見出し画像

虚構日記 note版 2025年1月2日

 一昨日、年の暮れだと言うのに、おばあちゃんがデイサービスに行っていた。

 今日の昼飯時は、その話で持ちきりになった。よっぽど楽しかったのか、
「またゆき、アンタも来週ぐらい一緒に行かへんかい?」
と言われたが、さすがのおれも同じアタマのビョーキではあるが、ちょっと意味が違うし、まだ早い気もする。

「それやったら、アンタ、これ使い〜なあ」

 おせちに使うような重箱を渡された。

 嫌な予感がしたので、
「こんなん、イヤや!ワシはまだ歳をとりとうないねん!」
と、突っぱねた。

 すると、渡す渡さないの押し問答の末、重箱を床に落としてしまったおれ。

 おばあちゃんにこれ以上歳をとってもらうわけにはいかないので、おれが重箱から出てきた煙を吸った。

 「アンタ、この時点で既にもうおばあちゃんよりアタマが衰えてるで」

 おれは、おばあちゃんが聴力の意味でも言葉の意味でも何言ってるか、分からなくなってきていた。

いいなと思ったら応援しよう!

またゆき君
よろしければ、サポートお願い致します!頂いたサポートは創作の活動費として使わせていただきますので、よろしくお願いします❕