本を手に取ってみてください。

ありがとうございました。


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